令和6年度第2回試験 法規科目第1問の過去問解説です。
今回から実験的に、会話形式とマンガを使って過去問解説をしていきます。楽しんでいただけたら、幸いです。
会話形式とマンガのキャラには関連性はありません。
会話形式のキャラ設定は次のとおりです。

タクミ(拓海):23歳、新卒で通信会社に入社したばかりの若手社員。
まじめで努力家だが、少し要領が悪い。質問が多く、細かい部分まで確認したがるタイプ。
口癖:「これ、もう一回説明してもらっていいですか?」

ユウナ(優奈):27歳、転職を目指して資格取得に励む元販売員。
実用性重視で、「試験に出るか」が気になるリアリスト。明るく気さく。
口癖:「それって、試験に出ます?」

ケンタ(健太):19歳、工業高校卒業後に現場で働いている実務経験者。
実践派で、「理論より実践!」という考えの持ち主。
口癖:「現場ではこうだけど、試験だと違うんスか?」

ミナミ(美波):30歳、すでに第二級デジタルを持っており、次は第一級を目指しているベテラン受験者。
冷静で分析的。まなびや先生にも時々ツッコミを入れることがある。
口癖:「それ、テキストのどこに書いてありました?」
第1問 次の各文章の□内に、それぞれの解答群の中から、「電気通信事業法」又は「電気通信事業
法施行規則」に規定する内容に照らして最も適したものを選び、その番号を記せ。(小計20点)
問1(1) 基礎的電気通信役務、管理規定
電気通信事業法に規定する「基礎的電気通信役務の提供」及び「管理規程」について述べた次の
二つの文章は、(ア) 。 (4点)
A 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定的な提供に努めなければならない。
B 電気通信事業者は、総務省令で定めるところにより、事業用電気通信設備の管理規程を定め、電気通信事業の開始前に、総務大臣の許可を受けなければならない。
① Aのみ正しい ② Bのみ正しい ③ AもBも正しい ④ AもBも正しくない
出典:令和6年度第2回第1問(1)
解答
①
解説

さて、今回は『基礎的電気通信役務』と『管理規程』について見ていこう!

この問題、記述Bがなんか違和感あるんですけど…。『許可』じゃなくて『届出』じゃないですか?

あ、それ、試験に出るやつですね! 総務大臣に届け出るだけで、許可まではいらないって覚えました。

現場じゃあんまり意識しないけど、これ法律的に重要なんスか?

お、それはいい質問だね。管理規程を作成するのは、事業用電気通信設備を適切に運用するための基本だよ。だから、総務大臣への届出が義務付けられているんだ。

これ、電気通信事業法第44条に明確に書いてありますよね。
記述Bは許可じゃなくて届出だから、誤りってわけです。

なるほど! 記述Aは正しいから、正解は①なんですね。

その通り! じゃあ次の問題に進もうか。
管理規程については、電気通信事業者が総務省令に基づき作成する義務がありますが、**「総務大臣の許可」**は不要です。
代わりに、**「総務大臣への届出」**が必要とされています。
「許可」が必要であるとの記述は誤りです。
根拠条文
基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべき次に掲げる電気通信役務をいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定的な提供に努めなければならない。
電気通信事業者は、総務省令で定めるところにより、第四十一条第一項から第五項まで(第四項を除く。)又は第四十一条の二のいずれかに規定する電気通信設備(以下「事業用電気通信設備」という。)の管理規程を定め、電気通信事業の開始前に、総務大臣に届け出なければならない。
マンガで解説

参考資料

参考資料の該当ページです。
問1(2) 業務の改善命令
電気通信事業法の「業務の改善命令」に規定する、総務大臣が、該当すると認めるときは、電気通信事業者に対し、利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる場合について述べた次の文章のうち、誤っているものは、(イ) である。(4点)
① 電気通信事業者の業務の方法に関し通信の秘密の確保に支障があるとき。
② 電気通信事業者が重要通信に関する事項について適切に配慮していないとき。
③ 電気通信事業者が提供する電気通信役務に関する提供条件(料金を除く。)が端末設備の使用の態様を不当に制限するものであるとき。
④ 電気通信事業者が特定の者に対し不当な差別的取扱いを行っているとき。
⑤ 事故により電気通信役務の提供に支障が生じている場合に電気通信事業者がその支障を除去するために必要な修理その他の措置を速やかに行わないとき。
出典:令和6年度第2回第1問(2)
解答
③
解説

みんな、今日は電気通信事業法の『業務の改善命令』についてやっていくよ。
問題は、どの選択肢が誤っているかを問うものだね。

先生、これって何が誤りなのか、いまいちピンと来ません。
③が答えって書いてあるけど…。

いい質問だね。選択肢③では『端末設備の使用の態様』と書かれているけれど、正しくは『電気通信回線設備の使用の態様』なんだ。
条文にも明確に書いてあるよ。

それって、試験に出そうなポイントですよね?
正確な用語を覚えないと引っかかりそう!

