工事担任者 過去問解説 令和6年第1回 基礎(総合通信)

令和6年度第1回試験 基礎科目の過去問解説です。

第1問(1)キルヒホッフの法則

問題

解答

解説

キルヒホッフの法則を使って解きます。

与えられた電流の値から、回路全体の電流の流れを仮定します。

電源が2か所あるので、それぞれで閉回路を作り、オームの法則(V=I×R)から式を立てて解きます。

解説動画もご用意しています。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

出題率は高く、解けるようになると強力な武器になります。一方、電気計算が苦手な人にとっては習得に時間がかかる単元です。試験直前期で時間が無いときは、捨て問にして、他の暗記問題に力を入れた方が得策です

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 28

リックテレコム社

該当ページ 26

第1問(2)皮相電力

問題

解答

解説

RLC直列回路の合成インピーダンスは、次の式で求められます。

\(\color{red}{Z = \sqrt{R^2 + \left(X_L – X_C\right)^2}}\)

公式に、問題文の数値を代入します。

\(\begin{align*}
Z &= \sqrt{R^2 + \left(X_L – X_C\right)^2} \\[6pt] &= \sqrt{20^2 + \left(36 – 15\right)^2} \\[6pt] &= \sqrt{400 + 21^2} \\[6pt] &= \sqrt{400 + 441} \\[6pt] &= \sqrt{841} \\[6pt] &= 29 \text{ Ω}
\end{align*}\)

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

交流回路の計算の中では、比較的簡単な問題です。とはいえ、電気計算が苦手な場合は無理せず、暗記問題を優先して取り組みましょう。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 29

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該当ページ 49

第1問(3)レンツの法則

問題

解答

解説

コイルを貫く磁束が変化すると、コイルに電磁誘導が起こり、起電力が発生します。この起電力は、磁束の変化に抵抗する方向、つまりその変化を妨げる向きに発生するものです。これがまさにレンツの法則の原理です。

レンツの法則では、「誘導電流が、外部からの磁束変化を妨げる方向に流れる」と示されています。つまり、外からの変化に逆らう方向で力を発生させることで、エネルギーの保存が保たれるのです。

ここでの選択肢の中で、この磁束変化に伴って生じる力を正しく表すのが「起電力」です。電磁力や起磁力など他の選択肢は、物理的には異なる現象や概念を指すため、ここでは正解ではありません。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

試験頻出です。詳しい内容まで立ち入らなくても大丈夫。レンツの法則ー起電力をセットにして覚えておきましょう。

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まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 16

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該当ページ 36

第1問(4)誘導性リアクタンス

問題

解答

解説

まず、「誘導性リアクタンス」というのは、コイルが交流回路で電流の流れに対して示す抵抗のような性質です。このリアクタンスXL の大きさは、以下の式で表されます:

\(X_L = 2 \pi f L \)

f は交流の周波数、
L は自己インダクタンス(ヘンリー)です。


この式からもわかる通り、誘導性リアクタンス
X Lは、交流の周波数f に比例します。

したがって、選択肢の中で正解となるのは「① 交流電流の周波数」です。

他の選択肢についても確認しておきましょう。

交流電流の平均値や実効値は、リアクタンスの値には影響を与えません。これらは、電流の強さの指標であって、周波数とは無関係です。


また、直流電流は周波数がゼロであるため、そもそもリアクタンスを生じません。つまり、直流がコイルを流れる場合、抵抗のみが関係し、リアクタンスは発生しないのです。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

この問題では、「交流電流の周波数」というワードを覚えることも大切ですが、公式2πfLもあわせて覚えておきましょう。公式自体が問われることもありますし、何よりも公式を覚えていれば、選択肢の表現が異なっても対応できます。

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まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 16

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該当ページ 46

第2問(1)半導体

問題

解答

解説

半導体中で、自由電子や正孔が「濃度の高い場所から低い場所へ移動する現象」を何と呼ぶかという質問です。これは「拡散」と呼ばれる現象で、温度や濃度の違いにより、物質が自然に均一な状態に近づこうとする性質に由来します。

この現象は、半導体デバイスで重要な役割を果たしており、PN接合やトランジスタなどでも応用されています。濃度差によって自由電子や正孔が動くことで、電流が生じたり電荷が再分布されるのです。

他の選択肢も確認しておきましょう(出題可能性は高くありませんので、ここは飛ばしても大丈夫です):

整合:主に、デバイスの性能や接続条件に適合させるための調整の意味で使われます。


イオン化:物質がイオンを生成するプロセスを指し、特に原子や分子が電気的に中性でなくなる現象を示します。


再結合:自由電子と正孔が結合して、互いに打ち消し合う現象です。


帰還:フィードバック現象のことで、半導体回路において出力信号の一部を入力に戻すことを指します。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

これもよく出る内容です。半導体は計算問題が難しいものが多いので、本問のような暗記問題で点を取れるようにしておきましょう。なお、半導体の暗記事項については、私の著書でもまとめておりますので、よければ一度お手にとってみてください(宣伝乙)。

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まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 36

