この記事は、工事担任者試験の直前対策資料である「工事担任者 基礎 穴埋め暗記セレクション 総合通信2024受験版」に対応しています。PDFは期間限定で下記リンクより配布いたします。
技術→https://drive.google.com/file/d/1Nc8CKLcPUwYS4knckAAtevNgfiUjRbSc/view?usp=sharing
資料は必要最小限の記述に絞りスリム化を図っていますが、こちらのブログでは、出典となる過去問も引用して掲載しています。問題集としてもご利用いただけるほか、解説を確認する目的にもお役立ていただけます。
なお、分量が多いため、大問ごとに記事を分けて掲載しております。
皆様の試験対策に微力ながらお力添えできれば幸いです。心より、皆様の合格をお祈り申し上げます。
問題1 1000BASE-T符号化方式
出典:令和5年度第1回第4問(1)
解答
③
解説
1000BASE-Tの符号化方式について
1000BASE-Tは、ギガビットイーサネットの規格で、カテゴリー5以上のツイストペアケーブルを使用して最大1Gbpsの通信を実現します。この規格では、効率的かつ正確にデータを伝送するために、符号化方式が採用されています。
符号化方式の概要
- 8B1Q4符号化
- 送信データを8ビットごとに区切ります。
- 各8ビットのデータに1ビットの冗長ビットを加え、9ビットに変換します。
- この9ビットのデータをさらに4つの5値シンボル(+2, +1, 0, -1, -2)にマッピングして送信します。
- メリット: 符号化効率を高め、伝送路上での信号劣化を抑える。
- 各選択肢の比較
- ① 8B/6T:
- 8ビットを6トリットに変換する符号化方式。1000BASE-Tでは採用されていません。
- ② 8B/10B:
- 8ビットを10ビットに変換する方式で、ファイバーベースのGigabit Ethernet(1000BASE-X)で採用されていますが、1000BASE-Tでは採用されていません。
- ③ 8B1Q4:
- 正解。1000BASE-Tで採用される符号化方式。
- ④ MLT-3:
- マルチレベル伝送技術で、主に100BASE-TXなどで採用されています。
- ⑤ NRZI:
- 符号化方式の一つで、ビット列の変化を電圧の変化で表現しますが、1000BASE-Tでは採用されていません。
- ① 8B/6T:
まとめ
- 1000BASE-Tでは、8ビットのデータに1ビットの冗長ビットを加えて9ビットとし、それを4つの5値シンボルに変換する8B1Q4符号化が採用されています。
参考資料
該当ページ 123
該当ページ 242
問題2 1000BASE-T変調方式
出典:令和3年度第2回第4問(1)
解答
⑤
解説
1000BASE-Tの変調方式について
1000BASE-Tは、ギガビットイーサネットの規格で、カテゴリー5以上のツイストペアケーブルを使用して、最大1Gbpsの通信を実現します。この規格では、伝送効率を高めつつ周波数帯域を抑制するための変調方式として、4D-PAM5が採用されています。
変調方式の概要
- 4D-PAM5とは
- 1000BASE-Tでは、符号化されたデータを4組の5値情報に変換します。
- 各5値情報(+2, +1, 0, -1, -2)は、5段階の電圧レベルに対応します。
- 4ペアのツイストペアケーブルを使用し、それぞれ並列にデータを送信します。
- メリット: 伝送路の効率化を図りつつ、必要な周波数帯域を抑制します。
選択肢の比較
- ① PAM5×5:
- 5値信号を組み合わせた方式に見えますが、1000BASE-Tの規格には該当しません。
- ② PAM16:
- 16値信号を用いた変調方式ですが、1000BASE-Tでは採用されていません。
- ③ 4B/5B:
- データを4ビットごとに区切り、5ビットに変換する符号化方式。Fast Ethernetなどで採用されますが、1000BASE-Tでは使用されていません。
- ④ 8B/10B:
- データを8ビットごとに区切り、10ビットに変換する符号化方式。光ファイバーを用いる1000BASE-Xなどで採用されます。
- ⑤ 4D-PAM5:
- 正解。1000BASE-Tで採用されている変調方式です。
まとめ
- 1000BASE-Tでは、送信データを5値信号に変換し、4ペアのツイストペアケーブルを使用して並列に伝送します。
- これにより、伝送効率を向上させ、周波数帯域を抑制しています。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 123
該当ページ 243
問題3 伝送路符号化方式
