ラノベ×マンガで学ぶ基本情報技術者試験 第2章-5:画像や音声のデジタル表現 – マルチメディアデータの基礎

ストーリパートⅠ(マンガ&ラノベ)

デジタルデータ渓谷を抜けたシンジとマナは、次なる目的地、「マルチメディアの洞窟」へと足を踏み入れた。洞窟の入り口には、色鮮やかな光の粒子が渦巻いており、中からは、様々な音色が混ざり合った不思議な音楽が聞こえてくる。

シンジ:「うわぁ…なんだか、すごい場所だな。光と音が、ごちゃまぜになってる…」

マナ:「ここは、画像や音声がデジタルデータとして保存されている場所なの。コンピュータがどうやって、色や音を扱っているのかを学ぶことができるわ。」

洞窟の奥へと進むと、壁一面に巨大なモザイク画が描かれているのが見えてきた。近づいてよく見ると、モザイク画は、小さな正方形のタイルで構成されており、タイル一枚一枚には、異なる色と数字が割り当てられている。

シンジ:「このモザイク画…なんだか、ドット絵みたいだな。」

マナ:「そう、これは、画像をデジタルデータとして表現する方法の一つ、『ビットマップ画像』の原理を表しているのよ。」

マナが杖を振ると、モザイク画の一部が拡大され、タイルの数字が0と1の羅列に変化した。

マナ:「コンピュータは、色も数字で表すの。例えば、赤は『11110000』、青は『00001111』…という風にね。」

シンジ:「なるほど…だから、この洞窟の中は、こんなにたくさんの色と光で溢れているのか…」

さらに進むと、今度は、空中に無数の光の線が浮かんでいるのが見えてきた。線は、それぞれ異なる形を描き、まるで生き物のように動き回っている。

マナ:「あれは、『ベクター画像』を表しているの。ビットマップ画像とは違って、図形を数式で表現するから、拡大しても縮小しても、画質が劣化しないのよ。」

シンジ:「へぇ…画像にも、色々な種類があるんだな…」

すると、どこからか、美しい歌声が聞こえてきた。声は、洞窟の中に響き渡り、シンジの心を癒してくれる。

マナ:「この歌声は…『PCM音源』ね。音をデジタルデータとして記録する方法の一つよ。」

マナが杖を振ると、歌声に合わせて、空中に波形が現れた。波形は、細かく上下に振動しており、その振幅や周期が、音の高さや大きさを表している。

マナ:「音も、画像と同じように、数字で表すことができるの。波形を細かく区切って、それぞれの点の高さを数値化するのよ。」

シンジ:「すごい…コンピュータって、何でも数字に変えちゃうんだな…」

マナ:「そう。でも、数字に変えることで、色々なことができるようになるの。画像を加工したり、音を編集したり、データを圧縮したり…」

シンジ:「…圧縮?」

マナ:「そう。データが大きすぎると、保存したり、送ったりするのが大変でしょ?だから、データを小さくする技術が必要なの。それが『圧縮』よ。」

シンジ:「なるほど…奥が深いな…」

マナ:「さあ、シンジ。この洞窟の奥には、もっとたくさんの秘密が隠されているわ。一緒に、マルチメディアデータの謎を解き明かしましょう!」

シンジは、マナの言葉に力強く頷き、洞窟の奥へと足を踏み出した。

マナ:「さあ、シンジ。マルチメディアデータの洞窟探検、始めましょう!まずは、画像から見ていくわよ。」

学習パート

画像のデジタル表現

1. 2Dと3D

マナ

画像には、大きく分けて2Dと3Dがあるの。
2Dは、平面の画像。
3Dは、立体的な画像よ。

シンジ

2Dは、普通の写真とかイラストのことだね。
3Dは…ゲームとかCGアニメとかでよく見るやつか!