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該当ページ 59

第2問(2)トランジスタ増幅回路 VCE

問題

解答

解説

VCEは、\(V_{CE} = V_{CC} – I_C \times R_3\)で求められます。

計算をするためにICの値を求める必要があります。ICは次の3ステップで求めることができます(上の図をご参照ください)

ステップ1:VBEを計算します。

\(V_{BE} = \frac{R_1}{R_1 + R_2} \times V_{CC}
= \frac{100}{100 + 2400} \times 20
= 0.8\)

ステップ2:図2から、VBE=0.8[v]のところを探します。グラフより、IB=40[μA]とわかります。

ステップ3:図3から、IB=40[μA]のところを探します。グラフより、Ic=4[mA]とわかります。

次に、この値を元に\(V_{CE} = V_{CC} – I_C \times R_3\)を計算します。

\( V_{CE} = V_{CC} – I_C \times R_3 = 20 – 16 = 4\ [\mathrm{V}] \)

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

トランジスタ計算は難しい(手順がややこしい)問題が多いです。本問が難しいと感じる場合は無理せず、捨て問にしてしまいましょう。ただ、捨て問にする場合も必ず答えにマークはしておいてください。マークシートですから、1/5の確率で当たります。そんなバカなと思われるかも知れませんが、「適当にマークした1問が当たって、ぎりぎり合格点に届いた」という人は毎年少なからずおられます。もちろん、攻略できそうなら攻略しておくのが一番です。試験までの残り時間を考えて戦略的に取り組みましょう。

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まなびや

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該当ページ 48

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該当ページ 90

第2問(3)ダイオードの特徴

問題

解答

解説

まず記述Aのフォトダイオードについて確認します。
フォトダイオードは、光を電気に変換する半導体素子です。PN接合に逆方向電圧を加え、光を照射すると、光の強さに応じた電流(光電流)が流れます。これは光を受けて発生する電荷によるもので、太陽電池にも類似した仕組みです。

続いて記述BのLEDについて確認します。
LEDは「Light Emitting Diode」の略称で、電気を光に変換する半導体素子です。PN接合に順方向電圧を加えることで、電子と正孔が再結合し、光を放出します。この特性を利用して、様々な照明や表示装置に使用されています。

このように、AとBの記述はどちらも正しいため、正解は③「AもBも正しい」となります。

(ポイント)


フォトダイオードとLEDは、どちらもダイオードの一種ですが、働きが逆です。

・フォトダイオードは「光を電気に変換」

・LEDは「電気を光に変換」

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

ダイオードの特徴に関する問題は、毎回と言っていいほど出ます。その中でもフォトダイオードとLEDはよく問われます。光→電気、電気→光と、逆の関係になっているので、混同しないように注意しましょう。LEDは、LED電球などを意識してもらうと、電気→光という流れを覚えやすくなると思います

なお、フォトダイオードは、年度によってはホトダイオートと表記が変わることがあります。内容は同じですので、どちらでも対応できるようにしておきましょう。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 37

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該当ページ 60

第2問(4)接合型電界効果トランジスタ

問題

解答

解説

接合型電界効果トランジスタ、略してJFET(Junction Field-Effect Transistor)は、電界効果を使って電流を制御する半導体素子です。この素子の動作原理として、ゲート電極に加える電圧によって、半導体内部の多数キャリア(電子や正孔)の流れを制御します。

JFETには、以下のような特徴があります:

ゲート電極に負の電圧をかけると、チャネルが狭くなり、ドレインからソースへ流れる電流が減少します。
ゲート電圧が変化することで、チャネルの幅が変わり、それによって電流が制御される仕組みです。


他の選択肢についても確認しておきましょう

・ドレインとソースは、電流の流れる経路の始点と終点を指すため、制御には関わりません。


・ベースとアノードは、それぞれバイポーラトランジスタやダイオードで使われる用語で、JFETには該当しません。

ここで、接合型電界効果トランジスタと、バイポーラトランジスタの違いについて整理しておきます。

1. 動作の仕組み

  • FET(電界効果トランジスタ)
    FETは、電界(電場)を利用して電流を制御するトランジスタです。ゲート電極に電圧をかけると、その電界によってチャネルが狭くなったり広がったりします。これにより、ドレインからソースへの電流の流れを制御します。つまり、FETは電圧制御素子です。
  • バイポーラトランジスタ
    一方、バイポーラトランジスタは、ベース電流を利用してコレクタ電流を制御します。具体的には、ベース電極に少量の電流を流すことで、コレクタからエミッタへの電流を増幅する仕組みです。バイポーラトランジスタは電流制御素子と呼ばれます。

2. キャリアの種類

  • FET
    FETでは、主に**1種類のキャリア(多数キャリア)**が流れます。NチャネルFETでは電子、PチャネルFETでは正孔が流れ、片側のキャリアだけで動作するので「ユニポーラ(単極)」トランジスタと呼ばれます。
  • バイポーラトランジスタ
    バイポーラトランジスタでは、電子と正孔の2種類のキャリアが流れ、これによって電流が増幅されます。このため、バイポーラ(双極)トランジスタと呼ばれます。