出典:令和5年度第2回第4問(1)
解答
⑤
解説
2値符号とは
デジタル信号を送受信するための符号化方式において、伝送路に送られる信号が高レベル(High)と低レベル(Low)の2つのレベルのみを持つ符号を2値符号といいます。
NRZI符号について
- NRZI (Non-Return-to-Zero Inverted) は、2値符号化方式の一つです。
- 特徴として、0が送られるときは信号レベルが変化しない一方、1が送られるときは信号レベルが反転します。
- この符号化方式では、連続する1に対して信号レベルが交互に変化するため、信号の変化からビットの境界を認識しやすくなります。
- メリット: 直流成分が抑えられ、データ同期が容易になるため、広く使用されています。
選択肢の比較
- ① PR-4:
- 部分応答符号化方式の一つで、磁気ディスクや光ディスクのデータ記録で用いられることがありますが、2値符号ではありません。
- ② MLT-3:
- 信号レベルが3値を取る多値符号化方式で、100BASE-TXなどで使用されます。
- ③ PAM-5:
- 5値の信号レベルを持つ多値振幅変調方式。1000BASE-Tで使用されます。
- ④ AMI:
- Alternate Mark Inversion方式。信号の0は無信号、1は正負のレベルが交互に変化する符号化方式です。これは3値符号に分類されます。
- ⑤ NRZI:
- 正解。2値符号の代表例であり、デジタル信号伝送で広く使用されています。
まとめ
- NRZIは2値符号の一つであり、信号レベルの変化で1と0を表現します。
- 他の符号化方式と比較して、2値符号の特徴に該当するのはNRZIです。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 148
該当ページ 242
問題4 10GBASE-LR符号化方式
出典:令和4年度第1回第4問(1)
解答
⑤
解説
10GBASE-LRと物理層
- 10GBASE-LRは、10ギガビット・イーサネットの物理層規格の一つで、シングルモード光ファイバを使用し、最大伝送距離が10kmを実現します。
- この規格では、高速なデータ伝送を安定して行うために、符号化方式として64B/66Bを採用しています。
64B/66B符号化方式
- 64B/66B符号化は、10Gbpsの高速通信に適した符号化方式です。
- 64ビットのデータを1ブロックとして取り扱い、2ビットの同期ヘッダを付加して、合計66ビットにします。
- この方式により、符号化のオーバーヘッドが抑えられ、効率的なデータ伝送が可能になります。
符号化の流れ
- データのブロック化: 上位MAC層から受け取った64ビットのデータを一つのブロックにまとめます。
- スクランブル: データをランダム化することで、信号に規則性が生じることを防ぎます。
- 同期ヘッダの付加:
- 2ビットの同期ヘッダを付加し、66ビットのフレームを形成します。
- 同期ヘッダは、データフレームと制御フレームを区別する役割を持ちます。
選択肢の比較
- ① 1B/2B: データ1ビットを2ビットに変換する方式で、効率が低く、現代の高速通信には適していません。
- ② 4B/5B: 4ビットを5ビットに変換する符号化方式で、100Mbpsや155Mbpsで使用されますが、10GBASE-LRには採用されていません。
- ③ 8B/6T: 高速通信で使われる符号化方式ですが、10GBASE-LRには該当しません。
- ④ 8B/10B: 8ビットを10ビットに符号化する方式で、1Gbps以下の規格でよく使用されますが、10Gbps以上の規格には効率が低いため不採用。
- ⑤ 64B/66B: 正解。64ビットのデータに2ビットの同期ヘッダを付加する方式で、10Gbps規格に最適です。
まとめ
- 64B/66B符号化は、10GBASE-LRの物理層で採用される方式で、高速通信において高効率を実現しています。
- 同期ヘッダを付加することで、データフレームと制御フレームの識別が可能になります。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 149
該当ページ 242
問題5 マルチキャストアドレス
出典:令和4年度第2回第4問(3)
解答
①
解説
IPv6アドレスの基本構成
- IPv6アドレスは、128ビットで構成され、通常、16ビットごとにコロンで区切られた16進数で表記されます。
- アドレスの種類ごとに特定のビットパターンが決まっています。
マルチキャストアドレスとは
- マルチキャストアドレスは、IPv6のアドレス種別の一つで、特定のグループ全体にデータを送信するために使用されます。
