ストーリーパートⅠ(プロローグ)
CBTウィッチの残した微かな血痕を辿り、シンジとマナが足を踏み入れたのは、洞窟というよりも巨大な機械の胎内と呼ぶべき空間だった。 壁や天井には無数の配線が血管のように張り巡らされ、規則的な光の点滅がまるで心臓の鼓動のように響いている。カエルの小さな体では、その全容を見上げることすら一苦労だった。
シンジ(カエルの姿):「なんだよ、ここは…。前の洞窟とは全然雰囲気が違うな…」
彼の言葉は、もはやカエルの鳴き声ではなく、はっきりとした人間の声として響いた。姿は変えられても、その本質までは奪われていない証だ。だが、その事実に安堵する余裕は今のシンジにはなかった。
マナ:「シンジ、気をつけて。ここは『OSの心臓部』。コンピュータ全体を支配する、最も重要で基本的なソフトウェア…オペレーティングシステムについて学ぶ場所よ」
マナは、シンジを乗せた手を胸元に寄せ、警戒しながら周囲を見渡す。彼女の視線の先には、色とりどりの光球が、意思を持っているかのように空間をゆっくりと漂っていた。
マナ:「見て。あの光る球一つひとつが、OSが管理している『プロセス』…つまり、実行中のプログラムの単位なの」
シンジ(カエルの姿):「プロセス…。あんなにたくさんのものが、どうして同時に動いていられるんだ?」
マナ:「それはOSが、私たちには見えない速さで、CPUという頭脳を使う順番を切り替えているからよ。そのおかげで、私たちからは全てが同時に動いているように見えるの。他にも、OSはメモリの管理をしたり、プリンタのような機器とのやり取りを仲介したり…本当に色々なことをしている、まさに『縁の下の力持ち』なのよ」
シンジ(カエルの姿):「縁の下の力持ち、か…」
シンジは自嘲気味に呟いた。今の自分は、その足元にも及ばない、ただの無力なカエルだ。 その時、洞窟の奥から、低い機械音が響き渡り、新たな試練の始まりを告げた。
マナ:「シンジ、来るわ!気を引き締めて!」
シンジ(カエルの姿):「ああ…! カエルの姿でも…やれることはあるはずだ!」
シンジは、マナの手の上で小さく跳ね、覚悟を決めた。たとえどんな姿になろうとも、ここで立ち止まるわけにはいかない。
だが、その決意を嘲笑うかのように、空間全体に禍々しい声が響き渡った。
CBTウィッチ(声):「クックック…哀れなカエルめ。その小さな体で、一体何ができるというのだ?」
声はシンジの真上から降り注ぎ、見えないプレッシャーが彼を押しつぶす。
CBTウィッチ(声):「お前のその矮小な決意が気に入らない…。ならば、さらなる絶望を与えてやろう! 複数の役割を同時にこなすという、その身に余る苦しみを味わうがいい!」
シンジの体を、抗いようもなく濃密な黒い霧が包み込む。骨が軋み、肉が引き伸ばされるような激痛が彼を襲った。
シンジ(カエルの姿):「ぐわあああああ!」
マナ:「シンジ!!」
マナの悲痛な叫びも、黒い霧に吸い込まれて消える。 やがて霧が晴れた時、そこにいたのは、もはやカエルの姿ではなかった。
重々しい甲羅を背負い、そこから4本の首が意思なくうごめく、異形のカメの姿だった。
シンジ(ミュータントタートル):「な…なんだ、これは…!? 頭が…4つ…!? どっちを見ればいいんだ…!? マナ、声は…声は出るのか!?」
4つの口から、同時に同じ言葉が発せられ、シンジはさらなる混乱に陥る。自分の意思とは無関係に、4つの頭がそれぞれ別の方向を見てしまい、一歩も動けない。
マナ:「シンジ…! …なんて酷いことを…」
マナは、変わり果てたシンジの姿を見て絶句する。しかし、すぐに唇を強く噛みしめ、涙をこらえた。
マナ:「…でも、負けないで、シンジ! CBTウィッチがどんな呪いをかけてきても、きっと、この試練を乗り越える方法があるはずよ…! 私が、必ず見つけ出すから!」