3. 入力インピーダンス

  • FET
    FETはゲートにほとんど電流が流れないため、入力インピーダンスが非常に高いのが特徴です。この特性により、信号源への負荷が小さく、微弱信号の増幅に適しています。
  • バイポーラトランジスタ
    バイポーラトランジスタはベース電流が必要なため、入力インピーダンスは比較的低いです。このため、FETに比べると信号源に多少負荷がかかります。

まとめ

重要度、ひとことアドバイス

FETとバイポーラトランジスタは、「電圧制御」か「電流制御」か、使用するキャリアの種類、入力インピーダンスなどに大きな違いがあります。FETは高入力インピーダンスと電圧制御を活かして微弱信号の増幅に適しており、バイポーラトランジスタは電流増幅率が高いため電力増幅に向いています。

重要度:
まなびや

この問題では、「ゲート電圧でキャリアの流れを制御する」という点を押さえておきましょう。これは、FET(電界効果トランジスタ)の特徴であり、バイポーラトランジスタと異なる点です。試験でもよく問われるポイントなので、しっかり理解しておくと役立ちます。

第2問(5)トランジスタの静特性

問題

解答

解説

電流伝達特性とは?

エミッタ接地方式のトランジスタ回路で、コレクタ-エミッタ間の電圧 VCEV_{CE}VCE​ を一定に保ちながら、ベース電流 IB とコレクタ電流 IC の関係を示した特性が「電流伝達特性」と呼ばれます。この特性は、トランジスタの増幅機能を理解するために非常に重要です。

トランジスタでは、ベース電流 IBが小さいにもかかわらず、その変化がコレクタ電流 ICを大きく変化させることができます。つまり、コレクタ電流はベース電流の増幅されたものと考えられます。この関係を明確に示すのが電流伝達特性です。

他の選択肢について

  • 入力特性:これは、ベース-エミッタ間の電圧 VBE とベース電流 IBとの関係を示すものです。
  • 出力特性:コレクタ-エミッタ間の電圧 VCE とコレクタ電流 IC との関係を示します。
  • 電圧帰還特性:一般的にトランジスタの静特性には含まれません。フィードバック回路で用いられる特性です。
  • 変調特性:通信や信号処理の分野で用いられる特性で、トランジスタの静特性とは直接関係がありません。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

トランジスタの静特性を理解する上で、特に「電流伝達特性」が果たす役割は重要です。エミッタ接地方式において、ベース電流とコレクタ電流の関係を把握することで、トランジスタの増幅作用を具体的に理解することができます。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 41

リックテレコム社

該当ページ 70

第3問(1)ベン図

問題

解答

解説

本問では図1~3の論理式の論理が問われています。

論理とは、図の共通部分のことを指します。つまり、図1~3の斜線部分で全ての図に共通している部分が求める要素となります。(上の図の色塗りマーカー部をご確認ください。)

これを踏まえて、各選択肢を確認していきます。

まず①から見ていきます。上の図をご参照ください。1番左の図は、A・Bの部分を黄色マーカーで示しています。

”・”は集合の共通部分を示します。A・Bというのは、Aの円とBの円の共通部分を表すため、黄色マーカー部が該当要素となります。

同じように、B・Cの該当要素を表したのが真ん中の図になります。

そして、この2つの要素を”+”、つまり和集合になるので、どちらの要素も含むことになり、一番右の図の黄色マーカー部となります。

先ほどと同じ手順で②を確認をしていきます。

Aバー(バーの表記がブログでは難しいため、このように書かせてください)ですが、バーというのは否定を表していますので、Aバーは、A以外の要素ということになります。A以外の要素とBとの共通部分ですから、一番左の図のようになります。

同様にして、B・Cバーは、真ん中の図のようになります。

そして、この2つの和集合なので、一番右の図の結果が得られます。

この結果は、問題文で求められているものと合致しますので、これが正解とわかります。

試験本番であれば、この時点で答えをマークして次に進んでOKです。ここでは残りの選択肢も確認しておきます。

A・B・Cバーは、AとBの共通要素であり、Cを含まないものとなりますので、一番左のマーカー部となります。

同様に、Aバー・B・Cバーは、真ん中の図が該当箇所となります。

それらの和集合なので、一番右の結果が得られます。

ちなみに、3つの集合の論理積は、要素が1か所になります。これを知っていると、チェックが容易になります。

④では3つの論理式の和集合となっていますが、解く手順は同じです。

それぞれの該当要素を出して、和集合ではそれら全てを含むものとなります(一番右の結果)。

ちなみに、2つの集合の論理積は、要素が2か所になります。これを知っていると、チェックが容易になります。

⑤も同様です。一見複雑に見えますが、慣れれば難しくありません。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

ベン図は一見難しそうに見えますが、出題パターンが限られているので、解き慣れると安定した得点源になります。過去問を複数解いて、自分なりの解法を作っていきましょう。拙著でもここは力を入れて執筆しました(またもや宣伝乙)。

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まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 67,68

