私たちの身の回りにある携帯電話。
普段は電波法なんて意識することがありませんが、よくよく考えてみると、これって無線機です。
無線の操作には基本的に、「無線従事者」免許が必要なのですが、その点はどうなっているのでしょう。
もしかして、電波法違反なんてことも!?
普段は気にすることのない電波法ですが、実は身近な携帯電話にも関係しています。
今回は、そんな身近なお話を取り上げたいと思います。
携帯電話は無線局である
携帯電話は、電波を送受信して通信を行なう、無線設備です。
使用するためには、電波法の規定にのっとり、無線局として免許を取得する必要があります。
無線局については、電波法2条に定義が示されています。
電波法2条では、「無線局とは、無線設備及び無線設備の操作を行なう者の総体をいう」と定義されています。
無線局には、無線従事者が必要である
無線局として成立するためには、「無線従事者」が必要になります。
つまり、携帯電話=無線局であるならば、携帯電話を操作するためには、無線従事者である必要があります。
無線従事者は誰でもなれる訳ではなく、電波法に定める資格要件を満たす必要があります。
通常は資格試験を受けて取得するものですが、当然ながら、一般の人はそのような資格要件を満たしていません。
無線従事者の資格がなく、携帯電話を使用することは電波法違反にならないのでしょうか?
電波法にならない理由
もちろん、電波法に違反しないからこそ、ここまで携帯電話が普及しているわけです。
電波法違反にならないという結論は明らかですが、なぜでしょう。
もう一度、状況を整理します。
携帯電話は無線局です。
そして、無線局を操作するには、無線従事者である必要があります。
しかし、一般の人は無線従事者の免許を持っていません。
けれども、電波法違反にならない。
なぜか?
それは、携帯電話を操作しているのは、利用者ではないからです。
携帯電話は、電波を送受信して使用するわけですが、利用者が周波数や電力を設定するわけではありません。
基地局からの制御により、設定されます。
そして、基地局には各通信会社の社員が、無線従事者として選任されています。
この、基地局に選任された無線従事者が、携帯電話の操作するものに該当するのです。
このため、電波法違反にならないわけです。
携帯電話を操作する者が利用者ではなく、基地局の人間だというのが面白いところですね。
ちょっと特殊な法律構成なので、こちらの記事で紹介してみました。