マナの力強い声に、パニックに陥っていたシンジの4対の目が、ゆっくりと彼女に向けられた。
ストーリーパートⅡ
シンジ(ミュータントタートル):「うぅ…頭が4つもあるなんて…どうやって動けばいいんだ…」
4つの頭はそれぞれが別の景色を捉え、シンジの意識は完全に混乱していた。右を見ようとすれば左の首が動き、前に進もうとすれば後ろに下がりそうになる。
マナ:「シンジ、その姿はCBTウィッチの嫌がらせに違いないわ。でも…これを逆手にとって、OSの仕組みを学ぶチャンスかもしれない!」
シンジ:「チャンスだって? こんな醜い姿で、まともに考えることすらできないのにか!?」
4つの口から同時に発せられた抗議の声が、洞窟内に虚しく響いた。
マナ:「落ち着いて聞いて。今のあなたは、まさにOS(オペレーティングシステム)そのものなのよ。あなたの本体、その意識がCPUだとすれば、4つの頭は同時に処理したい4つのプログラム(プロセス)みたいなものだわ」
マナはシンジの巨大な甲羅にそっと触れ、話を続ける。
マナ:「コンピュータが複数のアプリを同時に開けるのは、マルチタスクという機能のおかげ。OSが、一つのCPUを非常に短い時間で切り替えながら、色々なプロセスに順番に処理をさせているの。だから私たちには、全部が同時に動いているように見える。今のあなたが、4つの頭で別々のことを同時に考えて混乱している状態…それがマルチタスクの難しさそのものよ」
シンジ:「じゃあ、この頭の混乱を整理するのがOSの役割ってことか…。でも、どの頭から動かせばいいのか、さっぱりだ!」
マナ:「その『どのプロセスにCPUを割り当てるか』を決めるのが、OSの中のディスパッチャの役割なの。そして、そのスケジューリング方法には大きく分けて2種類あるわ」
マナはシンジの目の前に指を立てる。
マナ:「一つはプリエンティブ方式。OSが『今はこちらが重要!』と判断したら、実行中のプロセスを強制的に中断させて、別のプロセスにCPUを割り当てるの。さっきCBTウィッチが現れた時、あなたの4つの頭が一斉に彼女の声に反応したでしょ?あんな感じよ」
マナ:「もう一つはノンプリエンティブ方式。これは、一つのプロセスが終わるまで、OSは割り込めないの。もしあなたの一つの頭が、飛んでいる蝶に夢中になって、満足するまでそっちを見続けたら、他の頭は待つしかない。それがノンプリエンティブよ」
シンジ:「なるほど…。じゃあ、俺が意識して頭を動かす順番を決めれば、少しはマシになるのか…?」
シンジは、4つの頭の視線を必死にマナ一人に向けようと集中する。
マナ:「ええ。他にもOSは重要な仕事をしているわ。例えば、あなたの頭脳(メモリ)が一度に考えられることには限界があるでしょ?考えでいっぱいになったら、どうする?」
シンジ:「どうするって…忘れるしかないだろ…」
マナ:「ふふ、OSはもっと賢いわ。スワッピング方式といって、今すぐ使わない考え(プロセス)を、一旦、甲羅の中(補助記憶装置)にしまっておくの。これをスワップアウトって言うわ。そして、またその考えが必要になった時に、甲羅の中から取り出す。これがスワップイン。こうして、限られた頭脳(メモリ)を有効活用しているのよ」
シンジ:「さっきマナの話を聞いてる時、右の頭は『この甲羅、重いな…』って考えてた…でも、今はちゃんと思い出せるぞ。これがスワッピングか!」
マナ:「応用編よ。例えば、あなたの一つの頭が、ものすごく時間のかかる計算(印刷など)を始めたとするわね。その間、他の頭がぼーっと待っているのは非効率でしょ? スプーリングという機能は、その計算を一時的に別の場所(スプール)に保存して、OSが裏側で勝手に処理してくれるの。だから他の3つの頭は、別の作業を続けられる」