マナ

そう!
3D CGは、コンピュータを使って3次元の仮想空間を作り出し、そこに物体を配置して、まるで現実世界のように見せる技術なの。

2. 解像度とビット数

マナ

画像の綺麗さを決めるのが、解像度とビット数よ。

解像度

画像を構成する点の数(画素数、ピクセル数)。

マナ

一般的に、1インチあたりの点の数(dpi)で表されることもあるけど、ここでは画像を構成する総ピクセル数で比較してみましょう。
ピクセル数が多いほど、より細かく滑らかに表現できるわ。

いずれも72dpi

ビット数
マナ

1つの点(ピクセル)が表現できる色の数。ビット数が大きいほど、たくさんの色を使えるから、より滑らかで自然な画像になるの。

シンジ

解像度が高いほど、画像が細かくて綺麗になるってことだね。
ビット数は…色の種類の数か!

マナ

例えば、8ビットなら2の8乗で256色、24ビットなら約1677万色を表現できるわ。

3. ラスタ形式とベクタ形式

マナ

画像を表現する方法には、ラスタ形式とベクタ形式の2種類があるの。

  • ラスタ形式(ビットマップ形式): 画像を点の集まりとして表現する方式。JPEG、PNG、GIF、BMPなどがこの形式よ。
    • 特徴: 拡大するとギザギザになる。写真など、複雑な色合いの表現に向いている。

  • ベクタ形式: 画像を数式(点や線の座標、色など)で表現する方式。
    • 特徴: 拡大・縮小しても画質が劣化しない。ロゴやイラストなど、シンプルな図形の表現に向いている。
シンジ

なるほど…写真みたいに複雑なものはラスタ形式、ロゴみたいにシンプルなものはベクタ形式ってことか!

4.データ圧縮

マナ

画像や音声のデータは、そのまま保存するとサイズが大きくなっちゃう。
そこで、データを小さくする『圧縮』という技術が使われるの。

  • 可逆圧縮: 元のデータを完全に復元できる圧縮方式。

  • 非可逆圧縮: 元のデータを完全に復元できない圧縮方式。画質や音質は少し劣化するけど、高い圧縮率を実現できる。
シンジ

データを小さくすると、保存したり送ったりするのが楽になるってことだね!

5.代表的な画像形式

形式特徴用途
JPEG非可逆圧縮。写真など、色数の多い画像に向いている。デジタルカメラ、Webサイト
PNG可逆圧縮。透明な部分を持つことができる。Webサイトのロゴ、イラスト
GIF可逆圧縮。256色までしか表現できないが、アニメーションを作ることができる。Webサイトのアイコン、アニメーション
BMP無圧縮または可逆圧縮。Windowsの標準画像形式。Windowsの壁紙
シンジ

へぇ…色々な形式があるんだな!

画像に関する技術

モーフィング

ある画像から別の画像へ、滑らかに変形させる技術。

  • 画像1: 猫の顔が徐々に人間の顔に変わっていく様子(複数枚の連続画像)
  • 画像2: 人間の顔

解説:

  • モーフィングは、2つの画像間の対応点を指定し、中間画像を生成することで、滑らかな変形を実現します。
  • 映画やアニメーションなどで、特殊効果としてよく使われます。
  • ここでは静止画ですが、本来は動画として表現されます

モーションキャプチャ

人間の動きをデジタルデータとして記録し、CGキャラクターの動きに反映させる技術。

シンジ

映画とかでよく見るやつだ!

音声のデジタル表現

マナ

次は、音のデジタル表現について見ていきましょう。音は、空気の振動なの。

1. PCM方式

マナ

音をデジタルデータにするには、PCM方式がよく使われるの。PCM方式では、音の波形を一定時間ごとに区切って(標本化)、その点の高さを数値化(量子化)し、さらに0と1の数字で表す(符号化)の。

  • 標本化(サンプリング): 音の波形を一定時間ごとに区切る。
  • 量子化: 区切られた点の高さを、段階的な数値で表す。
  • 符号化: 量子化された数値を、0と1の2進数で表す。
シンジ