- マルチキャストアドレスの特定には、先頭8ビット(プレフィックス)が重要です。
マルチキャストアドレスのプレフィックス
- マルチキャストアドレスの先頭8ビットは常に11111111(16進数で
FF
)です。 - これにより、マルチキャストアドレスであることが識別されます。
まとめ
- IPv6マルチキャストアドレスは、先頭8ビット(プレフィックス)が
11111111
(16進数でFF
)であることで識別されます。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 151
該当ページ 254
問題6 転送可能なパケットの最大長
出典:令和5年度第2回第4問(3)
解答
①
解説
IPv6におけるパケット分割(フラグメンテーション)の特徴
- IPv4では中継ノード(ルータ)がパケットを分割(フラグメンテーション)することが可能ですが、IPv6ではこの機能が廃止されています。
- IPv6では、送信元ノードだけがパケットを分割でき、中継ノードは分割せず、そのままパケットを転送します。
フラグメンテーションを回避するための仕組み
- IPv6では、ネットワーク経路上の最小転送単位(MTU)に合わせたパケットサイズを送信元で調整する必要があります。
- この調整のために用いられるのが、PMTUD (Path MTU Discovery) という機能です。
PMTUD (Path MTU Discovery)の仕組み
- MTUとは
- MTU(Maximum Transmission Unit)は、ネットワークセグメント内で転送可能なパケットの最大サイズを指します。
- PMTUDの役割
- PMTUDは、送信元ノードが経路上の各ネットワークセグメントのMTUを調査し、最も小さいMTU(Path MTU)を特定する機能です。
- IPv6では、ICMPv6の「パケットが大きすぎる(Packet Too Big)」メッセージを利用して、送信元ノードに最適なパケットサイズを通知します。
選択肢の比較
- ①PMTUD (Path MTU Discovery): 正解。IPv6でのフラグメンテーションを回避するために、送信元が経路上のMTUを調査して最適なパケットサイズを設定する機能です。
- ②DBA (Dynamic Bandwidth Allocation): 動的帯域割り当てであり、フラグメンテーションとは関係ありません。
- ③ND (Neighbor Discovery): 隣接ノードの発見機能であり、フラグメンテーションとは無関係です。
- ④MLD (Multicast Listener Discovery): マルチキャストリスナーの検出プロトコルであり、フラグメンテーションには関係しません。
- ⑤CIDR (Classless Inter-Domain Routing): アドレス集約の技術であり、フラグメンテーションには無関係です。
まとめ
- IPv6では、送信元ノードがPMTUD機能を使って経路上の最小MTUを調査し、フラグメンテーションを回避します。
- 中継ノードではフラグメンテーションを行わないという設計がIPv6の特徴です。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 153
該当ページ 257
問題7 NTEを使用しないインターネット接続
出典:令和4年度第2回第4問(4)
解答
④
解説
PPPoE (Point-to-Point Protocol over Ethernet)とは
- PPPoEは、イーサネットフレーム上でPPPプロトコルを使用するインターネット接続方式です。
- 利用者認証(ID・パスワード)を行い、ネットワーク終端装置(NTE: Network Termination Equipment)を通してインターネットへ接続します。
- デメリットとして、NTEの負荷集中(輻輳)が原因で通信速度が低下することがあります。
IPoE (IP over Ethernet)とは
- IPoEは、イーサネットを直接利用してIP通信を行う接続方式です。
- NTEを使用せず、ISPが提供する設備を経由して直接インターネットに接続します。
- 利用者認証を行わず、直接IPアドレスを割り当てる仕組みを持つため、NTEの輻輳問題が発生しにくいのが特徴です。
PPPoEとIPoEの比較
項目 | PPPoE | IPoE |
---|---|---|
接続方式 | NTEを介してインターネットに接続 | NTEを使用せず直接接続 |