シンジ:「おお…それは便利だな!」
マナ:「最後に処理形態よ。例えば、目の前から岩が転がってきたら?すぐさま反応して避けなきゃいけないわよね。こういう、時間的制約が絶対の処理をリアルタイム処理って言うの。一方で、夜寝る前に『今日拾った木の実を全部数えておこう』みたいに、溜まった仕事をまとめて一気に片付けるのがバッチ処理よ」
シンジは、マナの説明を聞きながら、ゆっくりと4つの頭を協調させて頷いた。まだぎこちないが、先ほどよりずっとスムーズに動けている。
マナ:「よし、少しずつその体の使い方が分かってきたみたいね。それじゃあ、この知識が本物か、試練で確かめないと!」
マナがそう言うと、洞窟の奥から響いていた機械音が一層大きくなり、新たな敵の気配が二人を包み込んだ。
学習のまとめ
OSの基本的な役割
オペレーティングシステム(OS)は、コンピュータのハードウェア(CPU、メモリ、ストレージなど)とソフトウェア(アプリケーション)全体を管理・制御し、人間がコンピュータを簡単に使えるようにするための最も基本的なソフトウェアです。
OSがなければ、私たちはコンピュータに対して非常に専門的で細かい指示を一つひとつ出さなければなりません。OSは、そうした複雑な処理を全て引き受け、アプリケーションソフトが動くための「舞台(ステージ)」や、コンピュータ全体の「指揮者(コンダクター)」のような役割を果たしています。

複数のタスクを同時にこなす技術
コンピュータは、音楽を聴きながら文書を作成したり、ファイルをダウンロードしながらゲームをしたりと、複数の作業を同時に行っているように見えます。これを実現しているのが以下の技術です。
マルチタスクとマルチプログラミング
・マルチタスクは、一つのCPUが見かけ上、複数のタスク(プロセス)を同時に実行する仕組みです。CPUは非常に高速なため、各タスクをミリ秒単位で素早く切り替えながら処理することで、人間には同時に動いているように見えます。
・マルチプログラミングは、マルチタスクを実現するための基礎技術で、複数のプログラムを主記憶装置(メモリ)上に待機させておき、CPUの空き時間(入出力待ちの時間など)を有効活用する方式です。
タスクの切り替え(スケジューリング)
どのタスクにCPUを割り当てるかを決定する仕組みをスケジューリングと呼び、OS内のディスパッチャが実際の切り替え処理を行います。スケジューリングには主に2つの方式があります。
・プリエンティブ方式: OSが絶対的な権限を持ち、実行中のタスクをタイムスライス(CPUを割り当てる時間)ごとに強制的に中断させ、より優先度の高い別のタスクにCPUを割り当てることができる方式です。一般的なOS(Windows, macOSなど)で採用されており、特定のタスクが暴走してもシステム全体が停止しにくい利点があります。
・ノンプリエンティブ方式: 一つのタスクが自発的に処理を終えるか、CPUを解放するまで、OSは介入できない方式です。OSの作りは単純になりますが、一つのタスクがCPUを占有し続けると、他のタスクが待たされる可能性があります。
限られたメモリを有効活用する技術
スワッピング方式
コンピュータの主記憶装置(メモリ)は、作業机のように高速ですが容量は限られています。たくさんのプログラムを同時に動かすと、この作業机はいっぱいになってしまいます。
そこでOSは、現在使われていないプログラムやデータ(休止状態のプロセスなど)を、一時的に大容量の補助記憶装置(HDDやSSD、倉庫のような場所)へ待避させます。
これをスワップアウトと呼びます。
そして、待避させたプログラムが再び必要になった際に、補助記憶装置から主記憶装置へ呼び戻します。これをスワップインと呼びます。