リックテレコム社

該当ページ 98,99

第3問(2)16進数

問題

解答

解説

2進数から直接16進数を計算する方法もありますが、ここでは2進数→10進数→16進数の流れで解いていきます。

2進数から10進数へ

X1~X4をそれぞれ10進数に変換していきます。

上の図をご参照ください。1ケタずつ線で区切り、その上に青字で数字を書きこんでいます。

青の数字は各位を10進数に変換するときの数字を表しており、右から順番に1からスタートし、左にいくごとに2倍ずつしています。

各位の数字が1のとき、その位の数を足します。数字が0のときは、スルーします。

計算例として、X1を見てみましょう。

X1では、128、64、16、4、2のところに1が立っていますので、この数を足し合わせます。計算結果は図中に記載しているとおり215となります。

同様にして、X1~X4をそれぞれ10進数に変換します。

本問ではこれらを加算する必要があるので、計算すると731となります。(731)10としたのは、731は10進数で表しているということを示しています。

10進数から16進数へ

10進数から16進数の変換は、4つのステップで出来ます。上の図をご参照ください。

まずステップ1として、わられる数(本問では731)を16で割ります。このとき、すだれ算(さかさ割り算)で割っていきます。

731を16で割ると、45あまり11となります。商の45を下に書き、あまりを右に書きます。

次に45を16で割ります(ここがステップ2)。商が2であまりが13となります。2を下に書き、あまりの13を右に書きます。

2は16より小さいので、ここで計算終了です(ステップ3)。

最後に、すだれ算の結果を下から順に書き並べます。このときに、注意が必要です。16進数では、16で位が上がるので、10~15まではアルファベットで表します。

10→A、11→B、12→C、13→D、14→E、15→F

今回の計算結果を下から順に並べると、2、13、11となりましたので、13をD、11をBとして、2DBと変換することができます。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

いわゆるn進数の単元ですが、ここは年々難しくなっている印象です。昔は2進数さえマスターしておけば良かったたのが、今では16進数とその変換まで学習しないといけません。昔に比べて受験生の負担は増えていますが、それだけ受験生全体のレベルが上がってきているのかも知れません。出題率が高いので、できれば押さえておきたいところですが、計算が苦手な場合は無理せず捨て問候補にしてください。試験の合格点は60点、試験時間は40分です。1問にこだわり過ぎては危険です。時間がかかり過ぎる、難しいと感じる場合は、適当にマークして先に進むことも大切です。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 59

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該当ページ 92

第3問(3)Mの論理素子

問題

解答

解説

入力A、Bに仮の数値を代入して解いていきます。

代入する数字は、0と1の組み合わせであれば何でも構いません。

ここでは、仮にAに0101,Bに1010を入力して考えてみます。(上の図をご参照ください。)

数字の組み合わせは4ケタでなくても大丈夫です。ケタ数が少ないと試行回数が増える可能性が高いため、ここでは4ケタにしています。

論理計算をする上で、対応するケタの位置が分かりやすいように、色を変えて表記しています。実際に解くときに色を変える必要はありません。解説の便宜上色を変えているだです。

出力Cは論理式で与えられています。・は論理積でかけ算を表しています。かけ算は足し算(+)よりも優先して計算をします。論理積の特徴として、1と1が揃った場合に1となり、どちらかでも0があると積の結果は0となります。

以上のことから、出力Cの論理式を解くと、出力C=0000となります。

入力A、Bは、それぞれ図中にあるNOT回路やNOR回路、OR回路などを経て出力Cにいたります。各素子での計算結果は図中に示しておりますが、計算方法が分からない場合は本問の解説動画を合わせてご覧ください。

出力Cの結果から逆算して考えます。

出力Cが0000ということは、その直前のOR素子の出力は0000ということがわかります。

そして、ORの入力は片方が0000,もう片方がわからない状態(?)となっていますが、ORはどちらかでも1があれば1を出力、どちらも0のときだけ0を出力することから、?の入力は0000であるとわかります。

?の入力は論理素子Mの出力ですので、論理素子Mは、0101と0101を入力すると0000が出力されることになります。

この結果からMの論理素子について検証します。

Mの論理素子

検証を進めるうえで、ORとNOR、ANDとNANDはセットで考えましょう。

ORの結果を否定したものがNORであり、ANDの結果を否定したものがNANDですので、片方わかれば自動的にもう片方の結果もわかる関係にあります。

選択肢①、②

ORとNORは計算結果は上図のようになります。

OR回路はどちらかに1があれば1が出力されますので、出力は0101となります。

NORはORの否定ですので、出力は1010となります。ORが解けた時点で、NORは計算をしなくても答えを出せます。

計算結果からOR、NORともに答えに不適合ですので、選択肢①、②を消去します。

選択肢③、④

ANDとNANDの関係も同じように、ANDがわかればNANDも解けます。

ANDは、入力が両方とも1と1のときに出力が1となり、どちらかでも0が入ると出力は0なります。この結果、ANDの出力は0101とわかります。

ANDの結果を否定したものがNANDですので、NANDの出力は1010とわかります。

いずれも答えに不適合ですので、選択肢③、④を消去します。

最後に選択肢⑤を検討します。

選択肢⑤

EX-OR(エクスクルーシブ・オア)は少し天邪鬼な性質で、0か1かに関わらず、違う入力どうしなら出力が1、同じ入力どうしなら出力が0となります。

今回はどちらも同じ入力0101どうしですので、0000が出力されます。

これは答えに適合しますので、⑤が答えとわかります。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

論理回路はほぼ毎回出題されますので、解けるようになっておきたい単元です。また、解きかたが分かってくると、パズル感覚で解けるようになってくるので個人的には好きな単元です。とはいえ、習得に少し時間がかかるということもあり、受験生からは不人気単元でもあります(笑)。

