工事担任者試験 技術第5問 穴埋め暗記セレクション 総合通信 2024受験版

この記事は、工事担任者試験の直前対策資料である「工事担任者 基礎 穴埋め暗記セレクション 総合通信2024受験版」に対応しています。PDFは期間限定で下記リンクより配布いたします。
技術→https://drive.google.com/file/d/1Nc8CKLcPUwYS4knckAAtevNgfiUjRbSc/view?usp=sharing
資料は必要最小限の記述に絞りスリム化を図っていますが、こちらのブログでは、出典となる過去問も引用して掲載しています。問題集としてもご利用いただけるほか、解説を確認する目的にもお役立ていただけます。

なお、分量が多いため、大問ごとに記事を分けて掲載しております。
皆様の試験対策に微力ながらお力添えできれば幸いです。心より、皆様の合格をお祈り申し上げます。

問題1 IPパケットの転送遅延

出典:令和3年度第2回第5問(4)

解答

解説

IP電話の音声品質と遅延

IP電話の音声品質は、伝送遅延、パケットロス、ジッタなどの要因によって左右されます。この中で、伝送遅延は音声データが送信元から受信先に届くまでの時間を指し、以下の要素が主な原因となります。

伝送路の物理的距離による遅延

  • 光ファイバやメタリックケーブルなどの伝送路を音声データが伝搬する速度が関係します。
  • 地理的な距離が長いほど遅延が大きくなります。

ルータにおける遅延

  • ルータはパケットを次の宛先に転送する際に、処理時間がかかります。この遅延要因として以下があります:
    • キューイング (Queuing): 正解
      ルータ内で複数のパケットが同時に処理待ち状態になることで発生する遅延。
    • パケットのヘッダ解析や転送先アドレスの決定にかかる処理時間。

選択肢の比較

  1. ① セッション管理
    • セッションの確立や維持に関わるもので、音声データの遅延には直接関係しない。
  2. ② モニタリング
    • ネットワークの状態監視のための機能で、音声品質に直接影響する要因ではない。
  3. ③ キューイング
    • 正解。ルータ内部でのパケット待ち行列が原因で遅延が発生する。
  4. ④ エコー
    • 音声の反響が聞こえる現象であり、遅延の直接的な要因ではない。
  5. ⑤ 圧縮/伸張
    • 音声データの圧縮と復元による遅延が発生する場合もありますが、これはエンドポイント(端末)の処理遅延に該当し、ルータの遅延とは異なる。

まとめ

IP電話における遅延の要因
  1. 伝送路の物理的な距離
  2. ルータ内のキューイング遅延

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 113

リックテレコム社

該当ページ 184

問題2 音声品質の劣化を低減

出典:令和3年度第1回第5問(4)

解答

解説

音声パケット到着間隔のばらつきと音声品質

IP電話(VoIP)において、音声パケットが送信側から受信側に到着する際、パケットの到着間隔が一定でない場合があります。この到着間隔のばらつきを ジッタ (jitter) と呼びます。ジッタが大きくなると音声が途切れたり、聞き取りにくくなったりするため、音声品質が劣化します。

揺らぎ吸収 (Jitter Buffer)

受信側のVoIPゲートウェイやIP電話端末では、このジッタを低減するために 揺らぎ吸収 (Jitter Buffer) 機能を用います。

  • ジッタバッファは、受信した音声パケットを一時的に蓄積し、一定の間隔で再生することで到着間隔のばらつきを平滑化します。
  • バッファサイズは大きすぎると遅延が発生し、小さすぎるとジッタが補正されないため、適切な設定が必要です。

選択肢の比較

  1. ① トンネリング
    • 異なるネットワーク間でパケットをカプセル化して転送する技術で、ジッタの低減には関係しない。
  2. ② 音声圧縮・伸張
    • 音声データの効率的な伝送を実現する技術ですが、ジッタの補正とは無関係。
  3. ③ 非直線量子化
    • 音声信号の量子化時に使用される手法で、ジッタの低減には関係しない。
  4. ④ カプセル化
    • データをパケット化して送信する技術で、ジッタの補正には関与しない。
  5. ⑤ 揺らぎ吸収
    • 正解。ジッタを吸収し、音声パケットの到着間隔を平滑化するための機能。

まとめ

ジッタ対策としての揺らぎ吸収
  • 音声パケットの到着間隔のばらつきを補正し、音声品質の劣化を防ぐ。
  • VoIPにおいて音声の途切れや遅延を軽減するために重要な技術。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 113

リックテレコム社

該当ページ 184

問題3 IPv4ヘッダ

出典:令和4年度第1回第5問(5)

