工事担任者試験 基礎第1問 穴埋め暗記セレクション 総合通信 2024受験版

この記事は、工事担任者試験の直前対策資料である「工事担任者 基礎 穴埋め暗記セレクション 総合通信2024受験版」に対応しています。PDFは期間限定で下記リンクより配布いたします。
基礎→https://drive.google.com/file/d/1bpA01px0v0FhtfG4l50v3nZ4gTq95lpn/view?usp=sharing
資料は必要最小限の記述に絞りスリム化を図っていますが、こちらのブログでは、出典となる過去問も引用して掲載しています。問題集としてもご利用いただけるほか、解説を確認する目的にもお役立ていただけます。

なお、分量が多いため、大問ごとに記事を分けて掲載しております。
皆様の試験対策に微力ながらお力添えできれば幸いです。心より、皆様の合格をお祈り申し上げます。

問題1

出典:令和3年度第2回第1問(4)

解答

解説

絶縁体と誘電分極現象について

この問題は、絶縁体に正に帯電した導体を近づけた際に起こる現象に関するものです。電気や電磁気学の基本現象の一つである誘電分極について理解することが求められます。

誘電分極とは

**誘電分極(Polarization of Dielectrics)**とは、絶縁体(誘電体)に外部から電場がかかったとき、絶縁体内部の分子や原子が再配列を起こし、内部に電荷の偏りが生じる現象です。この偏りにより、絶縁体の表面には以下のような電荷分布が生じます:

  • 導体に近い側に負の電荷
  • 導体から遠い側に正の電荷

この現象は、絶縁体内部の分子や原子が持つ電子雲や原子核が外部の電場に応じて変形することで起こります。

他の選択肢について

  1. 双極子(①)
    電荷が分かれた正負の極を持つ分子やシステムを指しますが、誘電体の現象全体を説明するものではありません。
  2. 誘電正接(②)
    誘電体の損失特性を示す値で、エネルギー損失に関する物理量です。電荷の偏りとは関係がありません。
  3. 電磁誘導(③)
    時間変化する磁場によって電流が誘導される現象であり、電磁気学の別分野の現象です。
  4. 局所電池(④)
    電池内部で局所的に生じる電流を指し、材料内部の電荷の偏りとは関係がありません。

まとめ

誘電分極とは、絶縁体に電場をかけたときに内部で電荷の偏りが生じる現象です。この現象を理解することで、電気工学や電子材料における設計や応用の幅を広げることができます。

参考資料

まなびや

参考資料の該当ページです。

総合通信要点解説(自著)

該当ページ 14

リックテレコム社

該当ページ 不明

問題2

出典:令和5年度第1回第1問(3)

解答

解説

帯電体と静電遮蔽の原理について

この問題は、帯電体と接地された導体が静電気的な影響を遮断する現象について問われています。この現象は、**静電遮蔽(Electrostatic Shielding)**と呼ばれ、電気や静電気に関する重要な基本概念の一つです。

静電遮蔽とは

静電遮蔽とは、導体で囲まれた空間が外部電場から遮断される現象です。この原理を活用することで、帯電体や外部電場の影響を内部や外部に伝えないようにすることができます。

  • 原理
    • 中空導体Bが接地されると、内部の帯電体Aが発生させる電場は、Bの内面に逆符号の電荷を誘導します。
    • この誘導電荷により、Bの外側には正負の電荷がキャンセルされ、電場がゼロになります。
    • その結果、Bの外部では帯電体Aの影響を受けなくなります。

応用例

  • シールド効果:電子機器やケーブルが外部の静電気やノイズから影響を受けないようにするために、静電遮蔽が利用されます。
  • 高精度測定機器:静電ノイズを遮断するために、接地された金属シールドが用いられます。

他の選択肢について

  1. 電気分極(①)
    誘電体内部の電荷が偏りを示す現象であり、導体による遮蔽とは異なります。
  2. 静電誘導(③)
    帯電体の近くに導体を置くと、その導体内で電荷が再分配される現象です。遮蔽効果を説明するものではありません。
  3. 電磁遮蔽(④)
    電磁波の遮蔽に関する現象で、静電気の影響を遮断する静電遮蔽とは異なります。
  4. 電磁誘導(⑤)
    時間変化する磁場による電流の誘導現象であり、静電気の影響に関係しません。

まとめ

静電遮蔽は、導体の特性を利用して静電気の影響を遮断する技術です。電気工学や電子工学の分野で広く利用されており、電磁波ノイズ対策や感度の高い測定装置の保護に欠かせない現象です。

この原理を理解することで、静電気や電場の制御に関する知識を深めることができます。電気機器やケーブルの安全性を確保するための基本技術として、ぜひ覚えておきましょう!

