第1問の単元解説をしている途中で御座いますが、ここからしばらく第4問の単元について見て行きます。
まずは、符号化方式です。
符号化方式とは
デジタル信号で伝送をするために、伝送路の特性に合わせた形に変換する必要があります。これを符号化と言います。
符号化には様々な方式がありますが、試験対策としては次の5つを覚えて頂ければ大丈夫です。
符号化方式が複数ある理由について、ご説明させていただきます。
符号化を行う際に,周波数の変動や伝送媒体の特性によって、ノイズが発生します。
発生したノイズは、エネルギーの減衰や、エラーの要因となるため、出来る限り抑える必要があります。
ノイズの発生を抑えるために工夫を凝らした結果、さまざまな符号化方式が生まれました。
以下、各方式の特徴をご説明させていただきます。
RZ方式
RZは、Return to Zero の略です。
変化の中で、電位が必ずゼロ点に戻る方式です。
必ずゼロ点に戻るため、タイミングが取りやすいという利点があります。
ただし、高調波成分が多く、伝送帯域幅が広くなるというデメリットがあります。
RZ方式は、現行のシステムではあまり採用されていません。
試験に出題される可能性も低いと思います。
しかし、RZ方式は、他の符号化方式を理解する上での基礎になります。
RZ方式を理解しておくと、他の方式が理解しやすくなりますので、しっかりと学んでおきましょう。
NRZ方式
NRZは、Non-Return to Zero の略です。
先ほどのRZとは異なり、変化の中で電位がゼロ点には戻りません。
NRZ方式では、データが1のときに高レベル,0のときに低レベルになります。
1と0が交互に生じた場合、周波数の変動が多くなり、ノイズ成分が発生しやすくなります。
1や0が連続した場合(例えば、111111111や00000000など)、変化が無いために、受信側でクロックを再生できなくなることがあります。
連続状態を起こさないために、事前に8B/10B変換する対策が取られています。
NRZI方式
NRZIは、Non-Return to Zero Inversion の略です。
NRZよりも、複雑な変化をします。
NRZIでは,データが1のときに信号が高レベルと低レベルの間で反転し,0のときは変化しません。
100BASE-FX(光ファイバ)がこの方式を採用しています。
マンチェスタ符号
マンチェスタ符号化方式は,信号の変化が各ビットの中央で起こります。
データが0のとき、ビット中央で高レベルから低レベルに変化し,データが1のとき、ビット中央で低レベルから高レベルに変化します。
この方式は、周波数変動が多いため,ノイズ成分が発生しやすくなります。
半面,データの内容にかかわらず常に信号が反転するので,同じ波形が連続せず、クロック再生が容易になります。
特別なコード変換が不要で、回路を単純化できるため,初期のイーサネットでは、この方式が採用されていました。
ちなみに、名前の由来は、マンチェスター大学(イギリス)からきています。
MLT-3
MLT-3(Multi Level Trasmit-3 Levels)符合とは 低/中/高の3つのレベル値を変化させる方式です。
高速イーサネットでは,ノイズ対策のため、周波数を下げることが必要になります。
そこで登場したのが、この符号化方式です。
100BASE-TXでは,MLT-3符号化方式を採用しています。
この方式では,データが1のときだけ,信号が低→中→高→中→低の順に変化します。
つまり,周波数を緩やかに変化させている訳です。
理論上は、多値化していけば,さらに周波数変化を緩やかにすることは出来ます。
ただし、多値化をし過ぎると,電圧レベルの変化が少なくなるため、識別が難しくなってしまいます。
以上、5方式を覚えて頂ければ、試験対策上は大丈夫です。
過去問
(23年春)(24年秋)(25年秋)(26年秋)(28年秋)(29年秋)
解説
工事担任者試験は、よく過去問が繰り返し出題されると言いますが、この問題はナント6回も同じものが出題されています。
符号化方式は、基本を押さえて頂ければ、比較的容易に点が取れる問題です。
本問では、次の3ステップで答えを絞り込むことが出来ます。
1:変化が3値ではない⇒MLT-3ではない。
↓
2.ビットの途中で変化しない⇒RZではない。マンチェスタではない。
↓
3.0で変化しない⇒NRZではない。
と、消去法で答えにたどり着きます。
(解答)②
(28年春)(30年春)
解説
これは、簡単に見分けがつきます。
変化が3値あることから、MLT-3と判断出来ます。
解答③
(28年春)(30年春)の問題、
解答が④になってますが③の間違いではありませんか?
ご連絡、有難う御座います!
今確認をして訂正させて頂きました。
宜しくお願い致します。