解答

解説

IPv4ヘッダのToSフィールドとは

IPv4ヘッダの ToS (Type of Service) フィールドは、IPデータグラムに優先度やサービス品質(QoS: Quality of Service)に関する情報を付加するためのフィールドです。このフィールドを利用することで、以下の特性を制御することができます。

  1. 優先度 (Priority):
    • データグラムがネットワーク内でどの程度優先されるべきかを示します。
  2. QoSパラメータ:
    • 遅延 (Delay): 転送遅延を最小化する。
    • スループット (Throughput): データ転送量を最大化する。
    • 信頼性 (Reliability): データ転送の信頼性を高める。

ToSフィールドの構成

従来のIPv4では、ToSフィールドは以下のようにビットが割り当てられていました:

  • 3ビット: 優先度 (Precedence)。
  • 1ビット: 遅延。
  • 1ビット: スループット。
  • 1ビット: 信頼性。
  • 2ビット: 予約 (未使用)。

現在、ToSフィールドは DSCP (Differentiated Services Code Point) として再定義されており、より詳細なQoS制御が可能になっています。

選択肢の比較

  1. ① ID (Identification)
    • フラグメント化されたパケットの識別番号を格納するフィールドで、優先制御やQoSには無関係。
  2. ② TTL (Time To Live)
    • データグラムがネットワーク内で生存できる時間を示すフィールドで、QoSには直接関係しない。
  3. ③ PT (Payload Type)
    • RTPプロトコルなどでペイロードのタイプを示すフィールド。IPv4ヘッダには存在しない。
  4. ④ ToS (Type of Service)
    • 正解。IPv4ヘッダで優先度やQoSに関する情報を設定するためのフィールド。
  5. ⑤ GFC (Generic Flow Control)
    • ATMプロトコルで使用されるフィールドで、IPv4とは無関係。

まとめ

ToSフィールドの役割
  • IPv4ヘッダにおいて、データグラムの優先度やQoSを示す情報を格納する。
  • 遅延、スループット、信頼性といった転送特性を制御する。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 150

リックテレコム社

該当ページ 245

問題4 IPv6ヘッダ

出典:令和4年度第2回第5問(4)

解答

解説

IPv6ヘッダのホップリミットフィールドとは

IPv6ヘッダに含まれる ホップリミット (Hop Limit) フィールドは、パケットがネットワーク内をルータ経由で転送される際に、無限にループしないよう制御するためのフィールドです。このフィールドはIPv4ヘッダの TTL (Time To Live) フィールドと同様の役割を持っていますが、名称が異なります。

ホップリミットの動作

  • 各ルータを通過するたびに値が1減少します。
  • 値が 0 になると、パケットは破棄され、送信元にICMPv6のエラーメッセージが返される場合があります。

選択肢の比較

  1. ① トラヒッククラス (Traffic Class)
    • IPv6ヘッダに含まれるフィールドで、QoS(Quality of Service)を指定するためのもの。ホップ数の管理には関係しない。
  2. ② バージョン (Version)
    • IPv6のバージョンを示すフィールドで、常に6に設定されている。ホップ数の制御には無関係。
  3. ③ ホップリミット (Hop Limit)
    • 正解。パケットのルータ間のホップ回数を管理し、IPv4のTTLフィールドに相当する。
  4. ④ ペイロード長 (Payload Length)
    • パケットに含まれるデータ部分の長さをバイト単位で示すフィールドで、ホップ数の管理には無関係。
  5. ⑤ ネクストヘッダ (Next Header)
    • 拡張ヘッダや上位プロトコル(TCP、UDPなど)の情報を示すフィールドで、ホップ数の管理には無関係。

まとめ

ホップリミットの役割
  • ルータ通過ごとに値を減少させ、無限ループを防止する。
  • 値がゼロになるとパケットが破棄される。
  • IPv4のTTL (Time To Live) フィールドと同等。

参考資料

まなびや

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該当ページ 153

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該当ページ 不明

問題5 小型ONU

出典:令和4年度第1回第5問(4)

解答

解説

小型ONUとは

光アクセスネットワークにおいて利用される 小型ONU (Optical Network Unit) は、特定のルータやホームゲートウェイなどの機器に直接装着して使用するタイプのONUです。この構造により、独立した個別電源を必要とせず、シンプルで効率的な構成が可能になります。

SFP+インターフェースとは

SFP+ (Small Form-Factor Pluggable Plus) は、高速通信を実現するための小型でプラガブルなモジュールです。以下がその特徴です:

  • 伝送速度:最大10Gbpsに対応。
  • 用途:光ファイバ通信や高速ネットワークの接続に利用。
  • 利便性:小型かつ着脱可能で、対応する機器(ルータ、スイッチなど)に直接差し込んで使用可能。

選択肢の比較

  1. ① USB3.0
    • 主にデータ転送用の汎用インターフェース。光アクセスネットワーク向けではない。
  2. ② GBIC
    • SFPの前身となるインターフェース規格で、大型のモジュール。現在はSFP+に置き換えられている。
  3. ③ SFP+
    • 正解。最大10Gbpsの伝送速度に対応するインターフェースで、小型ONUに広く採用されている。
  4. ④ i-link
    • 家庭用AV機器向けに使用される規格で、光ファイバ通信には不適。
  5. ⑤ Lightning
    • Apple製品向けの独自インターフェースであり、光アクセスネットワークでは使用されない。

まとめ

小型ONUにおけるSFP+インターフェースの利点
  • 最大10Gbpsの伝送速度に対応。
  • 高速で効率的な通信が可能。
  • 小型かつ着脱可能な設計。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 161

リックテレコム社

該当ページ 270

問題6 アドレステーブル

出典:令和3年度第1回第5問(5)

解答

解説

レイヤ2スイッチとは

レイヤ2スイッチは、ネットワーク層のデータリンク層(OSI参照モデルの第2層)で動作するネットワーク機器で、MACアドレスを利用してデータフレームの転送を行います。スイッチは主に以下の動作を行います:

  1. フレームを受信。
  2. 送信元MACアドレスをアドレステーブル(MACアドレステーブル)に登録。
  3. 宛先MACアドレスを検索し、適切なポートに転送。

動作の詳細

  • 送信元MACアドレスの登録
    スイッチはフレームを受信すると、そのフレームの送信元MACアドレスを読み取り、アドレステーブルに登録します。この登録により、ネットワーク内のデバイスと対応するポートを記録し、次回以降のフレーム転送を効率化します。
  • 宛先MACアドレスの検索
    宛先MACアドレスがアドレステーブルに登録されている場合、そのアドレスに対応するポートにフレームを転送します。登録されていない場合、スイッチはフレームを全ポートに送信(フラッディング)します。

選択肢の比較

  1. ① 宛先IPアドレス
    • レイヤ3(ネットワーク層)の情報であり、レイヤ2スイッチでは使用しません。
  2. ② 送信元IPアドレス
    • IPアドレスもレイヤ3の情報であり、スイッチの動作に直接関係しません。
  3. ③ 宛先MACアドレス
    • スイッチは宛先MACアドレスを検索しますが、アドレステーブルに登録するのは送信元MACアドレスです。
  4. ④ 送信元MACアドレス
    • 正解。受信したフレームの送信元MACアドレスをアドレステーブルに登録します。
  5. ⑤ マルチキャストアドレス
    • マルチキャストは特定のグループにデータを送信するための仕組みで、送信元MACアドレス登録には関係しません。

まとめ

レイヤ2スイッチのアドレステーブル管理
  • フレームを受信すると、送信元MACアドレスをアドレステーブルに登録します。
  • 宛先MACアドレスを検索し、適切なポートにフレームを転送します。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 167

リックテレコム社

該当ページ 203

問題7 スイッチングハブのフレーム転送方式

出典:令和5年度第1回第5問(4)

解答

解説

スイッチングハブのフレーム転送方式とは

スイッチングハブ(L2スイッチ)は、ネットワーク内でフレームを転送する際に使用する方式が異なります。その方式により、転送速度やエラー検出能力が変わります。

フレーム転送方式の種類

  1. ① ストアアンドフォワード方式
    • フレーム全体を受信してから、エラーを確認し、転送を行います。
    • 特徴:
      • 高いエラー検出能力。
      • 遅延が比較的大きい。
      • 大規模ネットワーク向け。
  2. ② フラグメントフリー方式
    • フレームの先頭から64バイト分を受信し、その間にエラーが検出されなければ転送を開始します。
    • 特徴:
      • エラー検出能力と転送速度のバランスが良い。
      • 短いフレームの破損を防ぐ。
  3. ③ カットアンドスルー方式
    • フレームの宛先アドレス部分だけを受信した時点で、フレームの転送を開始します。
    • 特徴:
      • 転送が非常に高速。
      • フレーム全体を受信しないため、エラー検出は不完全。
      • 小規模ネットワーク向け。
  4. ④ スパニングツリー方式
    • ループを防止するために、冗長なリンクをブロックするプロトコルに基づいた方式。
    • 転送方式そのものとは関係ありません。
  5. ⑤ フラッディング
    • 宛先が不明な場合やブロードキャストのフレームを、全ポートに送信する方式。
    • 転送方式とは異なります。

