契約書の作成
契約を結ぶにあたり、トラブル防止の観点から、契約書を取り交わすことは重要なことです。
瑕疵担保責任や、契約期間、契約の解除条件など、契約書を取り交わしていないと曖昧になりがちです。
契約書を作成することは、それほど難しいことではありません。
お互いが合意する内容を書面に記し、最後に署名捺印すれば成立です。
もちろん、公序良俗に反する内容は無効となりますが(愛人契約、詐欺契約など)、通常の取引においては抵触することはありません。
瑕疵担保責任など、一見分かりにくいものもありますが、インターネットで調べれば契約書の実例が山ほど出てきますから、それを参考にすれば作成は容易です。
立ちはだかる印紙税の壁
問題は印紙です。
契約書面は、その内容により、課税文書となる可能性があります。
課税文書となれば、契約書に規定額の印紙を貼らなければなりません。
印紙を貼らなくても契約の成立を妨げるものではありませんが、印紙税法違反になります。
罰則として、貼るべき印紙代金の3倍の金額を税務署に納付しなければなりません。
委託販売の場合は、契約書面が「第7号文書」に該当する怖れがあります。
7号文書とは
第7号文書とは、「継続的取引の基本となる契約書」のことを指します。
この文書に該当すると、発生する印紙税額は、なんと1通\4,000円!
契約書を甲・乙2通分作成すると、倍の\8,000円が必要です。
取り扱う商品代金の大小に関わらず、1回の契約毎にこれだけかかってしまいます。
これでは、扱う商品代金の小さいお店では、委託販売など事実上不可能です。
回避する方法が無いかネット上で情報を探しました。
いくつか情報は見つかりましたが、ネットの情報を鵜呑みにするのは危険です。
ある程度知識を仕入れた上で、行政の無料税務相談窓口に電話してみました。
税理士会の相談窓口
大阪では、各地域毎に、週に2日ほど税理士会が無料相談を受け付けています。
予約無しの現地受付先着順で、税の疑問について無料で受け答えしてもらえるというものです。
契約書の印紙税について気付いたのが、ちょうど窓口の閉まる直前だったこともあり、時間が間に合いそうになかったため、ひとまず電話を掛けてみました。
確認すると、電話での相談は受け付けていないので、また来週開催日に現地まで来て欲しいとのこと。
通常であれば日を待って出向くのですが、ちょうどその頃、委託販売に興味を持ったお客様から声を掛けられていたところでした。
印紙税額の有無によっては、委託販売自体を諦めるか手数料を大きく上げるかせねばなりません。
期待しているお客様を無駄に待たせるもの心苦しいので、電話で応答して欲しい旨伝えると、管轄は異なるが、電話対応窓口があるとのこと。
そこの電話番号を教えてもらい、電話で不明事項を質問しました。
その際に得られたのは以下の情報です。
①7号文書に該当すれば、印紙税額は\4,000-/通 で間違いないこと。
②契約期間が3か月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものは7号文書から除かれること。
③7号文書に該当しなくても、2号文書の請負に該当する可能性があること。
④2号文書であれば、1万円未満は非課税。100万円未満は200円の印紙税であること。
⑤最終判断は、管轄の税務署が有しているので、税務署で判断を仰ぐ必要があること。
でした。
考えた結果、いくつか契約書のひな形をつくり、管轄する税務署に持っていくことにしました。
税務署で、7号文書について聞く
税務署に行き、数種類の契約書のひな形を基に、担当の方と1時間ほど話しこみ、いろいろと教えていただきました。
要点を書くと、次の通りです。
1.7号文書を回避するためには、つぎの2つの方法がある
①契約期間を3か月以内かつ更新に関する定めを設けない。
②取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払い方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法、これら全てについて定めないこと。(一つでも定めていたらダメ)
2.大手は一般的に、基本契約として、上記②について定めずに、瑕疵担保責任等一般事項についてのみ契約書を結んでいる。
詳細は別途協議として、契約書面以外の方法(電子メール等)で合意を取り交わす。
※電子メール、FAXは、書面とみなされないため、印紙税の対象にならない。
3.7号文書に該当しなければ、契約期間、金額の大小に関わらず、非課税になる。(今回は2号文書にもあたらない)
との回答を得ました。
実際に、どういった文言が「対価の支払い」に該当するかなど、契約書のひな形を基にレクチャーも受けました。
契約書作成にあたって
実際に私が作成した契約書面については、ここには掲載致しません。
掲載することによって、「この書式なら大丈夫だ」となり、書面が一人歩きしては困るからです。
課税文書に対する解釈は、管轄の税務署により異なります。
「ここで良かったから、あそこでも良い」とはなりません。(それはそれで、税の公平という見地から、疑問がありますが)
また、書面の文言だけでなく、契約の実態も判断対象にあたります。
そのため、一番確かなことは、実際に書面を持って、ご自身の管轄の税務署に相談に行かれることです。
お金もかかりませんし、確定申告の時期でも無ければ空いていて、丁寧に対応してくれます。
税理士会ですら、「最終判断は税務署で」と言っていますので、税務署で判断を仰ぐのが一番です。
Happy Yukiではどうするか
税務署からの回答を踏まえ、アクセサリーショップHappy Yukiでは、次の様にすることにしました。
委託販売にあたり、基本契約についてのみ書面で取り交わし、詳細(価格、支払い方法等)については、別途電子メールでやり取りをする。
これであれば、印紙の購入は必要ありません。
印紙税がかからなければ、その分委託販売のハードルも下がります。
手数料が安い分、より多くの人にご利用頂けます。
実は、そこまでして委託販売のハードルを下げたいのには、狙いがあります。
それについては、また別の機会にでも記事を書かせていただきます。
いつも応援頂きありがとう御座います
あなたに幸運が訪れます様に