平成30年秋に実施された、総合種の本試験問題について、解説および類題分析をしていきます。
問題
解法の公式
本問では、合成抵抗が問われています。
抵抗の並び方が、対称形に並んでいるのが特徴です。
このような回路を、俗に「対称回路」と言います。
試験で合成回路が出るとすれば、対称回路というパターンが主です。
対称回路では、たくさんの抵抗が並んでいるため、まともに解こうとすると大変なことになります。
ご安心ください。
実は、この回路には解き方のパターンがあります。
そのパターンさえ知っていれば、簡単に解くことができます。
パターンは2種類ありますので、さっそく見てみましょう。
パターン1 対称回路のみ
対称回路だけで構成されるとき、この全体の合成抵抗は1.5Rになります。
合成抵抗が1.5Rになるプロセスも大切ですが、試験対策上は結果だけ覚えておけばOKです。
対称回路だけのとき、合成抵抗は1.5Rになる。
語呂合わせでも構いませんので、覚えておきましょう。
対称回路の他に抵抗が無ければ「1.5Rになる」。
これが第1のパターンです。
対称回路には、もう一つのパターンがあります。
パターン2 対称回路+1
対称回路の他に、もう一つ抵抗がある場合、
対称回路の合成抵抗はRとなります。
よって、回路全体でみれば、RとRが直列につながっていることと同じになります。
同じく、語呂合わせなどで覚えておきましょう。
以上、2つのパターンを覚えておけば、問題はとけます。
本問の解説
再度、本問を見てみましょう。
まず着目すべきは、「対称回路の他に一つ抵抗がある」ということです。
このことから、次の公式を用います。
合成抵抗全体でRとみなすことが出来ますので、
a-b間全体では、RとRの直列接続と考えることが出来ます。
a・—–R—–R—–・b
ここでのポイントは、対称回路の合成抵抗がRになるということです。
よくある間違いとして、回路全体をRにしてしまう人が多いので、注意しましょう。
抵抗の直列接続は、足し算で計算が出来ますので、
R+R=6+6
=12
となり、答えは②が正解となります。
折角ですから、類題も見ておきましょう。
同一パターンの問題
本問と同一パターンで解ける問題が、あと2問出題されています。
同一パターン1 平成22年秋_問題
同一パターン1 平成22年秋_解説
本問も、「対称回路の他に一つ抵抗がある」ものになっています。
このことから、次の公式を用います。
合成抵抗全体でRとみなすことが出来ますので、
a-b間全体では、RとRの直列接続と考えることが出来ます。
a・—–R—–R—–・b
ここでのポイントは、対称回路の合成抵抗がRになるということです。
回路全体をRにしてしまう人が多いので、注意しましょう。
抵抗の直列接続は、足し算で計算が出来ますので、
R+R=4+4
=8
となり、答えは④が正解となります。
同一パターン2 平成27年春_問題
同一パターン2 平成27年春_解説
本問は、平成30年秋試験と全く同じ内容となっております。
つまり、本試験において過去問がそのまま出た形になります。
過去問が出たのはこれだけではありません。
これから順番に紹介しますが、平成30年基礎の第1問は、全て過去問と同じパターンのものが出ていました。
過去問をしっかりと勉強していれば、基礎の第1問は全問取れたことになります。
基礎の第1問に限らず、工担試験全体が過去問のオンパレードとなっております。
過去問だけしっかりと勉強すれば、合格が約束される試験であるとも言えます。
本問の解説内容は、冒頭の解説と全く同じになってしまうため、割愛させていただきます。
正解の選択肢は②です。
類似パターン
対称回路だけのパターンの問題も、過去に出題されています。
確認しておきましょう。
類似パターン 平成21年春_問題
類似パターン 平成21年春_解説
本問は、対称回路だけで構成されています。
よって、つぎの公式を用います。
対称回路の合成抵抗は、1.5Rとなります。
そして、問題文より、
1.5R=18Ω と分かるので、
R=12 となります。
よって、正解の選択肢は②になります。
出題頻度について
最後に、本問の出題頻度をご紹介したいと思います。
※いずれも個人的観点から分析したものですので、数値の信頼性を保証するものではありません。
出題頻度(同じパターン)
本問と全く同じパターン(数値が異なるだけ)が出た頻度を、過去試験より分析しました。
□AIDD総合種・・・約15% (過去試験20回中3回)
出題頻度(類似パターン)
類似パターンの出題頻度は次の通りです。
□AIDD総合種・・・約5% (過去試験20回中1回)
得点力アップの可能性
過去の出題頻度が次回試験にも適用されると仮定すると、本問および類似パターンをマスターすることにより、
□AIDD総合種・・・約20%
の確率で、得点につながると考えられます。