令和6年度第2回試験 技術科目第7問の過去問解説です。
問7(1) メタリックケーブル平衡対の構造
アクセス系線路設備に用いられるメタリック平衡対ケーブルの構造などについて述べた次の二つの記述は、 (ア)。(2点)
A 心線の撚り合わせ方法の一つである星形カッド撚りは、対撚りと比較して同一心線数のケーブルの外径を小さくすることができ、星形カッドを集合してユニットを構成したケーブルがアクセス系線路設備として用いられている。
B 架空用メタリック平衡対ケーブルの心線接続は同一心線径のケーブルどうしに限定されており、心線径の異なるケーブルどうしを心線接続しない。
① Aのみ正しい ② Bのみ正しい ③ AもBも正しい ④ AもBも正しくない
出典:令和6年度第2回第7問(1)
解答
①
解説
Aについて
心線の撚り合わせ方法の一つである星形カッド撚りは、対撚りと比較して同一心線数のケーブルの外径を小さくすることができ、星形カッドを集合してユニットを構成したケーブルがアクセス系線路設備として用いられている。
- 正しい:
- 星形カッド撚りは、メタリックケーブルにおける撚り線の技術の一つです。
- 特徴:
- 対撚りと比較してケーブルの外径を小さく抑えることができる。
- 線路設備で多用されるメタリックケーブルにおいて、ユニット構成の基礎となる。
- アクセス系線路設備(通信線路)に適用されるため、この記述は正しい。
Bについて
架空用メタリック平衡対ケーブルの心線接続は同一心線径のケーブルどうしに限定されており、心線径の異なるケーブルどうしを心線接続しない。
- 誤り:
- 実際には、心線径の異なるケーブル間の接続も可能です。
- 接続時には接続機器や接続技術(例: 減径スリーブなど)を用いて対応します。
- 必ずしも「心線径が同じケーブル同士」に限定されるわけではありません。
- 架空用ケーブルにおいても、心線径の異なる接続が技術的に排除されるわけではありません。
- 実際には、心線径の異なるケーブル間の接続も可能です。
まとめ
正解は① です。
- 理由:
- A: 星形カッド撚りに関する記述は正しい。
- B: 心線径の異なるケーブルの接続が可能であるため、記述は誤りです。
参考資料
問7(2) アナログ式テスタ
永久磁石で発生する磁界を利用する(イ) 形のアナログ式テスタは、電流目盛の目盛間 隔が一定(平等目盛)であるため指示値が読み取りやすく、直流電源を用いた弱電回路の電流測定に適している。 (2点)
① 可動鉄片 ② 整流器 ③ 静 電 ④ 可動コイル ⑤ 電流力計
出典:令和6年度第2回第7問(2)
解答
④
解説
アナログ式テスタの特徴
- 永久磁石の磁界を利用するアナログ式テスタの特徴として、以下が挙げられています。
- 目盛間隔が一定(平等目盛) → 読み取りが容易。
- 直流電源を用いた弱電回路の電流測定に適している。
選択肢の検証
- 可動鉄片(①)
- 可動鉄片形の計器は、鉄片が磁界の強弱に応じて動く構造です。
- 主に 交流電流の測定に使用されるため、この問題に適しません。
- 整流器(②)
- 整流器は交流を直流に変換する装置の一部であり、計器自体の形状を指すものではありません。
- アナログ式テスタの具体的な構造には該当しません。
- 静電(③)
- 静電型の計器は、静電気力を利用して電圧を測定します。
- 主に高電圧の測定に使用され、目盛間隔が一定ではないため不適切です。
- 可動コイル(④)
- 可動コイル形計器は、永久磁石の磁界内に設置されたコイルに電流が流れると、コイルが動く仕組みです。
- 特徴:
- **目盛間隔が一定(平等目盛)**で、指示値が読み取りやすい。
- 主に 直流電流や電圧の測定に使用される。
- 本問題に該当する正しい選択肢です。
- 電流力計(⑤)
- 電流力計は、電磁力を利用して動作しますが、目盛間隔が非線形(不等目盛)になることが多いです。
- 弱電回路の測定には一般的に使用されません。
まとめ
正解は④: 可動コイル
- 可動コイル型は、永久磁石を利用した磁界でコイルを動かし、平等目盛を実現します。
- 直流電流の測定に適しており、本問題の条件に最も適合しています。
参考資料

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問7(3) 電話・情報設備の図記号
図は、JIS C 0303:2000構内電気設備の配線用図記号における電話・情報設備の図記号を示す。この図記号は、(ウ) を表している。 (2点)
① 容量が5端子であり、3段接続まで可能な端子盤
② 容量が3端子であり、5段接続まで可能な端子盤
③ 容量が5端子であり、そのうち実装が3端子の端子盤
④ 保安器の容量が5個であり、そのうち実装が3個の集合保安器
⑤ 保安器の実装が5個であり、そのうち現用が3個の集合保安器
出典:令和6年度第2回第7問(3)
解答
④
解説
問題の内容
この問題は、図記号が表す内容を正しく理解しているかを問うものです。図記号は、JIS C 0303:2000 構内電気設備の配線用図記号に基づいています。
図記号の特徴
- 図に示されている記号は、集合保安器(モジュール型)の図記号です。
- 右側に書かれている「3/5」は以下を意味します:
- 「5」:保安器の最大容量(設置可能な数)。
- 「3」:現時点で実装されている保安器の数。
参考資料