認証方式 | PPP認証(ID・パスワード) | DHCPなどでIPアドレスを割り当て |
輻輳リスク | 高い(NTEがボトルネックになる) | 低い |
通信速度 | 輻輳時に低下する可能性あり | 高速かつ安定しやすい |
選択肢の比較
- ①IoT: IoT(Internet of Things)は物のインターネットを指し、接続方式そのものではありません。
- ②IP-VPN: インターネットを経由せずにプライベートネットワークで通信を行う方式であり、接続方式としては異なります。
- ③EoMPLS: MPLS(Multiprotocol Label Switching)技術を利用した通信方式であり、接続方式としては異なります。
- ④IPoE: 正解。NTEを使用しない接続方式で、輻輳のリスクが低く、高速通信が可能です。
- ⑤IPCP: PPPプロトコル内でIPアドレスの設定を行うプロトコルであり、接続方式ではありません。
まとめ
- IPoEは、NTEを使用せず、直接IP通信を行うため、輻輳リスクを低減し、安定した通信速度を提供する方式です。
- PPPoEの欠点を補う技術として普及が進んでいます。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ なし
該当ページ 249
問題8 イーサネットのフレームマット
出典:令和4年度第1回第1問(4)
解答
④
解説
イーサネットフレームの送信手順
イーサネットフレームは、受信側が正しくフレームを受信できるようにするため、フレーム本体の前に特殊な信号(プリアンブル)が送信されます。
プリアンブル (Preamble)とは
- 役割:
- フレームの開始を通知
- 受信側が受信準備を行う(同期を取る)
- 受信タイミングの調整
- 構成:
- 7バイト (56ビット) の長さ
- ビットパターン 10101010 を7回繰り返す。
- プリアンブルに続いて、SFD (Start Frame Delimiter) と呼ばれる1バイト(10101011)が送信され、フレーム本体の開始を示します。
イーサネットフレームフォーマット
イーサネットフレームの基本構成は以下の通りです:
フィールド | 長さ | 説明 |
---|---|---|
Preamble (プリアンブル) | 7バイト | フレームの開始を通知し、受信タイミングを調整。 |
SFD | 1バイト | フレーム本体の開始を示す(10101011)。 |
DA (宛先アドレス) | 6バイト | 宛先MACアドレス。 |
SA (送信元アドレス) | 6バイト | 送信元MACアドレス。 |
Type/Length | 2バイト | 上位プロトコルまたはフレーム長を示す。 |
データ (Payload) | 46~1500バイト | 実際のデータ部分。 |
FCS (Frame Check Sequence) | 4バイト | エラーチェック用のフレームチェックシーケンス。 |
選択肢の比較
- ①SFD (Start Frame Delimiter):
- フレーム本体の開始を示すフィールド(1バイト)で、プリアンブルの後に送信されます。
- ②DA (Destination Address):
- フレームの宛先アドレスを示すフィールド(6バイト)。
- ③SA (Source Address):
- フレームの送信元アドレスを示すフィールド(6バイト)。
- ④Preamble:
- 正解。7バイトの10101010のビットパターンを繰り返し送信する信号です。
- ⑤FCS (Frame Check Sequence):
- フレーム末尾に付加されるエラーチェック用データ(4バイト)。
まとめ
- プリアンブル (Preamble) は、フレーム本体の前に送信される7バイトの同期信号であり、受信側のタイミング調整や受信準備を行います。
- SFD (Start Frame Delimiter) はプリアンブルに続く1バイトで、フレーム本体の開始を通知します。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 156
該当ページ 187
問題9 光スプリッタを用いた分岐
出典:令和4度第1回第4問(2)
解答
⑤
解説
光アクセスネットワークの設備構成
光アクセスネットワークでは、光ファイバを利用してデータを通信するインフラを構築します。その中で、光スプリッタを用いて配線を効率的に分岐し、複数のユーザに接続する構成が特徴的なシステムがPON (Passive Optical Network) です。
PON (Passive Optical Network) の特徴
- 受動型構成 (Passive):