この一連の仕組みをスワッピング方式といい、これによりOSは物理的なメモリ容量以上のメモリ空間を、見かけ上利用できるようになります。
コンピュータの主記憶装置(メモリ)は、作業机のように高速ですが容量は限られています。
たくさんのプログラムを同時に動かすと、この作業机はいっぱいになってしまいます。
マナ:「よし、少しずつその体の使い方が分かってきたみたいね。それじゃあ、この知識が本物か、試練で確かめないと!」
マナがそう言うと、洞窟の奥から響いていた機械音が一層大きくなり、床を振動させながら巨大な影が姿を現した。 それは、無数の歯車とケーブルで構成された機械仕掛けの巨人、**「OSガーディアン」**だった。ガーディアンの胸部には、様々な色に点滅するコアが収められており、その腕は目まぐるしく動き、複数の作業を同時にこなしている。
OSガーディアン:「我が領域を管理するOSの知識…その力を示せぬ者に、道を開くことはない」
無機質な声が洞窟に響き渡る。
マナ:「シンジ、OSガーディアンはOSの機能に関する問題を出してくるわ! あなたの4つの頭脳で正しい答えを導き、攻撃するのよ!」
シンジ(ミュータントタートル):「4つの頭でって…こいつらはまだバラバラにしか動かないんだぞ!」
シンジが狼狽する中、ガーディアンは最初の問いを発する。
モンスターとの試練バトル(練習問題パート)
第1問
OSガーディアン:「主記憶装置の容量が不足した際、補助記憶装置との間で内容を退避・復元する仕組みを何と呼ぶか?」
①スプーリング
②ディスパッチ
③スワッピング
④マルチタスク
4つの頭が、それぞれ別の選択肢を叫びそうになり、シンジの意識は混乱する。
シンジ:「落ち着け…俺の頭! マナが言ってた…作業机(メモリ)がいっぱいになったら、倉庫(補助記憶装置)にしまうって…。そうだ、答えは… 3. スワッピングだ!」
シンジが意識を集中させると、4つの口から放たれた光が一つになり、ガーディアンに命中した!
正解!
ガーディアンがわずかに後ずさる。
第2問
OSガーディアン:「OSがタスクの実行を強制的に中断させ、別のタスクにCPUを割り当てることができる方式はどれか?」
①リアルタイム方式
②バッチ方式
③プリエンティブ方式
④ノンプリエンティブ方式
マナ:「シンジ、思い出して! 私があなたの名前を呼んだ時、あなたの4つの頭が一斉に私の方を向いたでしょう? あの時のように、OSが強制的に割り込むのよ!」
シンジ:「強制的に…! そうか、答えは… 3. プリエンティブ方式!」
再び放たれた光の攻撃が、ガーディアンの腕の動きを一時的に止めた。
正解!
第3問
OSガーディアン:「複数の処理データをまとめて一括処理する形態を何と呼ぶか? 時間的な制約は厳しくないものとする」
①リアルタイム処理
②バッチ処理
③マルチプログラミング
④スワップイン
シンジ:「まとめて一括処理…夜にやる給与計算みたいなやつだな! これは… 2. バッチ処理だ!」
シンジの答えは正確だった。しかし、4つの頭のタイミングが微妙にずれてしまい、光の攻撃は威力を減じてしまう。ガーディアンはびくともしない。
OSガーディアン:「…思考の同期が不完全。その程度のマルチタスク能力では、私を倒すことはできん」
ガーディアンは巨大な腕を振り上げ、シンジに強力な一撃を加えようとする。
マナ:「シンジ! 4つの頭を一つに集中させるのよ! あなたならできる!」
シンジ:「くっ…! やってやる…! 4つの頭は、俺自身なんだ!」
シンジは目を閉じ、意識を集中させる。それぞれの頭で考えていたバラバラの思考が、徐々に一つにまとまっていく感覚。これこそがOSの神髄、タスクの完全な同期…!
