この記事は、工事担任者試験の直前対策資料である「工事担任者 基礎 穴埋め暗記セレクション 総合通信2024受験版」に対応しています。PDFは期間限定で下記リンクより配布いたします。
技術→https://drive.google.com/file/d/1Nc8CKLcPUwYS4knckAAtevNgfiUjRbSc/view?usp=sharing
資料は必要最小限の記述に絞りスリム化を図っていますが、こちらのブログでは、出典となる過去問も引用して掲載しています。問題集としてもご利用いただけるほか、解説を確認する目的にもお役立ていただけます。
なお、分量が多いため、大問ごとに記事を分けて掲載しております。
皆様の試験対策に微力ながらお力添えできれば幸いです。心より、皆様の合格をお祈り申し上げます。
問題1 コードレス電話
出典:令和4年度第1回第1問(1)
解答
②
解説
キャリアセンスは、デジタルコードレス電話システムで用いられる重要な機能の一つです。この機能により、通信中の混信を防止するため、チャネルが使用可能かどうかを事前に検出します。
キャリアセンス機能のポイント
- 機能概要
- チャネルが空いている(未使用である)かを検出し、使用可能なチャネルを特定します。
- 使用中のチャネルを避けることで、他のコードレス電話機や無線設備との混信を防ぎます。
- 適用範囲
- DECT方式を参考にしたデジタルコードレス電話システム(ARIB STD-T101など)で使用されます。
- 特に密集した通信環境(オフィスや商業施設)での混信防止に効果的です。
- 利用シーン
- 通話開始時に、システムが自動的に空きチャネルを検出します。
- チャネル使用中でも、動的に再検出して通信の安定性を維持することがあります。
他の選択肢について
- プリセレクション
- 事前に設定された周波数やチャネルを選択する機能ですが、動的検出は行いません。
- ホットライン
- 予め設定された特定の番号に自動的に接続する機能。混信防止とは関係ありません。
- ネゴシエーション
- 通信接続における交渉手続き全般を指しますが、チャネルの空き検出とは異なります。
- P2MPディスカバリ
- Point-to-Multipoint(1対多接続)の通信で用いられる探索プロセスを指しますが、特定のチャネルの空き検出機能ではありません。
まとめ
キャリアセンスとは?
- チャネルが使用可能かどうかを事前に検出する機能。
- 混信防止のための基本機能であり、通信の安定性を確保します。
実用例
- デジタルコードレス電話システムにおいて、自動的に最適なチャネルを選択するために利用されます。
参考資料
該当ページ 105
該当ページ 不明
問題2 ファクシミリ端末
出典:令和5年度第2回第1問(1)
解答
②
解説
文書ファクシミリ伝送手順におけるグループ3ファクシミリの動作では、送信側と受信側が特定の信号音を使って互いに通信可能な状態を確認します。本問では、送信側端末が送信する CNG トーン(CalliNG Signal)に関する内容が問われています。
フェーズAの呼設定手順
- 送信側端末が送信するCNGトーン
- グループ3ファクシミリ端末が呼設定を開始すると、送信側端末は CNGトーン を断続的に送出します。
- CNGトーンの周波数は 1,100ヘルツ です。
- 受信側端末がこのトーンを受信することで、送信側の存在を認識します。
- 受信側端末が返答するCEDトーン
- 受信側端末は CEDトーン(CallEd Station Identification)として、周波数 2,100ヘルツ の信号を送信側に向けて返送します。
- このトーンが送信側端末に届くことで、受信側が受信準備を完了していることを通知します。
問題のポイント
- CNGトーン
- 周波数 1,100ヘルツ の信号。
- 問題文で指定されている選択肢から適切な周波数を選ぶことが求められます。
- CEDトーン
- 周波数 2,100ヘルツ の信号。
- この周波数も出題されることがあるため、暗記しておくとよいでしょう。
- 略語の確認
- CNG(CalliNG Signal)
- 呼び出し信号。
- 呼び出し先(受信側)が応答可能か確認するための信号。
- CED(CallEd Station Identification)
- 呼び出された側(受信側)が応答するための信号。
- CNG(CalliNG Signal)
まとめ
グループ3ファクシミリのフェーズA
- 送信側端末
- CNGトーンを送信(1,100ヘルツ)。
- 受信側端末
- CEDトーンを返答(2,100ヘルツ)。
問題の傾向
- 本問のように、特定の周波数(CNGトーンやCEDトーン)が問われることがあります。
