
一陸特試験『平成26年2月午前問題9』の解説講義を行ないます。
「不法無線局の報告」に関する問題です。
問題
無線局の免許人等(注)は、電波法又は電波法に基づく命令の規定に違反して運用した無線局を認めたときは、どうしなければならないか。電波法(第80条)及び電波法施行規則(第42条の3)の規定に照らし、これらの規定に適合するものを下の1から4までのうちから一つ選べ。
注 免許人又は登録人をいう。
1 その無線局の電波の発射を停止させる。
2 その無線局の免許人等にその旨を通知する。
3 その無線局を告発する。
4 できる限り速やかに、文書によって、総務大臣又は総合通信局長(沖縄総合通信事務所長を含む。)に報告する。
解答
4
解説
不法無線局を発見した免許人は、その旨を報告する義務があります。
そもそも電波というのは公共の財産であり、電波を使用する者は、すべからく法令を遵守する必要があります。
そして免許人という立場は、電波を使用する構成員の中でも責任ある立場にあり、不法無線局を見つけたときは見て見ぬ振りは許されません。
できる限り速やかに、文書によって、総務大臣又は総合通信局長(沖縄総合通信事務所長を含む。)に報告する義務を負います。
出来る限り速やかに、文書によって、というところもポイントです。
ここで、他の選択肢を確認してみましょう。
選択肢1:その無線局の電波の発射を停止させる。
⇒さすがにそんな権限は、一免許人にはありません(笑)
免許人に求められるのは報告までで、処置を下すのは総務省の権限です。
選択肢2:その無線局の免許人等にその旨を通知する。
⇒これでは、違反を蔓延させる様なものです。
違反を行なえば、法に照らし適正に処罰されるべきであり、処分をギリギリで回避できる様に、こっそり耳打ちする様ではいけません。
選択肢3:その無線局を告発する。
⇒告発とは、犯人以外の第三者が捜査機関に対して犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求める意思表示をいいます。
免許人の義務は、あくまでも不法無線局を総務大臣等に報告することです。
捜査機関に対するものでもなければ、犯人の処罰を求める意思表示も必要ではありません。
根拠条文
電波法80条2項に、不法無線局の報告義務が定められており、電波法施行規則第42条の3において、具体的な報告の方法について定められています。
電波法80条(報告等)
第八十条 無線局の免許人等は、次に掲げる場合は、総務省令で定める手続により、総務大臣に報告しなければならない。
二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反して運用した無線局を認めたとき。
電波法施行規則第42条の3(報告)
第四十二条の三 免許人等は、法第八十条各号の場合は、できる限りすみやかに、文書によつて、総務大臣又は総合通信局長に報告しなければならない。この場合において、遭難通信及び緊急通信にあつては、当該通報を発信したとき又は遭難通信を宰領したときに限り、安全通信にあつては、総務大臣が別に告示する簡易な手続により、当該通報の発信に関し、報告するものとする。
動画講義
ご参考資料
書面の作り方
本問で取り上げた様に、免許人は書面で報告する必要があります。
そうは言っても、どうやって書面を作ればいいのか…となりますが、次のサイト様では具体的な書面の作り方についてまとめられています。
報告書サンプル
また、具体的な報告サンプルも下記からご確認いただけます。
相談・連絡先
もちろん免許人でなくても、明らかに混信と思われる現象があれば、総務省に報告・相談をすることができます。
たとえば、東海総合通信局では次の様なページを開設しております。
不法無線局対策の取り組み
また、第三者からの報告を待つまでもなく、総務省自身も不法無線局の撲滅に乗り出しています。
具体的な取り組みに関しては、下記ページよりご確認いただけます。
平成26年2月午前問題
※12問すべての問題です。
同解答
※午前・午後の解答です。
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