その通り!試験では、こういった微妙な違いをつく問題がよく出るんだ。特に『端末設備』と『電気通信回線設備』を間違えないように注意しよう。

でも、現場ではこういう用語の違いって、あんまり気にしない気がするんスけど…。試験では別ってことッスか?

現場では確かに大雑把に言うこともあるけど、試験では条文そのものを問うから、公式な表現をそのまま覚えておくことが大切なんだよ。

条文の第29条第七号ですね。この部分は何度か出題されていますし、しっかり押さえておきましょう。

いい指摘だね。ほかの選択肢はすべて正しい内容だから、③の微妙な違いに気づけるよう、普段から条文を確認しておこう!
業務の改善命令に関する条文
総務大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、電気通信事業者に対し、利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。
一電気通信事業者の業務の方法に関し通信の秘密の確保に支障があるとき。
二電気通信事業者が特定の者に対し不当な差別的取扱いを行つているとき。
三電気通信事業者が重要通信に関する事項について適切に配慮していないとき。
四電気通信事業者が提供する電気通信役務(基礎的電気通信役務(届出契約約款に定める料金その他の提供条件により提供されるものに限る。)又は指定電気通信役務(保障契約約款に定める料金その他の提供条件により提供されるものに限る。)を除く。次号から第七号までにおいて同じ。)に関する料金についてその額の算出方法が適正かつ明確でないため、利用者の利益を阻害しているとき。
五電気通信事業者が提供する電気通信役務に関する料金その他の提供条件が他の電気通信事業者との間に不当な競争を引き起こすものであり、その他社会的経済的事情に照らして著しく不適当であるため、利用者の利益を阻害しているとき。
六電気通信事業者が提供する電気通信役務に関する提供条件(料金を除く。次号において同じ。)において、電気通信事業者及びその利用者の責任に関する事項並びに電気通信設備の設置の工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確でないため、利用者の利益を阻害しているとき。
七電気通信事業者が提供する電気通信役務に関する提供条件が電気通信回線設備の使用の態様を不当に制限するものであるとき。
八事故により電気通信役務の提供に支障が生じている場合に電気通信事業者がその支障を除去するために必要な修理その他の措置を速やかに行わないとき。
九電気通信事業者が国際電気通信事業に関する条約その他の国際約束により課された義務を誠実に履行していないため、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあるとき。
十電気通信事業者が電気通信設備の接続、共用又は卸電気通信役務(電気通信事業者の電気通信事業の用に供する電気通信役務をいう。以下同じ。)の提供について特定の電気通信事業者に対し不当な差別的取扱いを行いその他これらの業務に関し不当な運営を行つていることにより他の電気通信事業者の業務の適正な実施に支障が生じているため、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあるとき。
十一電気通信回線設備を設置することなく電気通信役務を提供する電気通信事業の経営によりこれと電気通信役務に係る需要を共通とする電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する電気通信事業の当該需要に係る電気通信回線設備の保持が経営上困難となるため、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあるとき。
十二前各号に掲げるもののほか、電気通信事業者の事業の運営が適正かつ合理的でないため、電気通信の健全な発達又は国民の利便の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。
※太字部分は、本問と関係する箇所を示したものです。
「端末設備の使用の態様」ではなく、
「電気通信回線設備の使用の態様」が正しい内容です(同法第29条第七号)
マンガで解説

参考資料

参考資料の該当ページです。
問1(3) 工事担任者資格者証、工事の実施及び監督
電気通信事業法に規定する「工事担任者資格者証」又は「工事担任者による工事の実施及び監督」について述べた次の文章のうち、誤っているものは、(ウ)である。 (4点)
① 工事担任者資格者証の種類及び工事担任者が行い、又は監督することができる端末設備若しくは自営電気通信設備の接続に係る工事の範囲は、総務省令で定める。
② 利用者は、端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者に、当該工事担任者資格者証の種類に応じ、これに係る工事を行わせ、又は実地に監督させなければならない。ただし、総務省令で定める場合は、 この限りでない。
③ 総務大臣は、工事担任者試験に合格した者と同等以上の知識及び技能を有すると総務大臣が認定した者に対し、工事担任者資格者証を交付する。
④ 総務大臣は、工事担任者資格者証の交付を受けようとする者の養成課程で、指定試験機関が総務省令で定める基準に適合するものであることの認定をしたものを修了した者に対し、工事担任者資格者証を交付する。
出典:令和6年度第2回第1問(3)
解答
④
解説

今日は『工事担任者資格者証』についての問題を解説しますよ。
どこが誤っているか、ちゃんと確認してみましょう。

④が答えって書いてありますけど、どの部分が間違いなんですか?

