
衝撃的な事案発生 合格者のすり替え
今回の動画は、近畿総合通信局の報道資料を取り上げたものです。
報道資料の内容は、ある電波監理部の職員さんが、受験者のデータを不正に利用して、合格者のすり替えを行なったというものです。
ちょっと俄かには信じ難いくらいのことで、受験業界に携わる者としては衝撃的でした。
国家機関の不正
昔、大学の受験競争が激しかった時代、私立大学の裏口入学というのが問題になりました。
私立大学でも問題ですが、今回は国家資格ですから、国家機関の不正と言えます。
しかも、ともすれば人命にも関わることのある無線通信に携わることへの不正です。
事の重大さは、民間の比ではありません。
電波法による規律の維持
無線従事者免許というのは、電波を利用する上で非常に重要なものです。
無線従事者免許に限らず、電波の利用にはいろいろな取り決めがあり、それらは電波法で定められています。
電波法は、罰則によっては、懲役刑もあるほど厳しいものです。
厳しくても皆が守るのは、それが必要であると認めているからです。
そして、何より公正に管理されていると信じているからです。
処分は軽く、自浄作用が見込めるのか疑問
その電波を監理する側が、合格者のすり替えを行なうというのは言語道断。
しかも、発覚したことによる処分は、わずか10%の減給、それも3ヶ月間のみです。
もちろん処分が重ければ良いというものではありません。
しかし、国家公務員という閉ざされた世界の中で、軽い処分を与えて一体どれだけの自浄作用があるのか甚だ疑問です。
自身の体験から思うこと
私自身、通信局の方とは仕事で接点を持つ機会がありましたが、閉鎖的な世界だなと感じたのが率直なところです。
各担当者に相応の権限も与えられており、民間事業者からすれば、周波数の利用が認められるか否か、担当者の腹先三寸のところもあり、頭の上がらない存在です。
中には、与えられた権力を笠に来て、傲慢自大な態度を取られるかたも居られました。
それでもやはり、電波の公正な運用に目を光らせている、責任ある立場の方々だと信頼するからこそ、敬意を以って接しておりました。
しかし、今回の様に、与えられた権力を濫用するのであれば、信頼に値しません。
信用は地に堕ちたと言っても過言ではないでしょう。
氷山の一角ではないか
もともと閉鎖的な空間で行なわれた不正です。
今回、たまたま発覚しただけで、発覚しなかった不正やミス、その暗数は膨大にあるのではないかと懸念します。
実際に私の周りでも、その様なことが疑われる事例がいくつかありました。
今は試験もマークシート方式ですから、答案を提出してしまえば、自己採点とズレがあっても、「マークミスか」と済ませてしまいがちです。
この事案を機に、今後は、持ち帰る問題にしっかりと自分の答え(何番にマークしたか)を明確に分かる形で記して、保管しておくべきです。
そして試験結果に相違があれば、試験管理団体に申し出るという行動を取る必要もあります。
批判は貶めるためではなく、改善のため
今回、あえて取り上げたのは、何も貶めることが目的ではありません。
電波を監理するという重責を担えるのは、通信局というスペシャリストの集団があるからこそであり、その手腕は疑うべくもなく、非常に優れています。
優れた存在であるからこそ、こんなくだらないことで信頼を失って欲しくないという思いがあります。
信頼を保つためには、不正を行なわないことが必須ですが、不正を無くすためにはどうすれば良いか。
これは犯罪撲滅の論理とも似ています。
それは小さな不正(犯罪)でも、しっかりと取り上げ、批判の目にさらす(処罰する)こと。
疑うというのは悲しいことですが、不正を横行させてはなりません。
私たちが監視の目を光らせることが、コンプライアンスの遵守、ひいては組織の自浄作用を高めるのではと期待しております。