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問7(4) デジタル式PBXの設置工事
デジタル式PBXの設置工事などについて述べた次の二つの記述は、(エ)。 (2点)
A デジタル式PBXの設置工事において、主装置の筐体に取り付ける接地線は、一般に、 CV線を用いる。
B 災害時優先電話は、災害時における使用の確実性を考慮し、停電時でも利用可能な固定電 話機から利用できるようにするため、当該電話の回線設定においては代表回線群やPBX内 線に組み込まないようにする。
① Aのみ正しい ② Bのみ正しい ③ AもBも正しい ④ AもBも正しくない
出典:令和6年度第2回第7問(4)
解答
②
解説
この問題は、デジタル式PBXの設置工事および災害時優先電話の運用についての正しい理解を問うものです。
記述Aの検討:
「デジタル式PBXの設置工事において、主装置の筐体に取り付ける接地線は、一般に、CV線を用いる。」
誤りの理由:
- PBXの接地には、一般的にIV線(600Vビニル絶縁電線)や、場合によっては専用の接地線が用いられることが多いです。
- CV線(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)は、主に動力用や配線工事に使用されるケーブルで、接地線として用いられることは一般的ではありません。
記述Bの検討:
「災害時優先電話は、災害時における使用の確実性を考慮し、停電時でも利用可能な固定電話機から利用できるようにするため、当該電話の回線設定においては代表回線群やPBX内線に組み込まないようにする。」
正しい理由:
- 災害時優先電話は、災害時に確実に使用可能である必要があり、停電時でも動作するアナログ回線や専用の災害時優先回線を直接接続する設計が求められます。
- PBX内線や代表回線群に組み込むと、PBXの電源が停止した場合に通話ができなくなるため、これを避ける設定が推奨されます。
まとめ
- 記述Aは誤り。PBX接地にCV線を用いるのは一般的ではないため。
- 記述Bは正しい。災害時優先電話の運用方法として適切な記述です。
参考資料

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問7(5) デジタル式PBXの機能確認試験
デジタル式PBXの機能確認試験のうち、(オ) 試験では、着信に対して自動音声で応答すること、及び自動音声のガイダンスに従い接続先や情報案内を選択してプッシュボタンを操作することにより所定の動作が正常に行われることを確認する。 (2点)
①DID ② DIL ③ ACD ④ CTI ⑤ IVR
出典:令和6年度第2回第7問(5)
解答
⑤
解説
この問題は、デジタル式PBXの機能確認試験において、特定の機能に関連する試験の内容を理解することを問うものです。
IVR(Interactive Voice Response:音声応答装置)
- IVRは、自動音声応答システムを用いて着信に応答し、利用者が音声案内に従ってプッシュボタン操作を行うことで、所定の情報提供や接続先案内を行う機能を指します。
- この試験では、次のような動作が確認されます:
- 自動音声での応答
- 音声ガイダンスに基づく接続や情報案内の選択
- プッシュボタン操作に基づく動作の正常性
各選択肢について
- DID(Direct Inward Dialing)
- 特定の電話番号を直接内線番号に割り当てる機能で、外線から直接内線電話に着信させる設定に関するものです。自動音声応答とは関係がありません。
- 特定の電話番号を直接内線番号に割り当てる機能で、外線から直接内線電話に着信させる設定に関するものです。自動音声応答とは関係がありません。
- DIL(Direct Inward Line)
- 外線番号をPBX経由で指定された内線電話に着信させる設定機能を指します。これも自動音声応答とは関係がありません。
- 外線番号をPBX経由で指定された内線電話に着信させる設定機能を指します。これも自動音声応答とは関係がありません。
- ACD(Automatic Call Distribution)
- コールセンターなどで使用される機能で、着信を特定のオペレーターやグループに自動的に振り分ける仕組みです。IVRのような自動音声案内は含まれません。
- コールセンターなどで使用される機能で、着信を特定のオペレーターやグループに自動的に振り分ける仕組みです。IVRのような自動音声案内は含まれません。
- CTI(Computer Telephony Integration)
- コンピュータと電話システムを統合する技術の総称で、IVRを含む可能性はありますが、CTI自体は試験対象として広すぎるため不適切です。
- コンピュータと電話システムを統合する技術の総称で、IVRを含む可能性はありますが、CTI自体は試験対象として広すぎるため不適切です。
- IVR(Interactive Voice Response)
- 問題文に記載されている「着信に対して自動音声で応答」「音声ガイダンス」「プッシュボタン操作」に該当するのは、この機能です。
- 問題文に記載されている「着信に対して自動音声で応答」「音声ガイダンス」「プッシュボタン操作」に該当するのは、この機能です。
参考資料

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※本問は、試験直前期に配布した「技術 穴埋め暗記セレクション2024受験版」で予想的中しました。
技術第7問の解説は以上です。ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
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