- また、CNGやCEDの略語が何を意味するかが出題される場合もあるため、関連情報を覚えておくと得点につながります。
関連する覚えるべき周波数
シグナル名 | 周波数 (ヘルツ) |
---|---|
CNG | 1,100 |
CED | 2,100 |
効率的に覚えるためには、これらの周波数をセットで覚えるとよいでしょう。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 106
該当ページ 157
問題3 夜間閉塞機能
出典:令和4年度第2回第1問(3)
解答
④
解説
PB信号方式のダイヤルインサービスとは、外線からの着信をPBX(構内交換機)を経由して、内線電話機に転送する仕組みです。この仕組みには通常の接続シーケンスがありますが、夜間閉塞機能を利用する場合には接続シーケンスが変わります。
夜間閉塞機能の接続シーケンス
- 通常のダイヤルイン接続シーケンス
- 外部から着信があると、電気通信事業者の交換機は、PBXへ内線指定信号を送出します。
- PBXは受け取った内線指定信号に基づいて、指定された内線電話機を呼び出します。
- 夜間閉塞機能の接続シーケンス
- 夜間閉塞機能が有効の場合、外線からの着信は、PBXを通さずに夜間受付用電話機へ直接転送されます。
- この際、交換機からは内線指定信号が送出されないのが通常のダイヤルイン接続シーケンスとの大きな違いです。
問題のポイント
- 内線指定信号とは?
- PBXがどの内線電話機を呼び出すべきかを指定する信号です。
- 通常のダイヤルイン接続シーケンスでは必須ですが、夜間閉塞機能では利用されません。
- 夜間閉塞機能とは?
- 夜間や特定の時間帯に外線からの着信を夜間受付用電話機など、特定の電話機に転送する機能です。
- 電話がPBXを経由しないため、接続処理が簡素化されます。
他の選択肢について
- 1次応答信号・2次応答信号
- PB信号方式での一部の接続制御手順に用いられますが、夜間閉塞機能には関係しません。
- 呼出信号・呼出音
- 外線からの着信を通知する信号であり、接続シーケンスとは異なる概念です。
まとめ
夜間閉塞機能の特徴
- 内線指定信号が送出されないことで、通常のダイヤルイン接続シーケンスと異なる。
- 外線からの着信が直接、特定の電話機に転送される。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 108
該当ページ 166
問題4 空間スイッチ
出典:令和5年度第1回第1問(2)
解答
③
解説
デジタル式PBXの空間スイッチでは、音声情報ビット列の転送を効率的に行うため、タイムスロット(時間位置)を基準にスイッチングを行います。このタイムスロットを活用する仕組みが本問のポイントです。
空間スイッチの動作
- 音声情報の多重化
- 音声情報は、タイムスロット単位で多重化され、入ハイウェイ(入力側の回線)に流れています。
- 時分割ゲートスイッチ
- 空間スイッチ内では、時分割ゲートスイッチがタイムスロットごとに開閉されます。
- 各タイムスロット内の音声情報ビット列を特定の出ハイウェイ(出力側の回線)に切り替える動作が行われます。
- タイムスロットの移動
- 空間スイッチでは、音声情報のタイムスロットの時間位置を変えずに入ハイウェイから出ハイウェイへ乗り換えます。
- これにより、ビット列が正しい順序で転送されることが保証されます。
用語解説
- タイムスロット(Time Slot)
- 音声やデータを一定時間単位で区切り、多重化されたデータの中での時間的位置を指します。
- チャネル(Channel)
- 音声やデータの論理的な伝送路。物理的な時間位置ではなく、論理的な意味を持ちます。
- フレーム(Frame)
- 一定時間内に送受信されるタイムスロットの集合体。フレーム内の各タイムスロットに音声情報が割り当てられます。
他の選択肢について
- チャネル
- 論理的な通信経路の単位であり、時間位置を直接示すものではありません。
- レジスタ
- 一時的にデータを格納する記憶装置で、タイムスロットの移動とは無関係です。
- カウンタ
- 順序を計数する装置であり、タイムスロットそのものを扱う概念ではありません。
- フレーム
- タイムスロットの集合体を指しますが、時間位置の移動の単位ではありません。
まとめ
空間スイッチとタイムスロット
- 音声情報ビット列は、タイムスロットの時間位置を変えずに入ハイウェイから出ハイウェイへ転送されます。
- タイムスロットはデータの整合性を保つための重要な基準です。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 109
