大阪府立高等学校の英語学力検査問題改革と塾の関係について

公開日: : 塾について

英語学力検査問題改革について

 

大阪府では、「実践的に使える」英語教育への転換に向け、高校入試の英語問題を改革しようとしています。

実際に、平成29年度入試より問題構成が大きく変わり、「聞く」、「書く」問題が大幅に増える予定です。

「聞く(ヒアリング)」の問題が占める割合は、従来の配点比率約20%から、3分の1の約33%へ増やされます。

「書く(ライティング)」に関しては、従来の配点比率約8%から、約20%へ増えます。

また、「書く」ことはいわゆる単純な英文和訳ではなく、自分の考えを書かせる英作文を意味します。

英作文は多くの受験生が苦手とするところです。

 

「聞く」、「書く」、問題が強化される結果、「読む(リーディング)」ことに関して緩和されるかというと、そうではありません。

むしろ、今まで以上に読まなければならない英文の量は増えます。

試験問題が、指示文を含め、全て英語で記載される様になるためです。

英検やTOEICのように、問題文から選択肢まで、全て英語で記述されたものが出されるようになります。

その結果、読まなければいけない英語の語数は、飛躍的に増えることになります。

1分間あたりで計算すると、従来の試験問題と比べて、およそ2.7倍もの英文量になります。

※実際のサンプル問題が公開されています⇒http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6221/00163108/writing_question.pdf

 

ただし、この改革、29年度に関しては一部限定的なものとなります。

大阪府では、英語の問題が3ランクあり、難易度のそれぞれ異なるものが作成されています。

今回、全て英語表記に変えられるのは、一番難易度の高いランクのものに限定されています。

他の2ランクに関しては、今後段階的な変更を予定されているに留まります。

いずれにせよ、大きな流れとして英語強化の流れは間違いのないところです。

※詳細は大阪市のホームページ上に公開されております。⇒http://www.pref.osaka.lg.jp/kotogakko/gakuji-g3/eng_sam.html

 

 

英語教育の転換点

 

日本の英語教育は、とかく「使えない」と揶揄されがちです。

中学・高校と6年間も勉強しているのに、ほとんどの人が実践で使えていないことから、英語教育の問題点を指摘されることがよくあります。

日本の英語教育は、明治以来「読む」ことに主眼を置き、力を注がれてきました。

英語教育が導入された当時は、外国へ渡航することなど稀なことで、一般人にとって外国人と直接的なコミニケーションをとる場面はほとんどありませんでした。

そのため、教育の焦点は、会話を中心としたコミニケーションの取り方よりも、論文や書籍から先端の科学技術を学べる様、文章を「読む」ことに力を入れる必要がありました。

また英語の発音など、指導できる教師の絶対数が少ないと言った実際的な事情もあり、「読む」こと特化した教育には一定の合理性があったと言えるでしょう。

 

しかし、今やインターネットも発達し、海外渡航も簡単に出来ます。

年々外国人観光客も増え、観光産業は経済の屋台骨を支えるのに重要な要素となっています。

経済にとどまらず、文化的にもグローバル化は進み、優れたコンテンツは瞬く間に海を越えて広がります。

グローバル社会の中で、英語は最も基本的なコミニケーションのツールであり、その必要性が高まるのは必然なことと言えます。

社会が求めるものが変わった以上、教育方針もそれに合わせて変わるのは至極当然なことです。

英語教育は今まさに大きな転換点のうねりの中にあり、その一端が、今回の入試問題改革というわけです。

 

受験対策と過去問

 

教育改革が掲げる理想は素晴らしいものであり、方法は様々ありこそすれ、時流に沿ったものに変えていくこと自体に異論は多くないでしょう。

しかし、それに巻き込まれる立場(受験生)にとっては、もろ手を挙げて歓迎できるというものではありません。

実際問題として、今回の改革は多くの受験生にとって、かなり大きな負担となります。

負担となる要因は様々ありますが、最大の問題点は「同じ出題形式の過去問が無い」ということです。

問題形式が大きく変わってしまうため、従来の過去問だけを勉強していたのでは、十分な対策にはなり得ないのです。

 

受験学習の基本は、まず過去問にあります。

過去問を制する者が、受験を制するということも、昔からよく言われます。

高校入試に限らず、およそ試験にとって過去問は、最良の学習教材です。

過去問は試験委員からのメッセージです。

どういった問題が出されるのか、どういう知識が必要なのか、過去問から知ることが出来、過去問から学ぶことが出来ます。

その過去問が存在しないというのは、受験生にとって、道しるべのない迷路を歩かされる様なものであり、過酷な旅路となります。

 

「聞く」、「書く」力を伸ばすために

 

「聞く(リスニング)」、「書く(ライティング)」問題の割合が増えることも、受験生にとっては大きな負担です。

多くの場合「聞く」、「書く」力の練成は、独力だけでは困難です。

 

「聞く」ことに関して言えば、学校の授業を受けるだけで、十分なリスニング能力が身につくとは残念ながら言えません。

我々が外国人の使う日本語を聞いて違和感を感じることが多い様に、日本人の英語教師もやはり正しい発音というのは難しいのです。

正確で美しい発音が出来る教師もいるでしょうが、それは全体的に見て少数です。

やはり「聞く」力の養成には、ネィティブの発音を、一定量聞く必要があります。

幸い、今は様々な音声教材があり、インターネット上には無料で利用できる英語コンテンツも数多くあります。

ただし受験生が自分一人の力だけで、それらのコンテンツを効率良く利用し、受験に照準を合わせて学習を進めるのは困難です。

そもそも多くの中学生にとっては受験自体が人生で初めての出来事であり、ペース配分やタイムテーブルの組み方など分からないことばかりです。

コンテンツを有効活用するためには、受験勉強をサポートしてくれる存在が欠かせません。

リスニング力を身につけるために、英会話教室に通われたりする方法もありますが、費用は決して安くありません。

現実的に考えて、受験指導をしている塾を利用するのが最もコストパフォーマンスが良いのではないでしょうか。

 