参考資料

まなびや

参考資料の該当ページです。

総合通信要点解説(自著)

該当ページ 15

リックテレコム社

該当ページ 28

問題3

出典:令和4年度第2回第1問(4)

解答

解説

コイルの誘導性リアクタンスと交流周波数の関係について

この問題は、自己インダクタンスが Lヘンリーのコイルの誘導性リアクタンス X が、コイルに流れる何に比例するかを問うものです。電気回路におけるインダクタンスと周波数の関係を理解することがポイントです。

誘導性リアクタンスとは

誘導性リアクタンス(Inductive Reactance)X は、コイル(インダクタンス L)が交流回路において電流の変化に対して抵抗のように作用する大きさを示すものです。これはオーム(Ω)で表されます。

誘導性リアクタンスは以下の式で表されます。X=2πfL

  • X :誘導性リアクタンス(オーム)
  • f :交流電流の周波数(ヘルツ)
  • L :自己インダクタンス(ヘンリー)

この式から明らかなように、誘導性リアクタンス X は周波数 f に比例します。

なぜ周波数に比例するのか

  • 高い周波数では、電流の変化が速くなるため、コイルがこれに対抗する作用(逆起電力)が大きくなり、結果として誘導性リアクタンスが大きくなります。
  • 低い周波数では、電流の変化が遅いため、コイルの逆起電力が小さくなり、誘導性リアクタンスも小さくなります。

他の選択肢について

  1. 交流電流の実効値(①)
    • 実効値は電流の大きさを示すもので、誘導性リアクタンスの大きさには直接関係しません。
  2. 交流電流の波高値(②)
    • 波高値も電流の最大値を示すもので、誘導性リアクタンスの大きさには直接影響しません。
  3. 直流電流の平均値(④)
    • 直流は周波数がゼロのため、誘導性リアクタンスは存在しません。この選択肢は不適切です。
  4. 直流電流の最大値(⑤)
    • 同様に直流の場合、誘導性リアクタンスは関係ありません。

まとめ

コイルの誘導性リアクタンスは

\(X = 2\pi f L\)

の関係で表され、交流電流の周波数 f に比例します。したがって、X の大きさはコイルに流れる交流電流の周波数に比例すると言えます。

参考資料

まなびや

参考資料の該当ページです。

総合通信要点解説(自著)

該当ページ 16

リックテレコム社

該当ページ 46

問題4

出典:令和5年度第2回第1問(3)

解答

解説

平行に置かれた電線に流れる電流と電磁力の関係について

この問題は、電流が流れる電線同士に発生する電磁力について問われています。電線間に流れる電流の方向により、引き合う力や反発し合う力が発生します。この現象は、アンペールの法則に基づいて説明されます。

原理:アンペールの法則とローレンツ力

電流が流れる2本の平行な電線が互いに及ぼす力は、アンペールの法則ローレンツ力によって説明されます。

  1. 電流の方向が同じ場合
    • 電線間に引き合う力(吸引)が発生します。
    • これは、電流が作り出す磁場が互いを引き寄せる向きに作用するためです。
  2. 電流の方向が反対の場合
    • 電線間に反発する力(反発)が発生します。
    • これは、互いの電流が作る磁場が逆方向となり、引き合う代わりに押し合う力が生じるためです。

したがって、問題文にある「反対方向に直流電流を流す場合」には、電線間で反発力が発生します。

他の選択肢について

  1. 反発(①):正解。反対方向の電流が流れる場合に発生する力です。
  2. 交差(②):電線の配置や力の向きに関係する現象ではありません。
  3. 回転(③):電線間で発生する電磁力は回転を生じるものではありません。
  4. 振動(④):直流電流ではなく、交流電流が流れる場合に、周波数に応じた振動が発生する可能性がありますが、この問題とは関係ありません。
  5. 吸引(⑤):同じ方向に電流が流れる場合の現象であり、今回の条件には該当しません。

まとめ

平行な2本の電線に反対方向の直流電流を流すと、電線間には反発する電磁力が発生します。この現象は、アンペールの法則に基づく重要な物理現象であり、電磁気学の基本的な理解に役立ちます。

参考資料

まなびや

参考資料の該当ページです。

総合通信要点解説(自著)

該当ページ 17

リックテレコム社

該当ページ 34

問題5~8は次ページをご覧ください。