【FAX】重要度
★★★
出題頻度は約35%です。
【FAX】要点の確認
学習へのアドバイス
FAXは、一般家庭での利用者は減少してきておりますが、企業ではまだまだ使われており、試験でも、コンスタントに出題されています。
出題頻度は、およそ4回に1回程度ですが、出題位置としては、試験の第一問目に出る可能性が高いです。
(過去問でも、ほぼ第一問目に出題されています)
試験の一問目というのは、メンタル面へ与える影響が大きくあります。
本試験で出ても動揺しないように、理解を進めておきましょう。
ファクシミリ装置の単元で、過去に出題されているのは、大きく分けて
「フェーズ」、「トーン」、「圧縮形式」の3種類です。
この3点を軸に、知識をまとめておきましょう。
キーワード
出題のポイント
フェーズの種別と、トーンに要注意です。
特にトーンは、数字と信号の内容が問われますので、しっかりと覚えておきましょう。
内容チェック
【ファクシミリ装置の動作原理】
(送信側)
原稿を読み取り、原稿内容を画素に分解➡送信走査
画素の情報を電気信号に変換➡光電変換
伝送路に応じた処理を実施➡符号化、変調
そのデータを伝送路に送出します
(受信側)
受信側では、送信側と逆の手順が行われます。
伝送路から信号を受け取ると、
信号を元の電気信号に戻すための処理を行います➡復調、復号
得られた電気信号を、再現に必要な形でエネルギー変換し、記録紙に再現します➡記録変換
【G3形ファクシミリ】
ファクシミリには、G1~G4までグループがありますが、最も普及しているのがG3ですので、これだけ気にしておけば大丈夫です。
G3形機の端末特性は、ITU-T勧告T.4で規定されています。
【伝送制御手順】
制御手順は、ITU-T勧告T.30で規定されています。
手順の段階により、フェーズA~フェーズEまでの5段階に分けられています。
各フェーズは、おおざっぱに、次のように理解出来ます。
フェーズA:(送)今からFAXしますよ~の連絡 (受)OKの返事
フェーズB:今からメッセージ送りますね~の連絡
フェーズC:メッセージの送信
フェーズD:メッセージ送り終わったので、終わりますね~の連絡
フェーズE:通信終了
それでは、各フェーズの内容について、もう少し詳しく見ていきましょう。
フェーズA
呼設定を行います。
送信側は1,100Hzのトーン信号(CNG)を送出し、ファクシミリ装置であることを相手方に伝えます。
受信側は2,100Hzのトーン信号(CED)を送出し、応答します。
フェーズB~フェーズD:ファクシミリ特有の手順であることから、ファクシミリ手順とも呼ばれます。
G3形FAXでは、バイナリコード手順を採用し、伝送モードの標準は300bit/sの同期モードが用いられます。
フェーズB
プリメッセージ手順と言われ、能力の識別や受入可能な条件の確認を行います。
フェーズC
ここでメッセージの送信を行います。
フェーズCは、内容により、さらにC1とC2に分けられます。
C1⇒同期制御や誤り訂正を行う(インメッセージ手順)。
C2⇒画信号を伝送する(メッセージ伝送)。
フェーズD
ポストメッセージ手順と言われます。メッセージ終了信号(EOM)、メッセージ確認信号(MCF)、ファクシミリ手順終了信号(EOP)などに関する情報を含みます。
フェーズE
呼解放。これにより、通信が終了します。
【冗長度抑圧符号化方式】
画像データを圧縮し、信号量を削減する方法です。
G3形ファクシミリでは、標準としてMH符号化方式が採用されています。
オプションとして、MR符号化方式も準備されています。
MR方式では、MH方式のさらに3分の2程度まで、データが圧縮できます。
【走査方式】
端から端まで、一行ずつ順番に走査する平面走査方式が採用されています。
【カラーG3形ファクシミリ】
カラーファクシミリでは、データ量が膨大になるため、従来の圧縮方式では間に合いません。