音も、結局は数字になっちゃうんだな…

マナ

標本化周波数が高いほど、量子化ビット数が大きいほど、元の音に近い音質になるわ。

3D表現

ポリゴン:3DCGで、物体を表現するための多角形のこと

  • 画像1: ワイヤーフレームで表現された球体(ポリゴン数が少ない)
  • 画像2: ワイヤーフレームで表現された球体(ポリゴン数が多い)
  • 画像3: ポリゴンに色をつけた球体(シェーディング)

解説:

  • ポリゴンは、三角形や四角形などの多角形で、3DCGモデルを構成する基本要素です。
  • ポリゴン数が多いほど、滑らかで詳細なモデルを表現できますが、処理負荷も高くなります。
  • ワイヤーフレーム表示は、ポリゴンの形状を確認するための表示方法です。
  • シェーディングは、ポリゴンに色や陰影をつけ、立体感を表現する技術です。

クリッピング

3次元の物体を、視点から見える範囲で切り取る処理

動画のデジタル表現

マナ

画像や音声と同じように、動画もデジタルデータとして記録・再生されているのよ。

シンジ

動画って、たくさんの画像をパラパラ漫画みたいに表示してるんだよね?

マナ

そう!基本的にはその通り。
でも、そのまま記録するとデータ量がとんでもなく大きくなっちゃうから、色々な工夫がされているの。

動画データの構成要素

  1. フレーム: 動画を構成する1枚1枚の静止画。
    • フレームレート: 1秒間に表示されるフレームの数(fps: frames per second)。フレームレートが高いほど、滑らかな動きになる。
  2. 解像度: 各フレームの細かさ(画素数)。解像度が高いほど、鮮明な映像になる。
  3. 色深度: 各フレームの色情報。ビット数が大きいほど、表現できる色数が増える。
シンジ

静止画の時と同じように、解像度とかビット数とかが関係してくるんだね。

動画圧縮技術

マナ

動画データは、そのまま扱うとサイズが大きすぎるから、圧縮するのが普通なの。
圧縮には色々な方式があるけど、よく使われるのが…

  • H.264/MPEG-4 AVC: 現在、最も広く使われている動画圧縮規格の一つ。
    • 特徴: 高い圧縮率と画質のバランスが良い。Blu-ray Disc、デジタル放送、動画配信サービスなどで採用されている。
    • 仕組み:
      1. フレーム内予測: フレーム内の隣接する画素の情報を使って、符号化対象の画素の値を予測する。
      2. 動き予測・補償: 前後のフレームを参照して、動きのある部分を効率的に符号化する。
      3. DCT変換(離散コサイン変換): 画像データを周波数成分に変換する。
      4. 量子化: 周波数成分の値を粗くすることで、データ量を削減する。
      5. エントロピー符号化: 残ったデータを、出現頻度に応じて効率的に符号化する。
シンジ

うーん…なんだか難しそう…

マナ

大丈夫!全部を理解する必要はないわ。
要は、前のフレームとの差分似ている部分を利用したり、人間の目には分かりにくい情報を削ったりして、データ量を減らしているのよ。

その他の動画圧縮規格

  • MPEG-2: DVD-Videoなどで使われている規格。
  • VP9: Googleが開発したオープンソースの規格。YouTubeなどで使われている。
  • AV1: 次世代のオープンソース規格。高い圧縮率が期待されている。
マナ

動画の形式や圧縮方式は、用途や目的に合わせて使い分けられているの。
これで、動画のデジタル表現についてもバッチリね!