試験までの残りの学習時間に応じて、取り組むか否かを戦略的に決めてもいいでしょう。

試験まで十分時間がある場合は、習得して得点源にしてしまいましょう。その場合は過去問を数多く解き、トレーニングを重ねてください(私の過去動画でも論理回路は数多く取り上げています)。

一方、試験直前期で学習時間があまり無い場合は、論理回路は後回しにして、まずは暗記問題を固めてしまい、時間があれば取り組むようにするとよいでしょう。

参考資料

まなびや

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該当ページ 52~58

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該当ページ 104

第3問(4)ブール代数

問題

解答

解説

従来はブール代数の公式を使って解いておりましたが、今回はベン図を使って解く方法で解説します。

ベン図で解けるようになれば、今までブール代数を敬遠していた方でも取り組みやすくなるかと思います。

論理関数Xをベン図で表す

ベン図を使って解くうえで、本問Xの式が長いので、式を左半分と右半分にわけて考えます。

まず左半分をベン図化して考えたものが上の図です。

長いバーはいったん後回しにして、最後にバーをつけて考えるのがポイントです。

バーは否定ですので、バー無しの要素を出してから、その否定をすると要素が見つかります。

上の図でいうと、バー無しの和集合が黄色マーカー部(左から3つ目)。

そして求めたいものは、そのバーなので、結果的に緑マーカー部が求めたい要素となります。

では、次に右半分に取り組みます。

右半分の要素を求めたものが上の図です。

こちらも先ほどと同様に、まずはバー無の和集合を出してから、最後にバーをつけて要素を求めます。緑マーカー部が該当する集合要素になります。

そして、左半分と右半分の結果を和集合にして求めたものが、上の図の一番右のものです。

この時点で、一目瞭然に、選択肢①、②、③が消去できます。

残り選択肢④、⑤について検証します。

選択肢④

選択肢④をベン図化したものが上の図です。一番右が結果となりますが、これは求めたいものと同じ要素を表していますので、これが正解です。

選択肢⑤

選択肢⑤をベン図化しました。求めたい要素とは合致しませんので、答えではありません。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

ブール代数は、第3問の中でも最もクセ者の単元です。

スムーズに誘導に乗れればよいのですが、式変形をするうえで書き間違えも起こりやすく、一度ドツボにハマると抜け出せなくなりがちです。また、苦労して解けたとしても、1問に時間を使いすぎてしまう恐れもあるところです。

試験対策上はブール代数を捨て問にしてしまうという考え方もありますが、せっかくなので解きたい。そんな方にお勧めなのが、このベン図で解く方法です。

ここではベン図で全てを解く形で解説を進めましたが、本当のお勧めはハイブリッド型です

ブール代数の公式で簡単にできそうなところは進めていき、行き詰まりかけたところでベン図に切り替えるという方法です。

状況に応じてブール代数の公式、ベン図と、解法を使い分けることができれば最強でしょう。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 64-65(ベン図による解法は未記載)

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該当ページ 100

第4問(1)電気通信回線への入力電力

問題

解答

解説

問題文の条件を、図に書き込んでいきます。

上の図をご参照ください。問題文から図にかきこむポイントは3つあります。それがマーカーで色分けしているところ。伝送損失増幅器の利得負荷抵抗の消費電力です。

伝送損失

伝送損失は1キロメートルあたり0.8デシベル、それが20kmあります。これを計算し伝送損失の合計を出します。

「損失」、つまりマイナス要因になりますので、マイナスの符号をつけて処理します。

―0.8×20=―16[dB]

増幅器の利得

増幅器の利得は26デシベル、と問題文に書かれています。

利得はプラス要因になりますので、+26dBとなります。

負荷抵抗の消費電力

負荷抵抗は80ミリワットと問題文に書かれていますので、これをそのまま書き写します。

発振器の入力電力

入力電力がわからないので、仮にxとしておきます。

以上のことをまとめたものが次の図となります。

巻線比はスルー

巻線比3:4とありますが、本問は電力に関する問題なので、巻線比は関係ありません。

(電圧に関する問題であれば、巻線比が関係します。巻線比により分圧されます)

つまり、巻線比3:4というところはスルーして大丈夫です。

デシベルの合算

伝送損失により―16dB、利得により+26dBとなるので、合算すると、+10dBとなります。

電力値で+10dBというのは、10倍アップということになります。

入力電力がスタート、負荷抵抗がゴール

この問題では、入力電力(左端)をスタートとして、電気通信回線を経て、増幅器を経て、変成器を経て、負荷抵抗(右端)の最終ゴールにたどり着く、電気エネルギーの旅物語のようなものと捉えていただくとイメージしやすいかと思います。

