工事担任者 過去問解説 令和6年第2回 基礎(総合通信)第3問

令和6年度第2回試験 基礎科目第3問の過去問解説です。 

問3(1) ベン図

図1~図5に示すベン図において、A、B及びCが、それぞれの円の内部を表すとき、斜線部分を示す論理式がA・B・C+A・B・C と表すことができるベン図は、(ア)である。(5点)

① 図1  ② 図2  ③ 図3  ④ 図4  ⑤図5

出典:令和6年度第2回第3問(1)

解答

解説

\(A\cdot \overline{B\cdot C}\)が表している部分

\(\cdot\)は論理積で、共通部分を意味しています。

イメージとしては、論理積でつながると、要素がどんどん絞り込まれていく形になります。

\(A\cdot \overline{B\cdot C}\) は、円Aの内部で、かつBとCの共通部分以外のところを表しています。

ここで、\(B\cdot C\) に該当する部分は、\(B\cdot C\) と\(A\cdot B\cdot C\) とになります。その中で、円Aとの共通要素になりますので、\(A\cdot B\cdot C\) が該当します。

論理式にバーがついていますので、\(A\cdot B\cdot C\) 以外のところ、かつ、円Aの要素となります。上の図にオレンジで色付けしたところが求める要素となります。

この時点で、正解の選択肢が図3と図4に絞られます。

\(\overline{A\cdot B}\cdot C\)が表している部分

\(A\cdot \overline{B\cdot C}\) は、円Cの内部で、かつAとBの共通部分以外のところを表しています。

ここで、\(A\cdot B\) に該当する部分は、\(A\cdot B\) と\(A\cdot B\cdot C\) とになります。その中で、円Cとの共通要素になりますので、\(A\cdot B\cdot C\) が該当します。

論理式にバーがついていますので、\(A\cdot B\cdot C\) 以外のところ、かつ、円Cの要素となりますので、上の図にグリーンで色付けしたところが求める要素となります。

この時点で、正解の選択肢が図4に絞られます。

参考資料

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 69

リックテレコム社

該当ページ 98

問3(2) 2進数の乗算から16進数

表に示す2進数の\(X_1、X_2\) を用いて、計算式(乗算)\(X_0=X_1\times X_2\) から \(X_0\) を求め、これを16進数で表すと、(イ)になる。(5点)

① BF  ②CB  ③ 12F  ④ 13E  ⑤ 13F

2進数
\(X_1=11101\)
\(X_2= 1011\)

出典:令和6年度第2回第3問(2)

解答

解説

解き方はいろいろありますが、ここでは、2進数→10進数に変換。計算をしたうえで16進数に変換。という手順で解説を進めていきます。

2進数を10進数に変換する

2進数を10進数に変換する際のポイントは、右の位から順に\(2^0=1, \quad 2^1=2, \quad 2^2=4,\quad 2^3=8, \quad 2^4=16\)・・・として、1が入っているところの数字を足していきます。(上の図をご参照ください)

その結果、\(X_1=29, \ X_2=11\)と10進数に変換できました。

\(X_1\times X_2\)を計算

上図のとおり、計算結果は319となりました。

( )10と書いているのは、10進数で表しているということを示しています。

次に、319を16進数に変換していきます。

319を16進数に変換

16進数に変換するには「すだれ算」という方法を使います。

割り算記号を逆にしたような形が「すだれ」に似ていることから、「すだれ算」という俗称がついています。

見た目は特殊ですが、計算方法は基本的な割り算と同じです。

319を16で割っていきます。

注意する点として、割り算の商を下に、あまりを右に記入します。

割り算を、商が0になるまで繰り返します。

そして、変換するときに使用するのは、「あまり」の部分です。

あまりを下から順に並べるのがポイントです。

本問では、1,3,15となりました。

0~9までの数字はそのまま使えますが、10~15に該当する数字はアルファベットに変換する必要があります。

10=A、11=B、12=C、13=D、14=E、15=F となります。

本問では、15がありますので、これをFに変換します。

結果、13Fとなりました。これで変換終了です。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 63

リックテレコム社

該当ページ 94

問3(3) 論理回路(フリップフロップ)

図6に示す論理回路は、NORゲートによるフリップフロップ回路である。入力a及びbに図7に示す入力がある場合、図6の出力dは、図7の出力のうち(ウ)である。 (5点)

① d1  ② d2  ③ d3  ④ d4  ⑤d5 ⑥ d6

出典:令和6年度第2回第3問(3)