モンスターとの試練バトル(練習問題パート)

マナ:「シンジ、ここまでの知識を試す時が来たわ!マルチメディアデータの洞窟の主、『ピクセラードラゴン』に挑戦よ!」

洞窟の奥から、巨大な竜が現れた。その体は、無数のピクセルで構成されており、色彩は鮮やかだが、どこかギザギザしている。

ピクセラードラゴン:「我が領域を侵す者よ…マルチメディアデータの知識、我に見せてみよ!」

マナ:「ピクセラードラゴンは、画像や音声のデジタル表現に関する問題を出してくるわ。正解すればダメージを与えられるけど、間違えると…強力な攻撃を受けてしまうわよ!」

第1問

ピクセラードラゴン:「画像の表現方法には、ラスタ形式とベクタ形式がある。拡大・縮小しても画質が劣化しないのは、どちらだ?」

  1. ラスタ形式
  2. ベクタ形式
  3. どちらも劣化しない
  4. どちらも劣化する

解答

シンジ:「えーっと…確か、数式で表現するから…拡大しても綺麗なのは…②ベクタ形式だ!」

正解!

ピクセラードラゴンに、光の矢が突き刺さる。

第2問

ピクセラードラゴン:「音をデジタル化するPCM方式の手順を、正しく並べ替えよ。」

A. 量子化 B. 符号化 C. 標本化

  1. A → B → C
  2. C → A → B
  3. B → C → A
  4. C → B → A

解答

シンジ:「音の波形を区切って…高さを数値化して…最後に0と1で表す…だから、② C → A → Bだ!」

正解!

ピクセラードラゴンに、音波のような衝撃波が直撃する。

第3問

ピクセラードラゴン:「動画圧縮規格『H.264/MPEG-4 AVC』の特徴として、間違っているものはどれだ?」

  1. 高い圧縮率と画質のバランスが良い。
  2. Blu-ray Discで採用されている。
  3. フレーム内予測や動き予測・補償などの技術を使っている。
  4. 可逆圧縮方式である。

解答

シンジ:「H.264は…確か、非可逆圧縮だったはず…だから、④ 可逆圧縮方式であるが間違いだ!」

正解!

ピクセラードラゴンに、圧縮されたデータのような塊がぶつかる。

第4問

ピクセラードラゴン:「解像度1920×1080、24ビットカラーの画像1枚のデータサイズは何MBか?ただし、1MB=1,000,000Byteとする」

  1. 約2MB
  2. 約4MB
  3. 約6MB
  4. 約8MB

解答

シンジ:「ええと、1920×1080で、24ビットカラー…ってことは…?」

マナ:「落ち着いて、シンジ!一つずつ計算していけば大丈夫よ!」

シンジ:「…分かった。まず、画像の総ピクセル数を計算するんだよね。ええと…」

1920(横のピクセル数)× 1080(縦のピクセル数)= 2,073,600 ピクセル

シンジ:「次に、1ピクセルあたりの情報量を求めるんだ。24ビットカラーってことは…」

24ビット ÷ 8ビット = 3 Byte (1Byteは8ビットだからね!)

シンジ:「これで、画像全体のデータサイズがByte単位で計算できるぞ!」

2,073,600ピクセル × 3 Byte/ピクセル = 6,220,800 Byte

シンジ:「最後に、ByteをMBに変換すればいいんだね!」

6,220,800 Byte ÷ 1,000,000 Byte/MB = 6.2208 MB

シンジ:「だから、答えは…③ 約6MBだ!」

正解!

ピクセラードラゴンに、光の粒子が集まり巨大なビームが放たれる。

【解説】

この問題は、以下の手順で計算します。

  1. 総ピクセル数を計算:
    • 横のピクセル数 × 縦のピクセル数 = 総ピクセル数
    • 例:1920 × 1080 = 2,073,600 ピクセル
  2. 1ピクセルあたりの情報量(Byte)を計算:
    • ビット数 ÷ 8ビット/Byte = Byte/ピクセル
    • 例:24ビット ÷ 8ビット/Byte = 3 Byte/ピクセル
  3. 画像全体のデータサイズ(Byte)を計算:
    • 総ピクセル数 × 1ピクセルあたりの情報量(Byte)= データサイズ(Byte)
    • 例:2,073,600ピクセル × 3 Byte/ピクセル = 6,220,800 Byte
  4. ByteをMBに変換:
    • データサイズ(Byte)÷ 1,000,000 Byte/MB = データサイズ(MB)
    • 例:6,220,800 Byte ÷ 1,000,000 Byte/MB = 6.2208 MB