解答の解説

  • 問題文では「宛先アドレスまでを受信し、完全に受信する前に転送を開始する」とあります。
    この動作に該当するのはカットアンドスルー方式です。
    宛先アドレス部分のみを確認して転送を始めるため、転送速度が最も速い方式です。

まとめ

スイッチングハブの主要なフレーム転送方式
方式名特徴用途
ストアアンドフォワードフレーム全体を受信してから転送。エラー検出能力が高い大規模ネットワーク
フラグメントフリー64バイト分受信後、エラーがなければ転送。バランスが良い中規模ネットワーク
カットアンドスルー宛先アドレス受信後に転送開始。最も高速だがエラー検出は弱い小規模ネットワーク

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 168

リックテレコム社

該当ページ 203

問題8 呼量

出典:令和5年度第2回第5問(1)

解答

解説

運ばれた呼量とは

「運ばれた呼量」は、ある時間内に出回線群を通じて運ばれた呼の総量を指します。通信工学では、この呼量を評価する際に アーラン (Erlang) という単位が使用されます。

公式と考え方

運ばれた呼量を計算する際には以下の関係が成り立ちます:

運ばれた呼量=平均呼数×平均回線保留時間

  • 平均呼数: ある時間内に発生した呼の平均的な数。
  • 平均回線保留時間: 1回の通話が回線を使用する平均的な時間。

この公式に基づき、運ばれた呼量は「平均呼数」と「平均回線保留時間」の積に等しいことがわかります。

」と「平均回線保留時間」の積に等しいことがわかります。

選択肢の解説

  1. ① 待ち呼数
    呼び出されたがすぐに接続できず、待ち状態になっている呼の数を指します。運ばれた呼量とは関係がありません。
  2. ② 最大呼数
    ある時間内に同時に接続されている最大の呼数を指しますが、平均的な呼量の計算には関係しません。
  3. ③ 呼数密度
    特定の時間あたりの呼の発生密度を指す用語で、直接的に呼量を表すものではありません。
  4. ④ 平均呼数
    時間内に発生した呼の平均的な数。公式から「運ばれた呼量」の計算に使用される正解です。
  5. ⑤ 損失呼数
    回線がすべて埋まっている場合に接続できなかった呼の数を指し、運ばれた呼量には関係がありません。

まとめ

公式再掲:

運ばれた呼量=平均呼数×平均回線保留時間

  • 運ばれた呼量の計算において「平均呼数」が使用されるため、正解は④ 平均呼数です。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 175

リックテレコム社

該当ページ 279

問題9 平均呼数

出典:令和3年度第1回第5問(2)

解答

解説

トラヒック量とは

「トラヒック量」とは、通信回線の使用状況を表す指標であり、単位時間あたりに回線で運ばれた通信量を示します。通信工学では、一般に アーラン (Erlang) という単位で表現されます。

公式と考え方

トラヒック量の公式は以下の通りです:トラヒック量=平均呼数×平均回線保留時間

  • 平均呼数: 単位時間内に発生した呼の平均的な数。
  • 平均回線保留時間: 呼が回線を占有している平均的な時間。

1時間あたりのトラヒック量は、この公式を用いて計算されます。つまり、トラヒック量は「運ばれた呼の平均回線保留時間中における平均呼数」に等しいといえます。

ここでお気づきの方もおられると思いますが、「問題8」で取り上げた「運ばれた呼量」と「トラヒック量」が同じ式で表されています。つまり、「運ばれた呼量」=「トラヒック量」と同義と考えていただいて構いません。

ただし、「運ばれた呼量」には、実際に回線に接続して通信が行われた呼だけが含まれます。接続されずに切断された呼(損失呼)は、トラヒック量には含まれません。

選択肢の解説

  1. ① 最大呼数
    同時に接続される呼の最大数を示しますが、トラヒック量とは直接関係ありません。
  2. ② 待ち呼数
    呼び出されたが接続されずに待機している呼の数を指します。トラヒック量の計算には関係がありません。
  3. ③ トラヒック量
    平均呼数と平均回線保留時間の積として定義されており、公式の記述と一致します。これが正解です。
  4. ④ 呼数
    呼の数を指しますが、トラヒック量の計算には「平均回線保留時間」も必要であるため、これだけでは不十分です。
  5. ⑤ 呼数密度
    特定の時間内の呼の発生密度を指しますが、トラヒック量の直接的な指標ではありません。