OSガーディアン:「終わりだ!」
腕が振り下ろされる瞬間、シンジの4対の目がカッと見開かれた。
シンジ:「今だッ!!」
4つの頭から寸分の狂いもなく同時に放たれた光の奔流が、ガーディアンの胸のコアを正確に撃ち抜いた。
OSガーディアン:「…プロセス管理…正常…。システム…シャットダウン…」
機械仕掛けの巨人は、その場に崩れ落ち、光の粒子となって消えていった。
スキル習得
ナレーション:「シンジは、『マルチタスク制御』のスキルを習得した!」
マナ:「やったわね、シンジ! 4つの頭を完璧に使いこなせるようになったじゃない!」
シンジは、まだぎこちなさは残るものの、4つの首をスムーズに動かし、マナに微笑んでみせた。
シンジ:「ああ。この体も、少しだけマシに思えてきたよ」
ストーリーパートⅢ(エピローグ)
OSガーディアンが光の粒子となって消え去ると、洞窟を支配していた無機質な機械音は鳴り止み、辺りには静寂が訪れた。
マナ:「やったわね、シンジ! 最後は4つの頭を完璧に連携させて、見事だったわ! まるでOSが複数のプロセスを完璧に同期させたみたい!」
マナが興奮気味にシンジの甲羅をポンと叩く。
シンジ(ミュータントタートル):「ああ…。まだ慣れないけどな。この甲羅は重いし、視界が4つもあるのは疲れる。早く元の姿に戻りたい…」
シンジは4つの首を器用に動かして、それぞれの方向の安全を確認する。先ほどまでの混乱が嘘のように、この異形の体を少しずつ制御できるようになっていた。それは、OSの仕組みを身をもって理解した証だった。
マナ:「ええ。そのためにも、CBTウィッチを追いましょう。血痕はまだ続いているわ」
二人は頷き合うと、洞窟の出口へと向かって歩き始めた。シンジの足取りは、まだ重く、ぎこちなかったが、確かに前へと進んでいた。
しかし、出口の光が見えてきたその時、またしてもあの忌まわしい声が洞窟内に響き渡った。
CBTウィッチ(声):「クックック…マルチタスクをこなしたくらいで、いい気になるな小僧。その次は、ひたすら鈍重な処理の苦しみを味わうがいい!」
シンジ:「なっ…! またお前か、CBTウィッチ!」
シンジが声の主を探して4つの頭を巡らせるが、姿は見えない。声だけが、ねっとりと二人に絡みつく。
CBTウィッチ(声):「お前の残す足跡は、全て私の監視下にあることを忘れるな…!」
その言葉を最後に、シンジの体に再び黒い霧がまとわりついた。だが、今度は激しい痛みではない。体が内側からじっとりと重くなっていくような、不快な感覚だった。
マナ:「シンジ、しっかり!」
シンジの4本の首は力を失い、ずるずると甲羅の中へと引き込まれていく。そして、頑丈だった甲羅は渦を巻くように変形し、手足は短く、ぬめりのある体に変わっていった。
霧が晴れた時、そこにミュータントタートルの姿はなかった。 ただ、粘液の跡を引きずりながら、ゆっくりと進む巨大なカタツムリが一匹いるだけだった。
シンジ(巨大カタツムリ):「うそだろ…今度は…カタツムリ…?」
あまりの変貌と、その絶望的なまでの鈍重さに、シンジは言葉を失う。
マナ:「シンジ! そんな…! また新しい呪いを…!」
マナは駆け寄り、カタツムリになったシンジの殻にそっと触れる。その目は、CBTウィッチが去った暗い洞窟の先を、強い決意で見据えていた。
こうして、OSの心臓部を突破した二人の旅は、さらなる困難と共に、次の章へと続くのであった。











