平成21年秋
(解説)
この図は内線回路と言って、PBX内部の電気回路構成を図示したものです。
全て重要ではありますが、図中に抜けているV,W,X、Y、Zが、特に重要なものとなっております。
本問ではWとZが問われていますが、試験対策上は全て覚えておくことが必要です。
内線回路を考える上で、まずは正しい回路図を知る必要があります。
本問とは少し見た目が異なりますが、内線回路図について整理した図を掲載させていただきます。
上の図は平成26年の問題を元に、作成したものです。
赤字で記載されているところが、試験に出やすい重要箇所となります。
この5つの箇所は、大きく分けて2つのグループに分類することが出来ます。
「過電圧保護回路」と「通話電流供給回路」のグループと、
「2線―4線変換回路」と「符号器」「復号器」のグループです。
「過電圧保護回路」と「通話電流供給回路」のグループに共通するのは、両方ともアースに繋がっているということです。
上図をご確認頂きたいのですが、どちらの回路もアース(三本線の記号)に繋がっていることがお分かりかと思います。
電圧回路や電流回路は、アースに繋ぐことが一般的で、突発的な過電圧・過電流から機器を保護する役割を持ちます。
よって、アースに繋がっているところが穴抜きになっていれば、「過電圧保護回路」か「通話電流供給回路」のいずれかであると推測できます。
ではこの2つ、どちらがどちらか、どうやって見分ければ良いでしょうか?
覚え方のポイントは、「直流監視回路」にあります。
「通話電流供給回路」の右横に、「直流監視回路」というのが接続されています。
直流とありますので、これと接続されているのは、電流に関するものだということが分かります。
よって、直流監視回路と接続されている方が「通話電流供給回路」、残りの方が「過電圧保護回路」と判断できます。
次に、「2線―4線変換回路」と「符号器」「復号器」のグループに着目します。
ここは、アナログの音声情報をデジタル化して送り出したり、デジタル化して送られてきた情報をアナログ音声に戻したりするところです。
図中の「2線―4線変換回路」の2線とはアナログ回線のことを指し、4線とはデジタル回線のことを指します。
そして、図の左端に電話機があり、右端に(上り)(下り)とあることから、右側にISDN網があることが予想されます。
アナログ電話機から入ってきたアナログの音声をISDN網に上げるとき(上り)、アナログの音声をデジタル化します。
デジタル化というのは、情報を0と1の2つの符合に変換することから「符号化」と呼ばれ、「符号化」を行うものを「符号器」と言います。
よって、上り側が「符号器」であると分かります。
つぎに、ISDN網からの下り信号は、デジタル情報が送られて来ます。
デジタル情報は、0と1の符合ですから、そのままでは音声を聞くことが出来ません。
デジタル情報をアナログ音声に変換する必要があります。
デジタル→アナログにすることは、符号化したものを元のアナログ信号に復元することから、「復号器」と呼ばれます。
これによって、各グループの並びを覚えやすくなったかと思います。
本問を再度確認してみましょう。
Wは、アースと直流監視回路に接続していることから、「通話電流供給回路」と分かります。
つぎにZは、下り信号ですので、デジタル→アナログ の「復号器」であると分かります。
(解答)
イ:③ ウ:⑥