該当ページ 164
問題5 内戦回路のブロック図
出典:令和5年度第2回第1問(2)
解答
③
解説
各部の役割
V: 過電圧保護回路
- 役割: 外部からの高電圧(例えば雷サージなど)から回路を保護する。
- 通話時や待機時を問わず、外部からの電気的な衝撃を抑制。
W: 通話電流供給回路
- 役割: 電話機の動作に必要な直流電流を供給する。
- これにより、通話時の安定した動作が保証される。
X: 2線-4線変換回路
- 役割: 音声信号の送受信を効率化するため、2線(電話機側)と4線(PBX内部の回路)を接続。
- この変換により、送信信号と受信信号が混在することなく処理できる。
Y: 符号器
- 役割: アナログ信号をデジタル信号に変換。
- 音声情報をデジタル化し、PBX内部の伝送に適した形にする。
Z: 復号器
- 役割: デジタル信号をアナログ信号に変換。
- これにより、電話機での音声再生が可能になる。
関連情報: 直流監視回路
- 過去問では、直流監視回路も出題されています。
- 役割: 通話中に電話回線の状態を監視し、正常な動作が行われているか確認。
- 回線の異常(断線や短絡など)を検知する重要な回路。
他の選択肢について
- リングトリップ回路
- 着信時、ベル信号(呼び出し信号)を止める役割。Wとは無関係。
- 2線-4線変換回路
- 音声信号の送受信を分離する役割。これは X に該当。
- 通話電流供給回路
- 電話機に直流電流を供給する。これが正解。
- 過電圧保護回路
- 外部からの高電圧を保護。これは V に該当。
- 時分割通話路
- 音声信号の送受信を時間で分割し、多重化通信を実現する。図には直接該当しない。
まとめ
W: 通話電流供給回路
- 役割: 電話機に直流電流を供給。
- 関連情報: 他のブロックの役割も理解しておくことが重要。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 110
該当ページ 165
問題6 通話路の切断
出典:令和 年度第 回第 問(5)
解答
⑤
解説
この問題は、デジタル式PBXにおける通話路の切断処理がどの回路で行われるかを問うものです。
デジタル式PBXの通話切断動作
デジタル式PBXでは、内線間の通話中に送受話器がオンフック(電話機を置く)されたことを検知する必要があります。この動作は以下の手順で行われます:
- ライン回路による監視
- ライン回路は電話機とPBX間の接続を管理する回路で、オンフックやオフフックの状態を検知する。
- 通話中にオンフックを検知すると、PBXは通話路を切断する。
- オンフック検知後の処理
- PBXの内部スイッチ(空間スイッチや時間スイッチ)が働き、通話経路が切断される。
各選択肢の説明
- 空間スイッチ
- 音声情報のビット列を入出力ハイウェイ間で転送する回路。通話経路の構築や切断には関与するが、オンフック状態の監視は行わない。
- トーンジェネレータ回路
- 呼び出し音や信号音(ビジートーンなど)を生成する回路。オンフック状態の監視とは無関係。
- 極性反転検出回路
- 通常、外線での着信時や料金計算用の信号に使用される。内線通話の監視には関係しない。
- 時間スイッチ
- 音声情報の時間位置を変更し、適切なタイムスロット間でのデータ転送を実現する。通話路の切断動作には関与するが、オンフックの監視はしない。
- ライン回路(正解)
- 役割: 電話機との接続を管理し、オンフックやオフフックの状態を検知する。
- 関連性: 通話中にオンフック状態を監視して、通話路を切断する動作を担う。
まとめ
ライン回路が果たす役割
- オンフック検知: 通話中の電話機がオフフックからオンフックに変わった際に状態を検知。
- 通話路の切断: オンフックを検知した後、PBXが通話経路を切断。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 112
該当ページ 164
問題7 起動・停止の手順
出典:令和4年度第1回第1問(4)
解答
③
解説
この問題は、ISDN基本ユーザ・網インタフェースにおけるデジタル回線終端装置(NT1)の遠隔給電起動条件を問う問題です。
ISDNの遠隔給電について
- 遠隔給電の概要
- ISDNの基本ユーザ・網インタフェースでは、NT1(デジタル回線終端装置)に電力を供給するため、網側から遠隔給電が行われる。
- 遠隔給電は、L1線とL2線の極性によって制御されます。
- 極性の役割
- リバース極性: L2線がL1線に対して正電位となる状態。遠隔給電時にNT1が起動するための条件です。
- ノーマル極性: L1線がL2線に対して正電位となる状態。通常動作の極性ですが、遠隔起動には用いられません。