各条件をまとめると、入力電力がxmW、それが10倍アップして、80mWになる。ということで、

\( X \times 10 = 80\ \mathrm{[mW]} \Rightarrow X = 8\ \mathrm{[mW]} \)

となります。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

電気通信回線は毎回のように出題されており、パターンもだいたい出尽くしています。計算問題の中では比較的取り組みやすい分野ですので、学習をおすすめしたい単元です。解説の中でも「電気エネルギーの旅物語」と述べましたが、メロス的な感じでロマンを感じていただけると、親近感をもって問題に取り組めるのではないかと思います(意味不明)。

参考資料

まなびや

参考資料の該当ページです。

総合通信要点解説(自著)

該当ページ 84

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該当ページ 112,113

第4問(2)伝送損失

解答

解説

記述Aについて

平衡対ケーブルにおける伝送損失は、ケーブル内の心線導体の抵抗に依存します。心線導体の抵抗が小さくなると、伝送損失は減少します。つまり、「導体抵抗を小さくすると伝送損失が増加する」という記述は誤りです。正しくは、抵抗が小さいほど損失も少なくなるため、Aは誤りです。

記述Bについて

一方、同軸ケーブルでは、伝送損失は信号の周波数に依存する特性があります。一般的に、周波数が高くなると伝送損失も増加します。周波数が約4倍になると伝送損失は約2倍になるため、Bの記述は正しいといえます。これにより、選択肢の正解は**②「Bのみ正しい」**となります。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

この問題は頻出の内容ですが、今回はひっかけ要素が含まれているため、注意が必要です。過去には「抵抗が大きくなると伝送損失が増加する」という表現が頻出していました。そのため、うっかり「小さくなる」という今回の表現を見落とし、過去問で見た問題だと決めつけてしまうと、間違いやすくなります。頻出問題には、ひっかけが潜んでいる場合が多いため、特によく出るテーマこそ慎重に確認しましょう

また、導体抵抗が小さいほど伝送損失も小さくなる理由を理解しておくと、さらに確実です。これは、オームの法則 V=I×R によるもので、抵抗値 R が小さくなれば、ケーブル内で発生する電圧損失も小さくなるためです。この点を押さえておけば、本番でも焦らずに対応できるでしょう。

同軸ケーブルでは、周波数が増すと伝送損失も増えるという点も要チェックです。特に、周波数が約4倍になると伝送損失は約2倍になるという出題は繰り返し登場しているため、しっかり覚えておきましょう。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 75

リックテレコム社

該当ページ 121,124

第4問(3)SN比

問題

解答

解説

**SN比(Signal-to-Noise Ratio: S/N比)**とは、信号とノイズの比率を示す指標で、信号の強さに対して、どれだけのノイズが混入しているかを表します。SN比は、通常デシベル(dB)で表され、通信や音響、電子回路など、さまざまな分野で重要な評価指標です。

SN比の計算式

SN比は、次の式で計算されます:

\( \text{SN比 (dB)} = 10 \log_{10} \left( \frac{P_{\text{signal}}}{P_{\text{noise}}} \right)
\)

ここで、

  • Psignal​ は信号電力、
  • Pnoiseは雑音電力です。

信号が雑音よりも強いほどSN比が高くなり、これは信号品質が良いことを意味します。

公式にあてはめてSN比を求めればよいのですが、ここではより簡単に解く方法をご紹介します。

小数点に注目をして、小数点をいくつ動かせばよいか、で何デシベルか求めることができます。

本問では、小数点が4つ分ズレていますので、40dBとなります。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:

まなびや

SN比は、音質や映像品質、通信の安定性に大きく影響します。特にデジタル通信や音響設備では、SN比が高いことが重要で、これによりクリアで鮮明な伝送が実現されます。

  • SN比が高い(例えば40dB以上)場合、ノイズの影響が少なく、信号が明瞭に伝わります。
  • SN比が低い(例えば10dB以下)場合、ノイズが強いため、信号がノイズに埋もれてしまい、品質が悪くなります。

通信にとって重要な指標になるため、出題率も高くなっています。過去問を複数解いて、計算方法に慣れておきましょう。

SN比の意味

  • SN比が高い(例えば40dB以上)場合、ノイズの影響が少なく、信号が明瞭に伝わります。
  • SN比が低い(例えば10dB以下)場合、ノイズが強いため、信号がノイズに埋もれてしまい、品質が悪くなります。

SN比の重要性

SN比は、音質や映像品質、通信の安定性に大きく影響します。特にデジタル通信や音響設備では、SN比が高いことが重要で、これによりクリアで鮮明な伝送が実現されます。SN比は、