また、「書く」ことに関しても、独学は困難を伴います。

機械的な英文和訳であれば、模範解答と文法書さえあれば、自分の力だけで十分に学習を進めることは出来ます。

しかし、今回取り入れられる「英作文」ということに関しては、独力では難しいものがあります。

まず解答の方法が一通りではなく、模範解答が必ずしも自分の書きたいものと合致するものではないということがあります。

英作文における模範解答は、自分の表現したい内容をピンポイントで教えてくれるものではありません。

さらに、模範解答はたいていの場合美しく非の打ち所のない例文が載っており、受験生が見ても、自分の英語力ではとても書ける気がしないという方が大半です。

同じ様な表現でも、単語や文法など組合せは幾通りもあり、どこまでがOKでどこからがNGとなるのか、受験生の知識だけでは判別も困難です。

それでも基礎力がある程度ついてくれば、自己研鑽も可能ですが、勉強し始めの基礎力を作る段階においては、自分の書いたものを添削指導してもらう必要があります。

なぜこの表現が×なのか、疑問点を講師に確認し、あるいは新しい表現方法をアドバイスされることにより、理解しながら力を伸ばしていくことが出来ます。

この添削に関しては通信教育によるサービスも充実していますが、気になることをすぐに聞ける、対話しながら疑問を解消出来るという点では、ライブ授業を行なう塾(とりわけ個別指導)による指導が優れていると言えるでしょう。

 

受験生の塾依存は避けられない!?

 

このような混沌とした状況の中、学校の授業だけでは、満足いく受験対策とはなかなかならないでしょう。

一部の入試だけ問題形式が異なるなど、教育現場の混乱は容易に予想されます。

先程来から述べている通り、受験生をサポートするために塾の担う役割は大きくなると想定されます。

今まで以上に、塾に依存する度合いは高くなるでしょう。

とりわけ、難易度の高い学校を受ける生徒ほど、より高度な受験対策が必要となり、塾などの学校外での学習補佐は欠かせないものとなります。

 

また、英語の新問題形式に慣れるために、英検などを積極的に受検される生徒も今後増えることでしょう。

実際、大阪府では英検取得が内申点への大きな加算事項として挙げられており、行政をあげて英検を推している様に見受けられます。

大阪府がこの度作成したサンプル問題も、英検と問題構成も似ており、受験対策としての英検受検は、今後ムーブメントが起こると予想されます。

現実に、保護者の方からも、塾に対して英検指導に対する要望を聞く機会が増えてきております。

 

こういった一連の流れは、塾業界に携わるものとしては誠に有難いお話ですが、ご家庭にとっては大変な話です。

家計を取り巻く経済環境が厳しい昨今、教育費の増大は歓迎すべき事態とは言えないでしょう。

金銭的に余裕があるご家庭は良いですが、そうでないご家庭は、今まで以上に厳しい戦いを強いられます。

経済格差が、今まで以上に学力格差へつながりかねない状況です。

 

大阪市塾代助成金と市外間格差

 

経済格差と学力格差は、もう随分前から言われ続けてきたことです。

経済力の格差が、児童への学習環境の格差とつながり、それが児童間の学力格差へつながる。

実際にそれを裏付ける、数多くのデータも提示されており、教育学における大きな課題の一つです。

行政もそれを指をくわえて見ている訳ではなく、格差を無くすための政策的な努力、取り組みも各種取られ始めています。

現在大阪市では、家計への教育費負担を軽減するため、一定の条件(所得水準)の下、中学生を持つ家庭に助成金として月1万円まで教育サービス料を補助しています。

この補助金の給付対象になると、月1万円まで塾の月謝などを、ご家庭の変わりに市が負担してくれます。

給付のための所得水準のハードルも年々緩和され、今では全体の約5割の家庭が支給対象となるまで、範囲が拡大されています。

この制度の恩恵はかなり大きなものがあります。これによって救われるご家庭も少なからずあります。

実に素晴らしい制度だと思います。

しかし、現時点では対象が大阪市に限定されており、同じ大阪府でも大阪市以外では対象外となってしまいます。

大阪府には33もの市があり、そのうちこの制度の対象となるのは大阪市に限られています。

そのため、同じ府立高校を受験する受験生でも、大阪市内に住んでいる生徒には月1万円分学習補助がつき、大阪市外の生徒ではそのサポートが無いという状況が発生しています。

この月1万円という差は、決して小さなものではありません。

助成金による成績向上のデータが現時点では無いので、助成がある場合と無い場合との比較が容易には出来ませんが、助成がある方が有利なことに間違いはないでしょう。

行政区分の僅かな違いで格差が生じるのは、子供たちにとって悲しいことです。

今後助成金事業が拡充して、大阪市以外にも適用される様になれば、この不公平感は解消されます。

将来の社会を担う子供達に、教育費をかけることは日本の未来にとって決して無駄なことではありません。

今後さらなる制度の拡充を期待致します。

 

大阪では、これ以外にも入試制度に実に多くの改革、変更が行なわれています。

当ブログでも、塾に携わるものとして、思うところを随時取り上げて行きたいと考えております。

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By: Maryland GovPics

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       まなびやも今年で3年目
      石の上にも3年と言いますので、今年は当たり年だと勝手に決め付けてます^^
      ちなみに今年のおみくじは1番の大吉でした。桜咲け~。
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