RLC直列回路の問題について、総合種の過去問を中心に解説をしていきます。
まず、RLC直列回路の問題には、大きく分けて4つの類型があります。
1.合成インピーダンスを求める問題(公式)
2.合成インピーダンスを求める問題(角周波数)
3.抵抗電圧を求める問題
4.交流電圧を求める問題です。
それぞれ、過去問を通じて、解法を確認していきます。
1.合成インピーダンスを求める問題
RLC直列回路の合成インピーダンスを求める問題を見て行きます。
ここでは、次の公式を用います。
合成インピーダンスの公式
上記公式を覚える上で、イラストがとても邪魔な気がします。
自分で作っておいてなんですが、とてもセンスが悪い。
まぁ、それはさておき、さっそく問題に入りましょう。
このパターンは、計4問あります。
①平成22年秋_問題
①平成22年秋_解説
合成インピーダンスを求める問題ですので、公式を用います。
R=5
XL=14
XC=2
を上記公式に代入します。
合成インピーダンスは13Ωと分かりました。
答え:②
②平成25年秋_問題
②平成25年秋_解説
合成インピーダンスを求める問題ですので、公式を用います。
R=7
XL=30
XC=6
を上記公式に代入します。
合成インピーダンスは25Ωと分かりました。
答え:③
③平成26年秋_問題
③平成26年秋_解説
合成インピーダンスを求める問題ですので、公式を用います。
R=12
XL=2
XC=7
を上記公式に代入します。
合成インピーダンスは13Ωと分かりました。
答え:①
④平成29年春_問題
④平成29年春_解説
合成インピーダンスを求める問題ですので、公式を用います。
さすがに、公式のイラストにうんざりして来ました。
ここまでくれば、もう公式を見なくても、あてはめが出来るようになっているでしょう。
R=8
XL=18
XC=3
を公式に代入します。
合成インピーダンスは17Ωと分かりました。
答え:④
2.合成インピーダンスを求める問題(角周波数)
コイルとコンデンサーのオーム数が与えられていない場合、角周波数から求めることが出来ます。
角周波数から求める方法
ωはオメガと読みます。
単位はラジアンです。
公式だけを見ていても使い方が分かりませんので、実際の問題で使ってみましょう。
平成21年秋_問題
平成21年秋_解説
本問では、XLおよびXCの値が与えられておりません。
代わりに、角周波数が与えられています。
公式を用いて、角周波数からXL、XCを求めていきます。
よって、
XL=10Ω
XC=10Ω
と求めることが出来ました。
これにより、いつもの合成インピーダンスの公式を使うことが出来るようになりました。
R=20
XL=10
XC=10
として、
公式にあてはめて計算をすると、
合成インピーダンスは20Ωと分かりました。
答え:①
3.抵抗電圧を求める問題
抵抗電圧を求める問題は、
合成インピーダンスを求める→電流を求める→抵抗電圧を求める
という方法を取ります。
公式をあてはめるだけのものに比べると、ワンクッション計算工程が増えるため、少し難易度が上がります。
このパターンは、過去10年中3問出ています。
①平成30年秋_問題
①平成30年秋_解説
抵抗Rに加わる電圧が問われています。
ここで、公式の出番です。
あてはめてみると、
となり、回路全体の合成インピーダンスは13Ωと分かります。
回路全体の電圧は65ボルトですので、
回路全体の電流は、オームの法則より
I=V/R
I=65/13
I=5
となり、この回路を流れる電流は5アンペアであることが分かります。
抵抗Rは12Ωですので、
オームの法則より、
V=I ×R
V=5×12
V=60
となり、60Vと分かります。
答え:④
②平成25年春_問題
②平成25年春_解説
抵抗Rに加わる電圧が問われています。
電圧を求めるためには、電流が必要です。
電流を求めるためには、インピーダンスが分からないといけません。
ここで、公式の出番です。
あてはめてみると、
となり、回路全体の合成インピーダンスは13Ωと分かります。
回路全体の電圧は78ボルトであると、問題文に書かれていますので、
回路全体の電流は、オームの法則より
I=V/R
I=78/13
I=6
となり、この回路を流れる電流は6アンペアであることが分かります。
抵抗Rは12Ωですので、
オームの法則より、
V=I ×R
V=6×12
V=72
となり、72Vと分かります。
答え:④
③平成28年春_問題
③平成28年春_解説
抵抗Rに加わる電圧が問われています。
電圧を求めるためには、電流が必要→インピーダンスを求める。
ということで、あの公式の出番です。
あてはめてみると、
Z=13
となり、回路全体の合成インピーダンスは13Ωと分かります。
回路全体の電圧は52ボルトと問題文に書かれていますので、
回路全体の電流は、オームの法則より
I=V/R
I=52/13
I=4
となり、この回路を流れる電流は4アンペアであることが分かります。
抵抗Rは12Ωですので、
オームの法則より、
V=I ×R
V=4×12
V=58
となり、58Vと分かります。
答え:⑤
4.交流電圧を求める問題
交流電圧を求める問題には、交流電圧の公式が必要です。
RLC直列回路・電圧の公式
一見難しそうに見えますが、大したことはありません。
先ほどまで使っていた、インピーダンスの公式のZがVに変わっただけです。
本パターンは、過去2回出題されています。
①平成24年春_問題
①平成24年春_解説
回路全体の電圧は次の公式で求められます。
問題文で与えられた数値を、公式に代入します。
よって、a-d間に加える電圧は20Vと分かります。
答え:③
②平成28年秋_問題
②平成28年秋_解説
回路全体の電圧は次の公式で求められます。
問題文で与えられた数値を、公式に代入します。
よって、a-d間に加える電圧は15Vと分かります。
答え:③
出題頻度について
最後に、本問の出題頻度をご紹介したいと思います。
※いずれも個人的観点から分析したものですので、数値の信頼性を保証するものではありません。
出題頻度(1.合成インピーダンスを求める問題(公式))
1.合成インピーダンスを求める問題(公式)の出題頻度は、次の通りです。
□AIDD総合種・・・約20% (過去試験20回中4回)
出題頻度(2.合成インピーダンスを求める問題(角周波数))
2.合成インピーダンスを求める問題(角周波数)の出題頻度は、次の通りです。
□AIDD総合種・・・約5% (過去試験20回中1回)
出題頻度(3.抵抗電圧を求める問題)
3.抵抗電圧を求める問題の出題頻度は、次の通りです。
□AIDD総合種・・・約15% (過去試験20回中3回)
出題頻度(4.交流電圧を求める問題)
4.交流電圧を求める問題の出題頻度は、次の通りです。
□AIDD総合種・・・約10% (過去試験20回中2回)
得点力アップの可能性
過去の出題頻度が次回試験にも適用されると仮定すると、RLC直列回路をマスターすることにより、
□AIDD総合種・・・約50%
の確率で、得点につながると考えられます。