まとめ

公式再掲

トラヒック量=平均呼数×平均回線保留時間

  • 問題文の記述に基づき、「運ばれた呼の平均回線保留時間中における平均呼数」に等しいのはトラヒック量です。
  • 「運ばれた呼量」は「トラヒック量」と同義で考えて構いませんが、これは損失呼が除かれた値であることに注意してください。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 176

リックテレコム社

該当ページ 290

問題10 呼損率

出典:令和5年度第1回第5問(2)

解答

解説

呼損率の導出

呼損率を導くために、次の基本的な考え方を用います。

1. 呼量と出線能率の関係

  • 呼量 a(単位: アーラン)とは、回線に加わる全呼量です。
  • 出線能率 η は、全呼量のうち実際に接続された割合を示します。

したがって、接続された呼量は次式で表されます:

\( \large \text{接続された呼量} = a \cdot \eta \)

2. 呼損量の定義

  • 呼損量とは、接続されなかった呼量です。
\( \large \text{呼損量} = a – a \cdot \eta = a (1 – \eta) \)

3. 呼損率の定義

  • 呼損率は、加わった全呼量に対する呼損量の割合で定義されます:
\( \large \text{呼損率} = \frac{\text{呼損量}}{\text{加わった呼量}} \)

これを具体的に計算すると:

\( \large \text{呼損率} = \frac{a (1 – \eta)}{a} \)

約分して次の式が得られます:

\( \large \text{呼損率} = 1 – \eta \)

設問の選択肢⑤との関連

設問では呼損率を次の形で表しています:

\( \large \text{呼損率} = \frac{a – N \eta}{a} \)

選択肢⑤と基本式の一致

選択肢⑤は次のように変形できます:

\( \large \text{呼損率} = 1 – \frac{N \eta}{a} \)

ここで、\( \large \frac{N \eta}{a}\) が出線能率\(\eta \) に相当すると考えれば、基本式の「1 –\(\eta \) 」と一致します。

応用的な補足

  • 呼量と回線数の関係
    出線能率\(\eta \) が 1 に近い場合、回線数 N が呼量 a より十分多いことを示します。
    逆に \(\eta \) が小さい場合は、回線数 N が呼量a に対して不足していることを意味します。
  • 実務上の利用
    この式を用いて、通信システムの設計時に呼損率を許容範囲内に抑えるための回線数 N を決定します。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 176

リックテレコム社

該当ページ 282

問題11 総合呼損率

出典:令和3年度第2回第5問(2)

解答

解説

1. 問題の概要

  • 呼が接続を完了するために、複数の交換機を経由します。
  • 各交換機の呼損率を\( B_1,B_2,B_n\)とします。
  • 総合呼損率とは、生起呼がいずれかの交換機で接続不能(呼損)になる確率を指します。

2. 総合呼損率の導出

各交換機で呼損しない確率は次のように表せます:

\( 1 – B_k \quad (k = 1, 2, \dots, n)\)

すべての交換機で呼損が発生しない確率(すなわち、呼が成功する確率)は、各交換機で呼損しない確率の積として表されます:

\( \text{成功確率} = (1 – B_1)(1 – B_2) \cdots (1 – B_n)\)

したがって、総合呼損率(呼が失敗する確率)は、成功確率の補集合として次の式で表されます:

\( \large \text{総合呼損率} = 1 – (1 – B_1)(1 – B_2) \cdots (1 – B_n) \)

3. 応用例

  • シンプルなケース(2台の交換機)

    交換機が2台の場合:

    \( \text{総合呼損率} = 1 – (1 – B_1)(1 – B_2)\)


  • すべての交換機の呼損率が同じ場合

    すべての交換機で同一の呼損率B である場合、式は次のように簡略化されます:
\( \text{総合呼損率} = 1 – (1 – B)^n \)


ここで、n は交換機の台数を表します。

4. 実際の使用例

  • PSTNネットワークの設計
    複数の交換機を経由する電話システムでの接続成功率の算出に使用されます。
    各交換機の性能を評価する際、総合呼損率を小さく抑えることが重要です。
  • 信頼性評価
    呼損率が高い交換機がネットワークに多く存在すると、全体の呼損率が増加するため、交換機ごとのパフォーマンス改善が必要です。

5. まとめ

総合呼損率の式
\( \large \text{総合呼損率} = 1 – (1 – B_1)(1 – B_2) \cdots (1 – B_n) \)

  • この式は、複数の交換機を経由する通信ネットワークの呼損率を評価する基本的な指標です。
    交換機ごとの呼損率を低く抑えることが、通信品質の向上につながります。

参考資料

まなびや

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総合通信要点解説(自著)

該当ページ 177

リックテレコム社

該当ページ 282

第5問セレクトは以上です。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。