最終問題

ピクセラードラゴン:「我が究極の問題に答えよ!…と言いたいところだが、今回は特別に、お前たちの知識を試す、実践的な問題を出題しよう。」

ピクセラードラゴンは、翼を広げ、洞窟の壁に、複数の画像を表示した。

ピクセラードラゴン:「これらの画像の中から、最もデータサイズが小さい画像を選び、その理由を説明せよ!」

表示された画像:

  1. 高解像度の風景写真(JPEG形式, 1920×1080ピクセル, 24ビットカラー)
  2. シンプルなロゴマーク(PNG形式, 200×200ピクセル, 8ビットカラー)
  3. アニメーションGIF(10フレーム, 320×240ピクセル, 8ビットカラー)
  4. ベクタ形式で描かれたイラスト(サイズは可変)
  5. 低解像度の白黒写真(BMP形式, 640×480ピクセル, 1ビットカラー)

解答

シンジ:「ええと…これは…難しいな…」

マナ:「シンジ、落ち着いて!これまで学んだことを思い出して!画像の形式、解像度、色数…色々な要素を考慮する必要があるわ!それぞれの画像の特徴を整理してみましょう!」

シンジ:「分かった!ええと、まず…」

  • 1. 高解像度の風景写真(JPEG形式):
    • JPEGは非可逆圧縮。写真に向いているけど、解像度が高いからデータサイズは大きくなりそう。
  • 2. シンプルなロゴマーク(PNG形式):
    • PNGは可逆圧縮。ロゴのような色数が少ない画像に向いている。解像度も低いから、データサイズは小さそう。
  • 3. アニメーションGIF:
    • GIFは可逆圧縮だけど、アニメーションだからフレーム数が多いほどデータサイズが大きくなる。
  • 4. ベクタ形式で描かれたイラスト:
    • ベクタ形式は、拡大縮小してもデータサイズは変わらない。
  • 5. 低解像度の白黒写真(BMP形式):
    • BMPは無圧縮、または可逆圧縮。解像度は低いが、白黒(1bit)なので、色数は少ない。

シンジ:「うーん…データサイズが小さいのは…2のロゴマークか、4のベクタ形式か、あるいは5の白黒写真か…」

マナ:「そうね…それぞれのデータサイズを概算してみましょう!」

シンジ:「やってみるよ!」

(ここで、各画像のデータサイズを概算する計算過程を記述します。ただし、正確な計算は不要です。概算で大小関係が判断できればOK)

  • 1. JPEG: (圧縮率が不明なので概算は難しいが、他の画像より大きくなる可能性が高い)
  • 2. PNG: 200 x 200 x 8 ÷ 8 = 40,000 Byte = 約0.04MB
  • 3. GIF: (フレーム間の差分にもよるが、10フレームもあるので、2よりは大きくなる可能性が高い)
  • 4. ベクタ形式: (具体的なデータサイズは不明だが、一般的には非常に小さい)
  • 5.BMP: 640 x 480 x 1 ÷ 8 = 38,400 Byte =約0.04MB

シンジ:「計算してみたけど…2のPNGと5のBMPが同じくらいの小ささで、4のベクタ形式はもっと小さいかもしれない…」

マナ:「素晴らしいわ、シンジ!正解は…4. ベクタ形式で描かれたイラストよ!」

ピクセラードラゴン:「なぜ、その答えを選んだ?」

シンジ:「ベクタ形式は、画像を数式で表現するから、解像度に関係なくデータサイズが小さくなるんだ。他の画像は、解像度や色数、形式によってデータサイズが変わるけど、ベクタ形式は、どんなに拡大しても、データサイズはほとんど変わらないって学んだから!」

ピクセラードラゴン:「…見事だ」

正解!

