【工担総合種法規】26年春1-(1) 「接続請求を拒める場合」

接続拒否

工事担任者AI/DD総合種試験『平成26年法規問題1-(1)』の解説講義を行ないます。

利用者からの端末設備の接続請求を拒める場合」に関する問題です。

なお、動画講義の位置を冒頭へ移動しました。ご視聴いただければ幸いです。

 

動画講義

 

問題

(1)電気通信事業法に規定する「端末設備の接続の技術基準」又は電気通信事業法施行規則に規定する「利用者からの端末設備の接続請求を拒める場合」について述べた次の文章のうち、誤っているものは、   (ア)   である

 

①端末設備の接続の技術基準は、電気通信回線設備を利用する他の利用者に迷惑を及 ぼさないようにすることが確保されるものとして定められなければならない。

② 端末設備の接続の技術基準は、電気通信回線設備を損傷し、又はその機能に障害を 与えないようにすることが確保されるものとして定められなければならない。

③ 端末設備の接続の技術基準は、電気通信事業者の設置する電気通信回線設備と利用 者の接続する端末設備との責任の分界が明確であるようにすることが確保されるもの として定められなければならない。

④ 電気通信事業者は、利用者から端末設備をその電気通信回線設備に接続すべき旨の 請求を受けたときは、その接続が指定認定機関で定める品質規格を満たさない場合を 除き、その請求を拒むことができない。

⑤ 電気通信事業者は、 利用者から、 端末設備であって電波を使用するもの(別に告示 で定めるものを除く。)及び公衆電話機その他利用者による接続が著しく不適当なも のの接続の請求を受けた場合は、その請求を拒むことができる

解答

 

解説

原則と例外

電気通信事業者は、社会のインフラを担うという側面もあることから、利用者から接続の要求があれば、原則として接続を拒否することができません。

この様に規定することにより、利用者による端末設備設置の自由を保証していると言えます。

しかし、いかなる時でも拒否できない訳ではありません。

接続することによって不都合を生じるものや、そもそも設置の自由を保証する必要がないものについては、例外的に接続を拒否できるものとしました。

例外の内容は、大きく2つに分けることが出来ます。

1つは、技術基準に適合しない場合

もう1つは、総務省令で定める場合です。

技術基準に適合しない場合については「電気通信事業法」第52条に、総務省令で定める場合は「電気通信事業法施工規則」第31条に規定されています。

それでは、各条文について確認してみましょう。

 

根拠条文

電気通信事業法 第52条(端末設備の接続の技術基準)

電気通信事業者は、利用者から端末設備(電気通信回線設備の一端に接続される電気通信設備であつて、一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内であるものをいう。以下同じ。)をその電気通信回線設備(その損壊又は故障等による利用者の利益に及ぼす影響が軽微なものとして総務省令で定めるものを除く。第六十九条及び第七十条において同じ。)に接続すべき旨の請求を受けたときはその接続が総務省令で定める技術基準(当該電気通信事業者又は当該電気通信事業者とその電気通信設備を接続する他の電気通信事業者であつて総務省令で定めるものが総務大臣の認可を受けて定める技術的条件を含む。次項及び第六十九条において同じ。)に適合しない場合その他総務省令で定める場合を除き、その請求を拒むことができない

2  前項の技術基準は、これにより次の事項が確保されるものとして定められなければならない。
一  電気通信回線設備を損傷し、又はその機能に障害を与えないようにすること。
二  電気通信回線設備を利用する他の利用者に迷惑を及ぼさないようにすること。
三  電気通信事業者の設置する電気通信回線設備と利用者の接続する端末設備との責任の分界が明確であるようにすること。

電気通信事業法施工規則 第31条 (利用者からの端末設備の接続請求を拒める場合)

法第五十二条第一項 の総務省令で定める場合は、利用者から、端末設備であつて電波を使用するもの(別に告示で定めるものを除く。)及び公衆電話機その他利用者による接続が著しく不適当なものの接続の請求を受けた場合とする。

 

解説

技術基準について

確保すべき技術基準は、条文より次の3つであることが分かります。

①電気通信設備を損傷したり、機能に障害を与えないようにすること。

②他の利用者に迷惑を及ぼさないようにすること。

③電気通信回線設備~利用者間の接続で、責任の分界が明確であること。

 

上記内容を、接続の技術基準の3原則と言ったりもします。

この3要件を満たしていればOK.満たしていなければNGです。

ここで、今回の問題の選択肢①~④を見てみましょう。

選択肢①~④の検証

① 端末設備の接続の技術基準は、電気通信回線設備を利用する他の利用者に迷惑を及 ぼさないようにすることが確保されるものとして定められなければならない。
② 端末設備の接続の技術基準は、電気通信回線設備を損傷し、又はその機能に障害を 与えないようにすることが確保されるものとして定められなければならない。
③ 端末設備の接続の技術基準は、電気通信事業者の設置する電気通信回線設備と利用 者の接続する端末設備との責任の分界が明確であるようにすることが確保されるもの として定められなければならない。

④ 電気通信事業者は、利用者から端末設備をその電気通信回線設備に接続すべき旨の 請求を受けたときは、その接続が指定認定機関で定める品質規格を満たさない場合を 除き、その請求を拒むことができない。

 

如何でしょうか?

①~③はそれぞれ、上記要件について書かれており、問題ありません。

しかし、選択肢④のどうでしょう。

指定認定機関がと書いてありますが、その様な規定は条文にありません。

よってこれが誤り、つまりは正解の選択肢であると分かります。

 

総務省令で定める場合について

拒否できる場合は、技術基準を満たさない場合の他に、総務省令で定める場合がありました。

これも確認しておきましょう。

根拠条文より、総務省令で定める場合は大きく3つあります。

技術基準の要件と区別するために、こちらは①~③ではなく、A~Cとして表したいと思います。

A:端末設備であつて電波を使用するもの(別に告示で定めるものを除く。)

B:公衆電話機

C:利用者による接続が著しく不適当なものの

 

ここでCがダメなのは分かると思いますが、何故AとBもダメなのでしょうか。

まずAから考えて見ましょう。

何故電波を使用するものは拒否できるのか

この理由は、電波干渉による誤接続、通信の秘密の漏洩等のおそれがあるためとされています。

ここでもう一度技術基準の要件①、②を思い出してみましょう。

技術基準の要件①は、電気通信設備を損傷したり、機能に障害を与えないようにすることでした。

技術基準の要件②は、他の利用者に迷惑を及ぼさないようにすることでした。

つまり、電波干渉による誤接続や、通信の秘密の漏洩等があれば、技術基準①や②で守りたかったものが守れなくなりますよね。

そこで、電波を使用するものは拒否できるとしたのです。

ただし、技術的に見て、そういったおそれが無いものについては、告示により除外されるとしています。

実際のところ、携帯無線通信等の端末設備は告示により除外されています。

 

なぜ公衆電話機は拒否できるのか

そもそも公衆電話機は、通信事業者の業務です。

一般の利用者が設置して、金銭収入を得ることはできません。

よって、そこに自由を保証する法益はなく、接続を拒否できないという原則を守る必要がないためです。

 

ご参考資料

以下、各ご参考資料をご紹介いたします。

 

関連法規、接続約款

NTT docomoの資料が公開されていますので、そちらのURLリンクを下記に貼り付けます。

NTT docomo資料

 

平成26年春問題

※法規全ての問題です。

法規問題

 

同解答

※法規以外の解答も入っています。

法規解答

 

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