解答

解説

本問は図7の入出力のグラフの見方が最初のポイントになります。

グラフを縦に見て、入出力の関係を確認します。

まず1列目(下の図で黄色マーカー部)を見ると、入力a=0、b=0となっています。

これを論理回路に書き込んでいきます。

EX-ORは、2つの入力が同じ値(0と0または1と1)の場合に出力が0、異なる値(0と1)の場合に出力が1となります。

フリップフロップ回路は、出力を「仮定」して考える

本問では論理回路の最後にフリップフロップ回路があります。

入力を追っていくだけでは、フリップフロップ回路の入出力関係がわかりません。

フリップフロップ回路は組み合わせにより入出力の関係を暗記する方法もありますが、暗記せずとも、入出力を「仮定」して考えることで正しい組み合わせを見つけることができます。

緑で数字を書きこんだところが、仮定したところです。

まず、下のNOR回路の「1」の出力を仮定します。

その「1」は、上のNOR回路の入力となります。
上のNOR回路の入力は0と1となり、出力は0となります。
(NOR回路はOR回路+NOT回路で、OR回路の結果を否定したものと考えると覚えやすいです)

上のNOR回路の出力は0となり、それが下のNOR回路の入力となります。
そうすると下のNOR回路の出力は0となるはずです。
このことは、先に仮定した「1」の出力と矛盾します。

このことから、下のNOR回路の出力は「0」とわかります。

時間的に余裕があれば実際に0の出力を仮定して検証してもよいのですが、実戦的には「1が矛盾する→0で確定」という流れになるかと思います。

そして、下のNOR回路の出力が「0」ということは、出力dは「0」とわかります。

入出力関係からグラフを見ると、d3,d5,d6は消去できます。

次に2列目の入出力関係(a=0,b=1)を確認します。

2列目の検証

a=0,b=1を入力して論理回路に書き込んでいきます。

最後のフリップフロップ回路部分は、先ほどと同様に仮定して考えます。

先ほどは上のNOR回路入力が0、下のNOR回路入力が1のとき出力が0でした。
今回は上のNOR回路入力が1、下のNOR回路入力が0となっています。
先ほどとは異なる出力ではないかと考え、1を仮定してみました。
結果が矛盾しないことから、出力は1で確定。
結果、出力dも1とわかります。

※繰り返しになりますが、仮定に関しては、0と1どちらを検証しても構いません。
結局のところ、0と1しかありませんので、矛盾しなければそれが答え。
矛盾すれば異なる値が答えとなります。

グラフを確認すると、d2とd4に絞り込むことができました。

次に3列目ですが、d2、d4ともに同じ結果(1)を示しています。

つまり、3列目を検証しても答えを絞り込むことはできまないということです。このことから、3列目の検証はスキップします。

4列目の検証に移ります。

4列目の検証(a=1,b=1)

a=1,b=1を入力して論理回路を追っていきます。

最後のフリップフロップ回路ですが、上に0、下に1の入力があるという条件は1列目のときと同じです。

このことから、下のNOR回路の出力は0とわかります。念のため検証しておき、矛盾しないことを確認しておきます。

以上から出力d=0とわかります。

残った選択肢はd2とd4ですから、これを確認するとd4が正解とわかります。

参考資料

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 57

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該当ページ 102

問3(4) ブール代数

次の論理関数Xは、ブール代数の公式等を利用して変形し、簡単にすると、 (エ)になる。

\(X=\overline{ A }\cdot B+A\cdot \overline{ B }+A\cdot B\cdot(\overline{ B }\cdot C+\overline{ A }\cdot \overline{ C }+\overline{ A }\cdot C+\overline{ B }\cdot C)\)(5点)

出典:令和6年度第2回第3問(4)

解答

解説

本問は一見難しそうに見えますが、あるポイントに気づくことができれば、簡単に解くことができます。

式右側の( )の展開部分に着目すると、\(B \cdot \overline{B}\) と\(A \cdot \overline{A}\) の部分は、それぞれ0になります(相補性)。

そして、0になにをかけても0になるのと同じように、0との論理積は0になります。

結果、次のようになります。

最後は交換測により、\(\overline{A} \cdot B+A \cdot \overline{B}\) を \(A \cdot \overline{B}+\overline{A} \cdot B\) と、選択肢にあうように書き換えて終了です。

参考資料

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 64

リックテレコム社

該当ページ 100

基礎第3問の解説は以上です。ここまでお読みいただき、ありがとうございます。