ピクセラードラゴンは、大きく唸り声を上げ、光の粒子となって消滅した。

マナ:「やったわね、シンジ!見事、ピクセラードラゴンを倒したわ!」

スキル習得

ナレーション:「シンジは、『マルチメディアデータ解析』のスキルを習得した!

マナ:「このスキルがあれば、画像や音声のデータを見ただけで、その形式や特徴、データサイズなどを、ある程度推測できるようになるわ。今後の冒険で、きっと役に立つはずよ!」

ストーリパートⅡ

ピクセラードラゴンを打ち破り、『マルチメディアデータ解析』のスキルを会得したシンジ。だが、達成感に浸る間もなく、彼の表情は曇っていた。

マナ:「シンジ、どうしたの? せっかく勝ったのに、元気ないじゃない…」

シンジ:「…マナ、さっきの戦い、結局、知識の欠片は手に入らなかっただろ…それに…」

シンジは、ピクセラードラゴンが消滅する刹那、その瞳に浮かんだ、人間のような悲哀の色を思い出し、胸が締め付けられる思いがしていた。

マナ:「…そうね…でも、クヨクヨしたって始まらないわ。私たちは前に進むしかないの。」

その時、二人の視界の隅で、洞窟の奥に微かな光が瞬いた。

シンジ:「あれは…?」

光に導かれるように歩み寄ると、そこには、小さな水晶のようなものが落ちている。

シンジ:「これは…知識の欠片か…?」

シンジは、水晶のようなものを拾い上げた。しかし、以前手に入れた欠片とは異なり、歪な形状で、禍々しい光を放っている。

マナ:「シンジ、気をつけて!何だか、嫌な感じがするわ…」

マナが警告するが、シンジは光に魅入られたように、欠片をじっと見つめていた。

シンジ:「…何だろう、これ…吸い込まれそうだ…」

シンジが欠片に手を伸ばした、その瞬間!

CBTウィッチ(声):「クックック…愚か者め…よくぞ見つけた…我が甘美なる誘いを…」

どこからともなく、嘲笑うような不気味な声が洞窟に響き渡る。

マナ:「この声…まさか…CBTウィッチ!」

マナの叫びと同時に、洞窟の壁に、おどろおどろしい黒い影が浮かび上がった。影は、徐々に人の形を成し、やがて、妖艶な微笑を浮かべた魔女の姿を現した。

CBTウィッチ:「そう…私がCBTウィッチ…。お前たちが探している知識の欠片は…私が全て頂く…! その前に…邪魔なネズミには、お仕置きが必要ね…」

CBTウィッチは、不気味な笑みを浮かべ、シンジが手にしている欠片を指さした。

CBTウィッチ:「それは、私が仕掛けた偽りの知識の欠片…。お前を、永遠の闇に閉じ込めるための、甘美な罠よ!」

CBTウィッチは、長く伸びた爪をシンジに向け、呪文を紡ぎ出す。

CBTウィッチ:「小さき獣の姿となりて、その身に絶望を刻むがいい!…『モーフィング・カース!』」

呪文が放たれると同時に、シンジが手にしていた欠片が眩い閃光を放ち、激痛が彼の全身を貫く…!

シンジ:「ぐわあああああ!」

マナ:「シンジ!! やめて!」

マナがCBTウィッチに飛びかかろうとするが、遅かった。閃光が収まるよりも早く、洞窟の入り口から、一条の光が射し込む!