- 起動および停止手順
- 起動: L2線がL1線に対して正電位(リバース)となったとき、NT1は遠隔給電により起動します。
- 停止: 極性がノーマルに戻されることでNT1が停止します。
まとめ
NT1の起動条件
- 遠隔給電による起動条件は**L2線がL1線に対して正電位(リバース極性)**となるとき。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 116
該当ページ 173
問題8 コーデック回路
出典:令和5年度第2回第1問(4)
解答
⑤
解説
この問題は、デジタル電話機におけるアナログ音声信号のデジタル化の処理を問う内容です。
デジタル電話機の音声処理の流れ
- アナログ音声信号の入力
- デジタル電話機の**送話器(マイク)**から入力される信号はアナログ音声信号です。
- アナログ音声信号のデジタル化
- デジタル電話機の本体内に搭載されているコーデック回路がアナログ音声信号をデジタル信号に変換します。
- 変換されたデジタル信号は、ISDN基本ユーザ・網インタフェースを経由して通信網へ送信されます。
- 受信時の逆変換
- 通信網から受信したデジタル信号は、デジタル電話機本体で再びアナログ信号に変換され、受話器(スピーカー)から音声として出力されます。
各選択肢の説明
- ① OCU (Office Channel Unit)
- OCUはデジタル加入者線(ISDN)の一部で、信号のインターフェースや変調を行いますが、電話機内の音声信号処理には関与しません。
- ② デジタル回線終端装置
- デジタル回線終端装置(NT1)はISDNの信号伝送の中継に関わる機器であり、音声信号のデジタル化には関与しません。
- ③ デジタル加入者線交換機
- 交換機は通信網内での接続や制御を行う設備であり、電話機本体での音声信号処理とは無関係です。
- ④ TA (Terminal Adapter)
- TAはアナログ端末(例:アナログ電話機)をデジタル回線に接続するための機器であり、デジタル電話機には不要です。
- ⑤ 電話機本体(正解)
- 正解: デジタル電話機にはコーデック回路が内蔵されており、アナログ音声信号のデジタル化は電話機本体で行われます。
まとめ
デジタル電話機の特徴
- デジタル電話機本体にコーデック回路が内蔵されており、アナログ音声信号のデジタル変換を実施。
- 通話中、送話器から入力された音声は電話機本体内でデジタル化され、通信網に送られる。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 118
該当ページ 174
問題9 SPDと電圧ー電流特性
出典:令和3年度第2回第1問(5)
解答
③
解説
この問題は、低圧サージ防護デバイス(SPD: Surge Protective Device)に用いられる素子について問うものです。
サージ防護デバイス(SPD)の概要
- SPDは電源回路や電子機器を、雷サージや瞬間的な過電圧から保護するために使用されます。
- 電圧制限形SPDは、電圧-電流特性が非直線性の素子を使用し、過電圧がかかると瞬時に電流を流して回路を保護します。
各選択肢の説明
- ① エアギャップ
- 電極間に空隙(エアギャップ)を設けて放電を誘発する素子。主に高電圧回路で使用され、低圧SPDには適しません。
- ② ガス入り放電管
- 内部に封入されたガスが一定の電圧を超えると放電する素子。低圧回路ではなく、主に通信回線などで使用されます。
- ③ バリスタ(正解)
- 非直線性の電圧-電流特性を持つ素子。電圧が特定の値を超えると急激に抵抗が減少し、過電圧から回路を保護します。
- 主に低圧電源回路や電子機器で使用されます。
- ④ 限流ヒューズ
- 回路内の過電流を検出して遮断する素子であり、電圧制限機能はありません。
- ⑤ サージ防護サイリスタ
- 電圧が特定の値を超えたときに導通する素子ですが、SPDの主な構成要素としては一般的ではありません。
バリスタの特徴
- 材料として酸化金属(主に酸化亜鉛)が使用され、**金属酸化物バリスタ(MOV: Metal Oxide Varistor)**と呼ばれます。
- 過電圧が発生すると瞬時に低インピーダンスとなり、過電流を回路に流さず保護します。
まとめ
電圧制限形SPDに使用される素子
- バリスタが主に使用され、非直線性の電圧-電流特性を持つため、低圧回路や機器を効率的に保護します。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 119
該当ページ 不明
問題10 誘導ノイズ対策