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 87

リックテレコム社

該当ページ 123

第4問(4)アナログ伝送路

問題

解答

解説

ひずみのない伝送のための条件

アナログ信号をひずみなく伝送するためには、減衰量が周波数に依存せず一定であり、位相変化が周波数に比例することが重要です。

  1. 減衰量が周波数に無関係で一定であること
    周波数により減衰量が異なると、信号の特定の成分が減衰しやすくなり、信号全体にひずみが生じる原因となります。減衰が周波数に対して一定であれば、すべての成分が均一に伝送され、信号の原形が保たれます。
  2. 位相変化が周波数に比例すること
    位相変化が周波数に比例しないと、異なる周波数成分のタイミングがずれてしまい、信号波形の形が崩れ、ひずみの原因となります。位相が周波数に比例することで、信号成分が一貫した形で伝送され、ひずみが防止されます。

これらの条件を満たすことによって、アナログ信号はひずみなく伝送可能となります。

他の選択肢について

  • ①振幅:振幅の一定性は重要ですが、減衰量や位相変化とは直接関係しません。
  • ②雑音:雑音の少なさは重要ですが、ひずみのない伝送条件には直接結びつきません。
  • ③特性インピーダンス:インピーダンス整合は反射を防ぐためには重要ですが、ひずみの条件とは異なります。
  • ⑤変調度:変調度は変調信号の深さを示し、伝送のひずみとは関係ありません。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

この問題では、減衰量が周波数に無関係で一定であり、位相変化が周波数に比例することが、アナログ信号をひずみなく伝送するための重要な条件です。このポイントをしっかり理解しておくことで、信号の正確な伝送を確保でき、試験でも確実に得点できるでしょう。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ なし

リックテレコム社

該当ページ 122

第5問(1)変調度

問題

解答

解説

過変調とは?

アナログ振幅変調方式では、変調度(モジュレーション率)が搬送波に対する信号波の振幅の比を示します。この変調度が1(100%)を超える状態を「過変調」と呼びます。

変調度が1より大きくなると、以下のような問題が発生します:

  1. 復調波にひずみが生じる
    過変調状態では、信号が搬送波の振幅を超えてしまい、復調(受信側での信号再生)時に本来の信号波形が歪んでしまいます。このひずみにより、音声や映像が正確に再現されなくなるなどの問題が生じます。
  2. 隣接チャンネルへの干渉が増える
    過変調は、搬送波周波数から外れた余分な成分(スプリアス成分)を生じさせるため、他のチャンネルに干渉する可能性が高くなります。これは、無線通信において非常に望ましくない現象です。

他の選択肢について

  • ②混変調:複数の異なる周波数信号が相互に影響し合い、干渉を引き起こす現象を指しますが、変調度には関係しません。
  • ③共振現象:特定の周波数で振幅が大きくなる現象であり、変調方式とは異なります。
  • ④過渡現象:回路の状態が安定するまでに発生する一時的な変化のことです。
  • ⑤非線形現象:信号が非線形な要素によって歪む現象で、過変調によるひずみの一部でありますが、直接的な答えではありません。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

アナログ振幅変調方式において、変調度が1を超えると過変調が発生し、信号が復調される際にひずみが生じることがあります。このように、過変調の影響を理解しておくと、アナログ通信における信号品質管理がしやすくなります。

試験では、「変調度」「過変調」「復調」などの基本用語をしっかり押さえておきましょう。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 90

リックテレコム社

該当ページ 不明

第5問(2)光ファイバ増幅器

問題

解答

解説

記述Aについて

記述Aにおける「識別再生回路」や「タイミング抽出回路」は、デジタル信号の再生に必要な回路ですが、光ファイバ増幅器の構成要素には含まれません。光ファイバ増幅器は、光信号を電気信号に変換せず、そのままの光信号を増幅する装置であり、単に増幅用光ファイバや励起光源(レーザー光)などで構成されます。そのため、記述Aは誤りです。

記述Bについて

記述Bは正しい内容です。光ファイバ増幅器には、波長分割多重(WDM)伝送に対応できる特徴があります。WDM方式では、異なる波長で同時に複数の信号を伝送できるため、光ファイバ増幅器が異なる波長の信号光を一括で増幅できることは非常に重要な特性です。このため、光ファイバ増幅器は光中継システムなどで広く利用されています。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

光ファイバ増幅器の特性として、異なる波長の信号を一括で増幅できることが重要なポイントです。これにより、波長分割多重伝送方式での効率的な信号増幅が可能となり、高速・大容量な光通信を支える技術として欠かせないものとなっています。

試験では、光ファイバ増幅器の基本的な構成や役割について、誤りやすい選択肢とともに理解を深めておきましょう。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 96

リックテレコム社

該当ページ 143

第5問(3)アナログ伝送における回線雑音

問題

解答

解説

熱雑音とは?

熱雑音は、入力信号の有無に関わらず発生する雑音であり、すべての電子機器や通信回線で避けられない自然発生の雑音です。これは、温度によって電気的なエネルギーが自然に振動し、電気回路において電子のランダムな動きが発生することが原因です。熱雑音の発生量は、回路の温度に比例し、絶対零度でない限り常に存在するため、アナログ伝送においても基礎的な雑音成分の一つとなります。

他の選択肢について

  • ①相互変調:複数の周波数信号が干渉して、他の不要な周波数が生成される現象ですが、入力信号の有無に依存します。
  • ②量子化:デジタル信号処理の際に発生する雑音で、アナログ伝送には直接関係がありません。
  • ③過負荷:信号が回路の限界を超えた場合に発生する歪みで、入力信号の有無によって発生状況が異なります。
  • ④補間:信号処理において欠損部分を補う処理で、雑音とは異なる概念です。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

頻出問題です。アナログ伝送において、入力信号に依存せず常に発生する雑音として「熱雑音」は重要な概念です。熱雑音は避けられない現象であるため、信号品質を考える上での基準となります。試験では、熱雑音の特性や発生要因を理解しておくと、アナログ伝送や雑音に関する問題に対応しやすくなります。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 93

リックテレコム社

該当ページ 122

第5問(4)%SES

問題

解答

解説

%SES(Severely Errored Seconds)とは?