そこで、圧縮率の極めて高いJPEG方式を用いて、画像圧縮を行っています。
⇒ファクシミリ装置における圧縮方式では、このJPEGが最も重要です。
この点、前述のJBIGと名称が似ているため、混同に注意しましょう。
過去問演習
平成23年秋
解説
フェーズに関する問題です。
細かい知識は不要で、フェーズの役割を理解しておけば解ける問題です。
ポイントは「メッセージ終了」という文言です。
フェーズDとフェーズEが混同しやすいので、注意しましょう。
メッセージ終了は、フェーズDです。
通信自体の終了が、フェーズEです。
勘違いをしやすいところなので、本試験でもよく問われています。
解答
⑤
平成22年春
解説
フェーズの知識を問う問題です。
フェーズは直訳すると“段階”という意味になります。
ファクシミリの伝送手順は、5つの段階に分けられます。
ここで、フェーズについておさらいをしておきましょう。
フェーズA:通信開始(呼設定)
フェーズB:プリメッセージ
フェーズC:メッセージ
フェーズD:ポストメッセージ
フェーズE:通信終了(呼解放)
各フェーズが担っている機能は、以上の通りです。
問題文にあるフェーズEは、通信終了に関するものなので、④の切断を選びます。
ここで、選択肢に「切断」という文言を用いていることに注意をしましょう。
通信終了を意味していますが、「切断」という文言で言い換えています。
このように、他の単元においても、言葉の言い換えがなされることがあります。
過去問を通じて、独特の表現に慣れていきましょう。
解答
④
平成26年秋
解説
フェーズAの内容に関する問題です。
フェーズAでは通信の開始(呼設定)を行います。
通信を開始するためには、送信側の「通信しても良いですか?」という問いかけと、受信側の「通信しても良いですよ」の応答が必要です。
この「通信しても良いですか?」の問いかけにあたるのが、CNG信号です。
信号は1,100Hzのトーンとして送出されます。
これに対して、「通信できます」と応答するのが、CED信号です。
こちらは呼びかけ信号よりも1,000Hz高い、2,100Hzのトーンを送出します。
このCNGとCEDを混同しやすいので、注意が必要です。
雑な覚え方(暗記法)として、
CNGは、通信がNGかをチェックする⇒CNG
CEDは、チェックに対して「い~で~(関西弁・良いよの意味)」⇒CED
として、覚えるのも良いかも知れません。。。
解答
②
平成28年春
解説
先ほどと同じパターンの問題です。
1,100ヘルツは、CNG信号です。
解答
④
平成29年春
解説
フェーズAの内容に関する問題です。
先述の通り、フェーズA(通信開始)には、2つの信号が介在します。
送信側のCNG信号と、受信側のCED信号です。
本問では、受信側の動作を聞かれているので、CED信号のトーンについて答える必要があります。
問題文を飛ばし読みしてしまうと、CNG信号を聞かれていると錯覚してしまうので、注意が必要です。
もう一度整理をしておくと、
送信側=CNG信号(FAXしても良いですか?) 1,100Hz
受信側=CED信号(FAXしてもい~で~)2,100Hz
となります。
解答
④
平成25年春
解説
本問では、カラーファクシミリの静止画規格を聞いているので、JPEGが正解となります。
カラーに限定されなければ、
MH⇒MR⇒MMRの順に、右に行くほど圧縮率が高くなります。
他、MPEGは動画の圧縮方式です。
解答
④
平成27年春
解説
全く同じパターンの問題です。
FAXで、静止画像と来たら、JPEGです。
解答
③
さらに得点力アップ
過去問ではフェーズDとフェーズEについて問われていましたが、フェーズA~Cも今後出題される可能性は大いにあります。
まずは過去問を覚えて、余力があれば他の知識も見て行くように致しましょう。