まなびや導師:「CBTウィッチ!そこまでだ。これ以上、若者の未来を奪うことは許さん」

光の中から、威厳に満ちた声とともに、まなびや導師が現れ、杖を構えた。

CBTウィッチ:「チッ…邪魔をするな、導師!」

まなびや導師:「…破邪の光! 『ホーリー・バニッシュ!』」

導師の杖から放たれた純白の光が、CBTウィッチを直撃する。

CBTウィッチ:「ぎゃああああ!…覚えておれ…この借りは必ず返す…!」

CBTウィッチは、苦悶の表情を浮かべ、黒い霧とともにその場から逃げ去った。

だが、シンジを襲った呪いは、既に発動した後だった。光の中から現れたのは、小さく、か弱い、一匹のカエルの姿…。

マナ:「シンジ…嘘でしょ…こんな…」

マナは、変わり果てたシンジの姿に、言葉を失い、涙を流す。

まなびや導師:「…すまない…もう少し早ければ…」

導師は、悲痛な面持ちで、カエルになったシンジを見つめる。

マナ:「導師様…シンジは…シンジは、もう喋ることも、考えることもできないの…?」

マナは、震える声で導師に問いかける。

まなびや導師:「いや、マナ、落ち着きなさい。シンジ、聞こえるか? 私の声が…」

カエルになったシンジは、小さく震えながらも、ゆっくりと頷いた。

まなびや導師:「シンジ、君の姿はCBTウィッチの呪いによって変えられてしまったが、君の本質…心や精神、思考力は失われていない。今まで通り話すこともできるし、考えることもできる。ただ…その姿ゆえの物理的な制約は受けることになるだろう…」

シンジは、自分の小さな手足を見つめ、動かそうとするが、うまく力が入らない。代わりに、体がぴょこんと跳ねた。

シンジ:「(カエルの姿で)…喋れる…考えられる…でも……これじゃあ…」

マナ:「シンジ…」

マナは、カエルになったシンジを優しく手に乗せ、涙を拭った。

まなびや導師:「CBTウィッチは、様々なセキュリティリスクを具現化した存在…。彼女を倒さねば、この呪いは解けない」

導師は、CBTウィッチが消え去った場所を指差した。そこには、逃走の際に残された、微かに光る血痕のようなものが、点々と続いている。

まなびや導師:「ウィッチは、先ほどの一撃で深手を負ったはずだ。この血痕を辿れば、追跡できるだろう」

導師は、カエルの姿のシンジに語りかけた。

まなびや導師:「シンジ…この試練は、君自身の力で乗り越えなければならない。残念ながら、私は、これ以上手助けすることはできないのだ」

そして、マナに視線を移し、厳かに告げた。

まなびや導師:「この旅の途中で…CBTウィッチは、必ずや『ダークホール』と呼ばれる罠を仕掛けてくるだろう」

マナ:「ダークホール…?」

まなびや導師:「それは、ダークウェブの暗喩…。ウィッチは、ダークホールを使って、君たちの精神を汚染し、支配しようとしてくる。何があっても、ダークホールを覗いてはいけない。覗けば最後…精神は不可逆的に壊され、二度と元には戻れなくなる可能性が高い」

シンジ:「(カエルの姿で)ダークホール…分かった。絶対に覗かない…」

まなびや導師:「…よろしい」

導師は、懐から、神秘的な輝きを放つ、小さな水晶を取り出し、マナに手渡した。

まなびや導師:「これを…。いつか、君たちの旅の役に立つときが来るだろう」

導師は、そう言い残すと、眩い光の粒子となって、その場から姿を消した。

CBTウィッチが消え去った場所には、先ほどの禍々しい光を放つ偽物の欠片は消え失せ、代わりに澄んだ光を放つ小さな欠片が落ちていた。マナは、それを拾い上げ、大切に胸にしまった。

マナ:「シンジ…行きましょう。これは本物の知識の欠片よ。きっと私たちを導いてくれる。CBTウィッチを倒し、あなたの呪いを解くために…」

マナは、涙を拭い、カエルになったシンジを優しく手に乗せ、決意を込めて言った。

シンジ:「(カエルの姿で)ああ…必ず元の姿に戻って、この世界を…そしてマナを、守ってみせる…!」

こうして、シンジとマナは、CBTウィッチの残した血痕を辿り、CBTウィッチ討伐という、新たな、そして過酷な冒険へと旅立つ。

おまけコラム

今回の内容に関連して、コラムを4本書きました。以下、ご紹介いたします。

それぞれ少しずつ書き味を変えて書いてみました。さらにお役に立てる情報を発信できるよう頑張って参ります。