いい質問ですね。
選択肢④では、『指定試験機関が総務省令で定める基準に適合するもの』と書いてあるけど、正しくは『総務大臣が認定したものを修了した者』なんです。
つまり、『指定試験機関』ではなく『総務大臣』が認定します。

あー、これも微妙な言い回しの違いですね!試験に出そうなポイントって感じがします!

現場では正直、こういう細かい言葉の違いって気にしないッスけど、試験では重要なんスね。

その通りです。条文に忠実な表現を覚えておくのが、試験合格への近道ですね。

その通りです。条文に忠実な表現を覚えておくのが、試験合格への近道ですね。
工事担任者資格者証は、
総務大臣が総務省令で定める基準に適合するものであることの認定をしたものを修了した者に対し、交付。
マンガで解説

参考資料

参考資料の該当ページです。
問1(4) 工事担任者資格者証
電気通信事業法に規定する「 工事担任者資格者証」 について述べた次の二つの文章は、(エ)。(4点)
A 総務大臣は、電気通信事業法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、 又はその執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者に対しては、工事担任者 資格者証の交付を行わないことができる。
B 総務大臣は、電気通信事業法の規定により工事担任者資格者証の返納を命ぜられ、その日 から1年を経過しない者に対しては、工事担任者資格者証の交付を行わないことができる。
① Aのみ正しい ② Bのみ正しい ③ AもBも正しい ④ AもBも正しくない
出典:令和6年度第2回第1問(4)
解答
②
解説

みなさん、今日は電気通信事業法における『工事担任者資格者証』に関する問題を解説します。この問題では、AとBのどちらが正しいかを問われていますね。

Aが正しいように思うんですけど、どこが違うんですか?

Aの文章にある『3年』という期間が誤りです。正確には『2年』と規定されています。これが、電気通信事業法第46条および第72条に基づく正しい内容です。

なるほど、数字の部分が引っかけなんですね。試験ではこういうところをしっかり見ないといけないってことですね。

確かに、数字の間違いって意外と見落としやすいですね。こういうミスが命取りになりますよね。

Bの『1年』は正しい期間なので、選択肢②が正解になるということですね。
条文の正確な確認が大事です。

その通りです。特に法律系の問題では、条文の正確な内容を覚えておくことが試験対策の基本になります。少しずつ覚えていきましょう。
- 返納を命ぜられ、その日から一年を経過しない者
- 罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
根拠条文
4 総務大臣は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、電気通信主任技術者資格者証の交付を行わないことができる。
一 次条の規定により電気通信主任技術者資格者証の返納を命ぜられ、その日から一年を経過しない者
二 この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
※ここでは、第72条により、工事担任者と読み替える
マンガで解説

参考資料

参考資料の該当ページです。
問1(5) 端末設備の接続請求を拒める場合
電気通信事業法施行規則において、電気通信事業者 が利用者からの端末設備の接続請求を拒める場合は、利用者から、端末設備であって(オ) を使用するもの(別に告示で定めるもの を除く。)及び公衆電話機その他利用者による接続が著しく不適当なものの接続の請求を受けた 場合と規定されている。(4点)
① 赤外線 ②直流電圧 ③ 強電流電気 ④ 帯域外信号 ⑤ 電 波
出典:令和6年度第2回第1問(5)
解答
⑤
解説

『端末設備の接続請求を拒める場合』に関する問題を解説します。
この問題の正解は⑤の『電波』です。

『電波を使用するもの』がダメなんですね。他の選択肢と何が違うんでしょうか?

良い質問ですね。電波を使用する端末設備は、接続が不適切と判断される場合があるため、例外的に拒否されることがあります。これは第三十一条の条文に基づいています。その他の選択肢、例えば赤外線や直流電圧などは、接続拒否の理由に該当しません。

試験では、条文の用語そのものを覚えるのが重要ですね!やっぱり『電波』がキーワードなんですね。

これ、具体的にどんな場面で使われるんスか?ちょっとピンと来なくて…。

例えば、無許可の無線通信機器が接続されると、他の通信に悪影響を及ぼす可能性があります。そういったリスクを避けるための規定なんですよね。

その通りです。試験対策としては、『接続請求を拒める場合』の具体例として、『電波を使用する端末設備』をしっかり覚えておきましょう。
端末設備の接続請求を拒める場合は、利用者から、端末設備であって電波を使用するもの
根拠条文
第三十一条 法第五十二条第一項の総務省令で定める場合は、利用者から、端末設備であつて電波を使用するもの(別に告示で定めるものを除く。)及び公衆電話機その他利用者による接続が著しく不適当なものの接続の請求を受けた場合とする。
マンガで解説

参考資料

参考資料の該当ページです。
以上で第1問の解説はおわりです。楽しんでいただけましたら幸いです。では、また第2問の解説でお会いしましょう。
まなびやの講師です。