- 光スプリッタなどの受動デバイスを使用し、電源が不要。
- シンプルな構成でコストを削減。
- 光スプリッタの役割:
- 中継局などで、1本の光ファイバを複数のユーザ用光ファイバに分岐。
- 分岐比は一般に1:32や1:64など。
- ドロップ光ファイバケーブル:
- スプリッタからユーザ宅までの配線に使用。
- ユーザごとに個別に接続。
- データ伝送方式:
- 下り方向(事業者からユーザへ)はブロードキャスト方式。
- 上り方向(ユーザから事業者へ)は時分割多重 (TDM)。
- 利点:
- 光ファイバ資源の効率的利用。
- 電源不要のため低消費電力。
選択肢の比較
- ① xDSL:
- 既存の電話線を利用したデジタルデータ伝送方式。
- 光ファイバではないため不適切。
- ② TCM (Time Compression Multiplexing):
- 時間圧縮多重化方式で、主に衛星通信などで使用。
- 光アクセスネットワークとは無関係。
- ③ HFC (Hybrid Fiber-Coaxial):
- 光ファイバと同軸ケーブルを組み合わせた構成。
- 光スプリッタを用いないため不適切。
- ④ OTN (Optical Transport Network):
- 光ファイバを使用したバックボーンネットワーク技術。
- アクセスネットワークではないため不適切。
- ⑤ PON (Passive Optical Network):
- 正解。光スプリッタを用いて複数ユーザに光ファイバを分岐する構成。
まとめ
PONのポイント
- 光ファイバを1本で複数のユーザに分岐。
- 光スプリッタやドロップケーブルを活用。
- 電源不要の受動型構成で、効率的かつ低コスト。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 161
該当ページ 268
問題10 光1対1接続構成
出典:令和5年度第2回第4問(2)
解答
⑤
解説
光アクセスネットワークの構成: SS方式
光アクセスネットワークにおけるSS方式 (Single Star) は、光ファイバ1心を分岐することなく、電気通信事業者側とユーザ側を1対1で直接接続する方式です。
SS方式の特徴
- 1対1の接続:
- 光スプリッタを使用せず、1本の光ファイバで直接接続。
- 各ユーザが専用の光ファイバ回線を利用する。
- 高い帯域幅の確保:
- 分岐しないため、回線を共有せず、全帯域を1ユーザが独占できる。
- 高速通信や高い安定性が求められる環境に適している。
- 接続機器:
- 電気通信事業者側: 光ラインターミナル (OLT)。
- ユーザ側: メディアコンバータや光ネットワークユニット (ONU)。
- 利用例:
- 法人向け専用線や高性能ネットワークを必要とする用途に使用。
- デメリット:
- 各ユーザ専用に光ファイバを引き込む必要があるため、構築コストが高い。
- 運用効率が低い。
選択肢の比較
- ① PDS:
- Point-to-Point Data Service。直接関係なし。
- ② ADS:
- 特定の用語としては関連しない。
- ③ xDSL:
- 既存の電話線を使用した伝送方式。光ファイバを用いないため不適切。
- ④ HFC:
- Hybrid Fiber-Coaxial。光ファイバと同軸ケーブルの併用で分岐するため不適切。
- ⑤ SS (Single Star):
- 正解。光ファイバ心線を分岐せず1対1で接続する方式。
まとめ
SS方式のポイント
- 1対1接続: 分岐なしで専用の光ファイバを確保。
- 高速で安定した通信が可能。
- コストは高いが、法人専用回線や特殊用途に適している。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 161
該当ページ 267
問題11 CATV強度変調方式
出典:令和3年度第1回第4問(3)
解答
③
解説
SCM方式 (SubCarrier Multiplexing) とは
CATVシステムにおけるSCM方式は、周波数多重された多チャンネルの映像信号をそのまま光信号の強度で変調する方式を指します。この方式では、アナログ映像信号を光信号に直接変調して伝送します。
SCM方式の特徴
- 周波数多重:
- 多チャンネルの映像信号を周波数で多重化(FDM: Frequency Division Multiplexing) し、1本の光ファイバでまとめて伝送。
- 強度変調:
- 光信号に映像信号を強度変調(Intensity Modulation) する方式。
- 映像信号の明るさや色に対応する強度で光を変調。
- アナログ伝送:
- 映像信号がアナログのままで伝送されるため、高周波成分が維持され、映像品質が高い。
- 使用例:
- CATVセンタからエンドユーザへの映像配信に利用。
- アナログCATVや一部のデジタルCATVで採用。
- メリット:
- 映像信号をそのまま伝送するため、処理が簡易。
- 光ファイバの広帯域を利用して多チャンネル伝送が可能。
- デメリット:
- アナログ方式のため、光伝送路の雑音や歪みに影響を受けやすい。
選択肢の比較
- ① FDM (Frequency Division Multiplexing):
- 周波数多重技術そのものを指し、伝送方式ではない。
- ② OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing):
- デジタル伝送方式であり、SCMのアナログ伝送とは異なる。
- ③ SCM (SubCarrier Multiplexing):
- 正解。多チャンネル信号を周波数多重して光信号で強度変調する方式。
- ④ FM一括変換:
- 周波数変調に関連するが、SCM方式の説明には適合しない。
- ⑤ TCM (Trellis Coded Modulation):
- デジタル変調方式で、SCM方式とは無関係。
まとめ
SCM方式のポイント
- 周波数多重された多チャンネル信号を光信号の強度で直接変調。
- CATVセンタからエンドユーザへの映像配信で使用。
- 簡易なアナログ方式であるが、雑音や歪みの影響を受けやすい。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 164
該当ページ 不明
問題12 CATV多重化方式
出典:令和4年度第1回第4問(3)
解答
③
解説
DOCSIS 3.1の概要
DOCSIS 3.1 (Data Over Cable Service Interface Specification) は、CATV網を利用した高速データ通信の規格で、以下の特徴があります:
- 周波数帯域の拡張:
- 従来より広い周波数帯域を利用することで高速通信を実現。
- 上り通信と下り通信の両方で効率的な帯域活用を図る。
- 誤り訂正符号 (LDPC):
- LDPC (Low-Density Parity-Check) 符号を採用することで、誤り訂正能力を向上。
- 雑音が多い通信環境下でも安定した通信を実現。
- マルチキャリア方式:
- 周波数利用効率を高めるためにOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) を採用。
- 多数のサブキャリアを利用して効率的にデータを分割して伝送。
- 伝送速度の向上:
- 下り通信で最大10Gbps、上り通信で最大1Gbpsをサポート。
- 高速かつ安定したデータ通信を可能に。
OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) の特徴
- 直交性を活用:
- サブキャリア間の干渉を最小限に抑え、多重化効率を向上。
- 周波数利用効率:
- 帯域幅を細かく分割し、多数のサブキャリアでデータを同時伝送。
- 耐干渉性:
- 雑音や信号劣化に強い。
- 用途:
- DOCSIS 3.1以外にも、Wi-FiやLTE、光通信など、さまざまな通信技術で採用されている。
選択肢の比較
- ① CDMA (Code Division Multiple Access):
- コード分割多重方式で、主にモバイル通信で用いられる。DOCSIS 3.1では採用されていない。
- ② FDMA (Frequency Division Multiple Access):
- 周波数分割多重方式だが、OFDMと比較すると効率が劣る。DOCSIS 3.1では使用されない。
- ③ OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing):
- 正解。周波数利用効率が高く、DOCSIS 3.1で採用されている多重化方式。
- ④ TDMA (Time Division Multiple Access):
- 時分割多重方式で、タイムスロットを利用する方式。DOCSIS 3.1の採用技術ではない。
まとめ
DOCSIS 3.1の採用技術
- OFDM (直交周波数分割多重方式) による周波数利用効率の向上。
- LDPC符号の採用による誤り訂正能力の向上。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 164
該当ページ 273
問題13 ADSLの変調方式
出典:令和3年度第2回第4問(2)
