ISDNの問題を見ていくにあたり、まずは用語の整理から入らせて頂きます。
【ISDNとは?】
ISDNは、Integrated Services Digital Network の略で、電話線を使ったデジタル回線サービスのことを言います。
ISDN出現以前は、電話網、ファクシミリ網、データ交換網など、それぞれ専用の網で伝送交換を行っておりました。
ISDNの出現により、各データを全てデジタル化することにより、1つの通信網で扱うことが出来るようになりました。
大変画期的なシステムでしたので、90年代~2000年代初頭にかけて、通信の花形として君臨しておりました。
しかし、その後ADSLや光の登場により、大容量通信に耐えられないISDNは、表舞台からその姿を消すことになります。
事実、NTTはISDNのデジタル通信サービスを2020年に廃止する方針を打ち出しました。
終了するサービスだから、試験にはもう出ないかと言うと、そうではありません。
実は業務現場ではまだまだ現役で稼働しております。
レジで使用されるPOSシステムなど、いまだにISDNで稼働しているサービスは少なくありません。
平成29年9月末時点でも、ISDNの契約件数が未だ約300万件!もあります。
実際にNTTも一度は2020年にサービスの廃止を打ち出しましたが、その影響力の大きさから、2020年廃止を諦め、2024年廃止へと時期を変更致しました。
今後ISDNから他のサービスへ順次変更が行われることは間違いありませんが、現役で稼働している以上、工事担任者試験ではまだしばらくは出題されるものと思われます。
【基本ユーザ・網インターフェースと、一次群速度ユーザ・網インターフェースの違い】
まず、この2つのややこしい名称について、整理をしておきましょう。
2点とも共通しているのは、ISDNの回線構成に関する規定だということです。
では、この2点の違いは何でしょうか。
名前を見比べると、後半の「網インターフェース」は共通になっていますので、前半部分に違いのヒントがありそうです。
答えを言いますと、
「基本ユーザ」となっている方は、家庭などの一般向けサービス。
「一次群速度」となっている方は、会社などの大規模組織向けサービスです。
一般向けと組織向けとでは、必要とされる通信量なども異なるため、回線構成に差を設けています。
【基本ユーザ・網インターフェースについて】
先述の通り、基本ユーザ・網インターフェースとは、家庭など小規模通信向けのインターフェースになります。
基本ユーザ・網インターフェースと一次群速度ユーザ・網インターフェースとで、差が出るところは、
通信回線がメタルか、光ファイバかというところです。
また、それにより遠隔給電と通信容量で差が生じます。
メタル⇒遠隔給電できる&通信容量が小さい
光ファイバ⇒遠隔給電できない&通信容量が大きい
このような差が出てきます。
【端末アダプタについて】
ISDNという技術は、それまであった電話回線を利用して、電話やFAXやPCなどを使えるものにしたサービスです。
それを可能にしたのは、アナログデータをデジタル化することにより、データを一元化することを実現したからです。
アナログデータをデジタル化するための装置が、端末アダプタ(TA)やデジタル回線終端装置(DSU)と言われる物です。
よって、ISDNを行うには、これらの装置は必要不可欠なものとなります。
ISDNの構成図を作成する時間がなかったため、構成図につきましてはググって頂けますと幸いです。
【LAPBとLAPD】
LAPBとLAPDは、デジタルデータの取り扱いに関する各プロトコル(規約)のことを言います。
端末によりLAPBを用いるもの、LAPDを用いるものがそれぞれありますが、端末アダプタ(TA)は両者のプロトコル変換を行う機能を備えています。
【端末アダプタ(TA)の機能まとめ】
端末アダプタには、次の3点の機能があります。
①非ISDN端末のデータ速度を64kbit/s または16kbit/sにする速度変換機能
②LAPB・LAPD間のプロトコル変換機能
③電気・物理インターフェース変換機能
大まかな整理としては以上になりますが、説明を聞いただけではナンノコッチャさっぱりですわ~となる思いますので、実際の問題を通して確認して参りましょう。
次の記事から過去問を取り上げさせて頂きます。