合成抵抗の計算問題について、総合種の過去問を中心に、解説をしていきます。
まず、合成抵抗の計算には、大きく分けて2つの類型があります。
「対称回路」と「ラダー回路」です。
それぞれ、過去問を通じて、解法を確認していきます。
対称回路
対称回路とは、次のような、抵抗が複数「対称的」に組まれた回路のことを言います。
まともに解くと、大変な計算量になってしまいます。
実際は、対称回路特有の解法があり、それを公式化して覚えて解きます。
対称回路の解法公式
対称回路の解法は、2種類あります。
パターン1 対称回路のみ
対称回路だけで構成される場合です。
このとき、対称回路全体の合成抵抗は1.5Rになります。
対称回路だけのとき、合成抵抗は1.5R。
語呂合わせでも構いませんので、覚えておきましょう。
対称回路には、もう一つパターンがあります。
パターン2 対称回路+1
対称回路の他に、もう一つ抵抗がある場合、
対称回路の合成抵抗はRとなります。
回路全体でみれば、RとRが直列につながっていることと同じになります。
同じく、語呂合わせなどで覚えておきましょう。
以上、2つのパターンを覚えておきましょう。
対称回路のみのパターン
対称回路のみのパターンを過去問で確認しておきましょう。
平成21年春_問題
平成21年春_解説
本問は、対称回路だけで構成されています。
よって、つぎの公式を用います。
対称回路の合成抵抗は、1.5Rとなります。
そして、問題文より、
1.5R=18Ω と分かるので、
R=12 となります。
よって、正解の選択肢は②になります。
対称回路の他に抵抗があるパターン
「対称回路の他に抵抗がある」パターンを確認しておきましょう。
①平成30年秋_問題
①平成30年秋_解説
まず着目すべきは、「対称回路の他に一つ抵抗がある」というところです。
この場合、次の公式を用います。
合成抵抗全体でRとみなすことが出来ますので、
a-b間全体では、RとRの直列接続と考えることが出来ます。
a・—–R—–R—–・b
ここでのポイントは、対称回路の合成抵抗がRになるということです。
よくある間違いとして、回路全体をRにしてしまう人が多いので、注意しましょう。
抵抗の直列接続は、足し算で計算が出来ますので、
R+R=6+6
=12
となり、答えは②が正解となります。
折角ですから、類題も見ておきましょう。
②平成22年秋_問題
②平成22年秋_解説
本問も、「対称回路の他に一つ抵抗がある」ものになっています。
このことから、次の公式を用います。
合成抵抗全体でRとみなすことが出来ますので、
a-b間全体では、RとRの直列接続と考えることが出来ます。
a・—–R—–R—–・b
対称回路の合成抵抗がRになります。
回路全体をRにしてしまう人が多いので、注意しましょう。
抵抗の直列接続は、足し算で計算が出来ますので、
R+R=4+4
=8
となり、答えは④が正解となります。
③平成27年春_問題
③平成27年春_解説
本問は、平成30年秋試験と全く同じ内容となっております。
本問の解説内容は、冒頭の解説と全く同じになってしまうため、割愛させていただきます。
正解の選択肢は②です。
ラダー回路と解法公式
ラダー回路とは、下の図のように抵抗がハシゴ状になった回路のことを指します。
一見複雑そうに見えますが、解き方は単純です。
右端からスタートして、列を一つ左へ移るごとに、電圧を2倍ずつ上げていくだけです。
ラダー回路過去問
ラダー回路の過去問を3問取り上げます。
①平成21年秋_問題
①平成21年秋_解説
端子C-d間が1Vなので、次の様に考えます。
右端からスタートして、1列左に移動するごとに、電圧を2倍ずつアップさせます。
左端では8Vになりました。
これがa-b間の電圧となります。
正解③
②平成25年秋_問題
②平成25年秋_解説
これも考え方は同じです。
右端から2Vでスタートし、
左へ一列移動するごとに、電圧を2倍にします。
正解④
③平成30年春_問題
③平成30年春_解説
本パターン冒頭で解説をした、平成21年秋の問題と全く同じ内容です。
右端から1Vでスタートして、
8←4←2←1
となります。
ちなみに、問題とは直接関係はありませんが、抵抗のマークが途中から変わっています。
JIS規格の変化に伴って、抵抗の図記号が改められたためです。
今の図記号の方が書きやすいので、個人的には嬉しく思っています。
正解③
出題頻度について
最後に、本問の出題頻度をご紹介したいと思います。
※いずれも個人的観点から分析したものですので、数値の信頼性を保証するものではありません。
出題頻度(対称回路)
対称回路出た頻度を、過去試験より分析しました。
□AIDD総合種・・・約20% (過去試験20回中4回)
出題頻度(ラダー回路)
ラダー回路の出題頻度は次の通りです。
□AIDD総合種・・・約15% (過去試験20回中3回)
得点力アップの可能性
過去の出題頻度が次回試験にも適用されると仮定すると、対称回路およびラダー回路をマスターすることにより、
□AIDD総合種・・・約35%
の確率で、得点につながると考えられます。