解答
④
解説
ADSL (Asymmetric Digital Subscriber Line)の変調方式
ADSLは、音声通信とデータ通信を1本の電話回線で共存させる技術で、以下の特徴を持つ変調方式が用いられています。
DMT (Discrete Multi-Tone)方式の概要
- サブキャリアの分割:
- 帯域幅4kHzのサブキャリアを多数配置し、広い周波数帯域を細かく分割します。
- 個々のサブキャリアを独立した帯域として使用し、それぞれにデータを割り当てます。
- 周波数の利用効率:
- 各サブキャリアに適応変調を適用することで、周波数ごとに最適な変調方式(例: QAMなど)を選択。
- 雑音が少ないサブキャリアには高いビットレート、雑音が多いサブキャリアには低いビットレートを割り当てるため、全体のデータ伝送効率が向上します。
- 雑音耐性:
- サブキャリアごとにデータを独立して伝送するため、一部のサブキャリアが影響を受けても他のサブキャリアが正常に動作し、通信全体の品質が維持されます。
選択肢の比較
- ① ATM (Asynchronous Transfer Mode):
- 通信プロトコルであり、変調方式ではありません。
- ② STM (Synchronous Transfer Mode):
- 通信における同期転送方式で、変調方式ではありません。
- ③ TDM (Time Division Multiplexing):
- 時分割多重方式。異なる時間帯で信号を共有する方式であり、ADSLの変調方式とは異なります。
- ④ DMT (Discrete Multi-Tone):
- 正解。ADSLの変調方式として標準化されている技術。帯域を細かく分割することで効率的にデータを伝送します。
- ⑤ PCM (Pulse Code Modulation):
- 音声信号をディジタル信号に変換する方式であり、変調方式ではありません。
まとめ
ADSLの変調方式
- DMT (離散多音変調) は、帯域を4kHzのサブキャリアに分割し、それぞれにデータを割り当てる変調方式。
- 雑音耐性が高く、周波数利用効率が良い。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 165
該当ページ 不明
問題14 波形劣化の評価
出典:令和3年度第2回第4問(4)
解答
③
解説
アイパターンとは
アイパターンは、パルス信号の伝送路などで発生する波形劣化を評価するために使用される画像表示技術です。次のような特徴を持ちます。
- 生成方法:
- オシロスコープでデジタル信号の1ビットごとのパルス波形を時間軸上に重ね合わせて表示します。
- 複数の波形を重ねることで、パターンが目視で「目の形 (eye)」のように見えることから、アイパターンと呼ばれます。
- 評価対象:
- 振幅方向 (垂直方向): 信号の振幅の揺れ (ノイズや振幅劣化) を評価。
- 時間軸方向 (水平方向): 信号タイミングの揺らぎ (ジッタや遅延) を評価。
- 用途:
- 信号伝送の品質確認。
- 波形劣化の原因特定 (例: ノイズ、ジッタ、クロストークなど)。
選択肢の比較
- ① テストパターン:
- 信号品質を評価するために用いられる標準的なデータ列ですが、オシロスコープの画像表示形式ではありません。
- ② マスクパターン:
- 信号が通過するべき閾値を視覚化したもので、アイパターンと組み合わせて使用されることもありますが、画像形式ではありません。
- ③ アイパターン:
- 正解。パルス信号の劣化を視覚的に評価する画像表示形式。
- ④ ワイヤマップ:
- ケーブル配線の正確性を確認するための方法で、信号波形の評価方法ではありません。
- ⑤ バスタブカーブ:
- ビットエラーレート (BER) と信号品質を評価するための曲線グラフであり、画像形式ではありません。
まとめ
アイパターンの特徴
- デジタル信号の波形劣化を視覚的に確認できる。
- 振幅方向はノイズ、時間軸方向はジッタなどを評価するために使用される。
- 通信品質や伝送路の状態を分析するために重要なツール。
参考資料
参考資料の該当ページです。
該当ページ 169
該当ページ 147
問題15 VDSLの周波数帯域の拡張
出典:令和5年度第1回第4問(2)
解答
⑤
解説
G.fastとは
G.fastは、ITU-Tで標準化された高速アクセス技術で、以下のような特徴を持ちます。
- 標準化規格:
- ITU-T G.9700/G.9701に基づいて標準化。
- VDSLの技術をベースに、周波数帯域を拡張して性能を向上させています。
- 技術概要:
- 周波数帯域を最大106 MHzまで拡張。
- 伝送方式に**TDD (Time Division Duplex)**を採用し、上りと下りの伝送を時間で分けることで効率的な通信を実現。
- 速度性能:
- 106 MHzプロファイルにおいて、上りと下りを合わせた最大伝送速度が理論値で1 Gbps。
- 用途:
- 光ファイバを建物の近く (例えば、FTTB: Fiber to the Building) まで敷設し、建物内や短距離区間ではメタリックケーブルを利用する構成に適しています。
- 既存のメタリックケーブルを活用するため、導入コストを抑えつつ、高速な通信環境を実現可能。
選択肢の比較
- ① FTTB:
- 建物まで光ファイバを引き込む方式を指す用語であり、通信技術そのものではありません。
- ② ADSL:
- メタリックケーブルを使用する非対称デジタル加入者線で、高速通信が可能ですが、G.fastほどの速度性能はありません。
- ③ HDSL:
- 対称型デジタル加入者線で、対称通信が可能ですが、速度性能や用途がG.fastとは異なります。
- ④ HFC:
- Hybrid Fiber Coaxialの略で、光ファイバと同軸ケーブルを組み合わせた通信方式。G.fastとは技術的な基盤が異なります。
- ⑤ G.fast:
- 正解。ITU-T G.9700/G.9701として標準化され、上り下り合計1 Gbpsの理論最大速度を実現する技術。
まとめ
G.fastの特徴
- 標準化: ITU-T G.9700/G.9701。
- 技術: 周波数帯域を拡張 (最大106 MHz)。
- 伝送方式: TDDを採用。
- 用途: 既存メタリックケーブルを活用し、短距離での高速通信を実現。
参考資料
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問題16 クラウドのサービスモデル
出典:令和5年度第2回第4問(4)
解答
②
解説
クラウドコンピューティングのサービスモデル
クラウドコンピューティングは、大きく以下の3つのサービスモデルに分類されます。それぞれの特性を理解することが重要です。
① IaaS (Infrastructure as a Service)
- 提供内容: サーバやストレージ、ネットワークなどのハードウェア基盤を提供。
- ユーザの役割: OSやミドルウェア、アプリケーションのインストール・設定・管理を行う必要がある。
- 主な例: AWS EC2、Google Compute Engine。
② PaaS (Platform as a Service)
- 正解
- 提供内容: サーバやネットワークなどの基盤に加え、アプリケーションの実行環境 (ミドルウェア、データベースなど) も提供。
- ユーザの役割: ユーザはアプリケーションとデータの管理に集中できる。
- 利点: アプリケーションの開発やデプロイが簡便になり、運用管理の負担が軽減される。
- 主な例: Google App Engine、Microsoft Azure App Services。
③ SaaS (Software as a Service)
- 提供内容: ソフトウェア自体をサービスとして提供。ユーザはインターネット経由でアプリケーションを利用するだけでよい。
- ユーザの役割: ソフトウェアの運用管理は不要。データ管理のみ行う。
- 主な例: Google Workspace、Salesforce。
ハウジング
- データセンターにユーザのサーバを預ける物理的なサービスで、クラウドの仮想化技術を含まない。
オンプレミス
- 企業内にサーバやネットワーク機器を構築・運用する従来型の方法で、クラウドサービスとは異なる。
選択肢の比較
- ① IaaS: ハードウェア基盤の提供に留まるため、ミドルウェアの提供は含まれない。
- ② PaaS: 正解。ミドルウェアを含むプラットフォームを提供し、ユーザがアプリケーションを開発・実行できる環境を提供。
- ③ SaaS: ソフトウェアを直接提供するモデルで、アプリケーションの管理も事業者が行うため異なる。
- ④ ハウジング: クラウドのサービスモデルではない。
- ⑤ オンプレミス: 企業が自社内で全てを運用するモデル。
まとめ
PaaS (Platform as a Service) の特徴
- 提供内容: サーバ基盤、ミドルウェア、アプリケーション実行環境。
- ユーザの役割: アプリケーションのインストール・管理とデータの管理。
- 主な利点: 開発と運用の効率化。
参考資料
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