出典:令和4年度第1回第1問(5)
解答
⑤
解説
この問題は、既設端末設備での外部誘導ノイズの対策について問われています。
ノイズ対策とシールドの概要
- 電子機器や端末設備は、外部からの電磁波や静電誘導などによるノイズに影響を受けることがあります。
- これを防ぐためには、機器を覆うことでノイズを遮断するシールド技術が用いられます。
各選択肢の説明
- ① アクティブシールド
- 外部ノイズを検出して逆位相の信号を生成し、ノイズを打ち消す方式。電子機器を覆う「金属による遮断」とは異なります。
- ② 静電シールド
- 静電誘導を防ぐため、導電性の素材で覆い、接地することで電場を遮断します。
- 問題文では「電磁波」も含むため、適切ではありません。
- ③ コモンモードチョークコイル
- 差動信号ラインで使用されるノイズ抑制素子であり、電子機器全体を覆う方法ではありません。
- ④ ハイパスフィルタ
- 高周波成分だけを通過させる回路素子であり、外部ノイズの遮断には直接関係ありません。
- ⑤ 電磁シールド(正解)
- 高導電率の金属で電子機器を覆い、電磁波ノイズを遮断する方法です。接地することで電磁波の反射や吸収が強化されます。
- 電磁波を遮断するための最も一般的な方法として広く使用されています。
電磁シールドの特徴
- 使用素材:アルミニウム、銅、スチールなどの高導電率金属。
- 接地:必須条件ではありませんが、接地するとシールド効果が向上します。
- 主な用途:電子機器、ケーブル、通信設備などのノイズ防止。
まとめ
外部ノイズ対策としての電磁シールド
- 高導電率の金属で覆い、外部からの電磁波ノイズを遮断する技術。
- 問題文での「完全に覆う」という記述から、電磁シールドが該当します。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 120
該当ページ 178
問題11 電位差の低減
出典:令和4年度第2回第1問(5)
解答
②
解説
この問題は、建築物等の雷保護における用語の定義について問われています。
用語の概要
雷保護システムには以下の二つのシステムがあります:
- 外部雷保護システム
- 雷を受ける部分(受雷部)と、雷電流を地面に安全に流す部分(導体・接地極)で構成されます。
- 内部雷保護システム
- 雷電流による電位差やサージ(過電圧・過電流)から建物内部の機器や人を保護するための仕組み。
選択肢の説明
- ① 接地システム
- 建物や設備を大地に接続し、過電流や雷電流を安全に逃す仕組みですが、電位差の低減を目的とした「部分間の接続」とは異なります。
- ② 等電位ボンディング(正解)
- 離れた導電性部分間の電位差を低減するための接続手段です。
- 接続には、導体や**サージ保護装置(SPD)**を用います。
- 内部雷保護システムの主要な構成要素の一つであり、建物内の電位差を均一化することで、機器や人へのダメージを防ぎます。
- ③ 受雷部システム
- 雷を直接受ける部分(避雷針など)を指し、内部の電位差低減には関連しません。
- ④ 環状接地極
- 建物の周囲に埋設される環状形状の接地極ですが、電位差の低減を目的とした接続とは異なります。
- ⑤ 基礎接地極
- 建築物の基礎部分に設置される接地極で、主に建物全体の接地システムの一部として機能します。等電位ボンディングには直接関与しません。
等電位ボンディングの目的
- 雷電流によって建物内部の導体間に発生する電位差を低減する。
- 接続方法:
- 導体(例:銅線)を直接接続。
- サージ保護装置(SPD)を使用して接続。
まとめ
等電位ボンディングの重要性
- 建物内部の電位差を均一化し、雷サージによる機器や設備への影響を抑える。
- 内部雷保護システムの主要な要素。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 120
該当ページ 177
問題12 電磁妨害への耐性
出典:令和5年度第2回第1問(5)
解答
⑤
解説
この問題では、通信機器が電磁妨害に対する影響をどのように回避するかを定義する用語について問われています。
用語の説明
- ① 電磁感受性 (Electromagnetic Susceptibility)
- 機器やシステムが外部からの電磁妨害に対してどの程度影響を受けやすいかを指します。
- 性能低下せずに動作する能力の逆の概念です。
- ② 電磁エミッション (Electromagnetic Emission)
- 機器や装置が外部に放射する電磁ノイズの量を指します。妨害を防ぐ能力とは関係がありません。
- ③ 妨害電磁界強度
- 電磁妨害を引き起こす電磁界の強さを示しますが、通信機器の耐性には直接関係しません。