%SESは、デジタル回線での伝送品質を測定するための指標の一つです。具体的には、1秒間ごとに測定した平均符号誤り率が、ある基準値を超えたときの「エラーレートの高い秒数」の割合を示します。

この問題における基準値は符号誤り率

\( 1 \times 10^{-3} \)

(千分の1)です。つまり、1秒間に発生する符号誤り率が0.1%(千分の1)を超えた場合、その1秒は「深刻な誤りが発生した秒」としてカウントされます。この秒数が稼働時間に対してどのくらいの割合で発生するかを示すのが%SESです。

他の選択肢について

  • 選択肢①〜③および⑤:これらの選択肢の誤り率は、%SESの基準値である\( 1 \times 10^{-3} \) とは異なります。%SESは特に誤り率が0.1%(千分の1)以上の場合を基準にしているため、他の選択肢は不適切です。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

%SESと似たものとして、%ESがあります。ここで両者の違いを確認しておきます。

%ESとは?

%ES(Errored Seconds)は、1秒間に符号誤りが1つでも発生した場合、その秒を「エラー秒」としてカウントし、そのエラー秒が全稼働時間の中で占める割合を示した指標です。符号誤りがごくわずかでも発生すれば、その1秒はエラー秒として記録されます。つまり、軽度の誤りでもカウントされるため、全体的なエラー頻度の指標となります。

%ESと%SESの違い

  • %ESは、1秒間に1つでも誤りがあれば、その秒をエラー秒としてカウントします。軽微なエラーも含むため、回線のエラー発生頻度を広く測定する指標です。
  • %SESは、1秒間の符号誤り率が \(1 \times 10^{-3}\)(千分の1) を超えたときに、その秒を「深刻なエラー秒」としてカウントします。つまり、特に深刻なエラーが発生した秒数に絞って評価するため、品質の深刻度を示す指標です。

使用用途の違い

  • %ESは、軽微な誤りも含めた広範なエラー発生状況を評価する際に役立ちます。回線の安定性や全体的なエラーの頻度を把握するために用いられます。
  • %SESは、特に品質に大きな影響を与える深刻なエラー発生頻度の評価に用いられ、深刻な品質劣化がどれほど発生しているかを示します。

まとめ

%ESは軽微なエラーも含む広範なエラー頻度の指標で、%SESは深刻なエラーに絞った指標です。この2つの違いを理解しておくと、伝送品質評価に関する問題にも対応しやすくなります。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 99

リックテレコム社

該当ページ 127

第5問(5)光の散乱

問題

解答

解説

レイリー散乱とは?

レイリー散乱は、光が媒体(ここでは光ファイバ)内を進む際に、屈折率の微小な揺らぎによって散乱される現象です。この揺らぎは、光ファイバ内の物質構造の不均一性などにより生じます。

レイリー散乱による光の損失は、光の波長の4乗に反比例する特徴を持ちます。つまり、短い波長の光ほど大きく散乱されるため、レイリー散乱の影響を受けやすくなります。この性質は光ファイバの設計において重要であり、波長が長いほど損失が低くなるため、実際の光通信では長めの波長がよく用いられます。

他の選択肢について

  • ラマン散乱(①):高エネルギー光が物質を通る際に、光が散乱されて異なる波長の光が生じる現象です。光ファイバの損失要因ではあるものの、レイリー散乱とは異なる現象です。
  • ブリルアン散乱(③):光が音波や超音波と相互作用して散乱される現象です。温度や圧力変化に敏感で、光ファイバの一部で観測される現象ですが、レイリー散乱とは異なります。
  • トムソン散乱(④):自由電子によって散乱される現象で、光ファイバには直接関係しません。
  • コンプトン散乱(⑤):高エネルギーのX線やガンマ線が電子に当たって散乱される現象です。光ファイバの伝送には関与しません。

重要度、ひとことアドバイス

重要度:
まなびや

光ファイバにおけるレイリー散乱は、波長の4乗に反比例する損失特性を持つため、短い波長の光がより大きく散乱されます。この現象により、光ファイバでは波長の長い光が好まれることが多いです。試験では、他の散乱現象と混同しないよう、レイリー散乱の特徴と損失特性をしっかり理解しておきましょう。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 97

リックテレコム社

該当ページ 144

以上で、総合通信 令和6年度第1回過去問解説 基礎編は終了です。

少しでも皆さんのお役に立てましたら幸いです。

合格をお祈りしております!試験、頑張ってください!!