- ④ 電磁遮蔽 (Electromagnetic Shielding)
- 機器を外部の電磁波から保護するために金属シールドなどを用いる方法を指します。機器の能力ではなく物理的な対策の一つです。
- ⑤ イミュニティ (Electromagnetic Immunity)
- 電磁妨害が存在する環境で、機器やシステムが性能を低下させることなく正常に動作する能力を指します。
- JIS C 60050-161:1997(IEC 60050-161に基づく)で規定されています。
電磁イミュニティの重要性
- 電磁妨害(EMI: Electromagnetic Interference)は、他の電子機器や周辺装置から発生するノイズが原因で、通信機器の動作に支障をきたす可能性があります。
- イミュニティの向上は、通信機器の信頼性を確保する上で欠かせません。
まとめ
イミュニティとは
- 定義: 電磁妨害の中でも性能低下せずに正常動作を維持する能力。
- 目的: 機器やシステムの信頼性を確保するための重要な性能指標。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 120
該当ページ 不明
問題13 誘導雑音
出典:令和3年度第1回第1問(5)
解答
⑤
解説
この問題は、通信線から通信機器に侵入する 誘導雑音 の分類に関するものです。
用語の説明
- ① 線間
- 通信線どうしの間で発生するノイズを指しますが、大地との間でのノイズ励起とは異なります。
- ② ノーマルモード (Normal Mode)
- 主に通信線どうしの間で発生するノイズで、線間ノイズとほぼ同義です。大地とは関係ありません。
- ③ ディファレンシャルモード (Differential Mode)
- ノーマルモードノイズと同義で、通信線間で発生する雑音です。
- ④ 正相
- 電気回路やノイズにおいて、線路に同一方向の電位が発生している状態を指しますが、ここでは使用しません。
- ⑤ コモンモード (Common Mode)
- 動力機器などから大地と通信線との間に励起されるノイズを指します。
- このノイズは、通信線全体が大地に対して同じ電位で揺れる現象により生じます。
コモンモードノイズの特性
- 発生原因
- 電源設備や動力機器からの漏れ電流。
- 雷サージや地絡電流の影響。
- 影響
- 通信線全体に同じノイズが乗るため、ノイズの除去が難しい場合があります。
- シールドケーブルやフィルタ(コモンモードチョークコイルなど)で対応可能。
まとめ
コモンモードノイズとは?
- 定義: 大地と通信線の間で励起されるノイズ。
- 主な原因: 動力機器や電源系統による漏れ電流や地絡。
- 対策: コモンモードチョークやシールドケーブルの利用。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 120
該当ページ 178
問題14 コモンモードチョークコイル
出典:令和5年度第1回第1問(5)
解答
④
解説
この問題は、通信端末機器内部への電波混入とその対策に関するものです。
用語の説明
- ① 正相
- 電圧や電流が同じ位相で発生する場合を指しますが、ここでは該当しません。
- ② 逆相
- 正相の反対で、電圧や電流が逆位相で発生する場合を指しますが、ここでは関係ありません。
- ③ 線間
- 通信線どうしの間で発生するノイズを指しますが、電波の混入経路としては直接関係がありません。
- ④ 縦 (コモンモード)
- 通信線全体がアンテナとして働き、放送波や電波を受信することで誘導されるノイズを指します。
- このノイズは、通信線全体が電波を受信して生じ、通信機器内部に混入します。
- ⑤ 帰還
- 電気信号が回路内を循環する現象を指し、ここでは該当しません。
コモンモードチョークコイルの役割
- 目的:
- コモンモード(縦方向)ノイズを除去するためのデバイス。
- 電流が通信線間で均等に流れる際のノイズを抑制。
- 仕組み:
- コモンモード電流に対して高いインピーダンスを発生させることでノイズを減衰。
- 通信線どうしの信号(差動信号)には影響を与えない。
- 適用場面:
- 放送波の混入対策: 屋内線がアンテナとして動作しないようにする。
- 接続機器間のノイズ除去: 電源ケーブルや通信線のノイズを除去。
まとめ
ポイント
- 縦方向ノイズとは、通信線全体が電波を受信して生じるノイズ。
- 対策: コモンモードチョークコイルを用いてノイズを減衰させる。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 120
該当ページ 176
参考資料の該当ページです。