英語が嫌いになるパターン
中学生と小学生とで、最も大きな差は何か。
それは、「英語」科目です。
中学生で勉強につまづくパターンの多くに、「英語」科目が影響しています。
英語は最初につまづくと、挽回が大変です。
アルファベットの小文字やローマ字でとまどっているうちに、新しい英単語や文法がどんどん入ってきます。
英語の読みとスペルは難しく、Mondayが何故マンデーと読むのか訳が分からないままに、Are you~?やDo you~?が出てきて、主語たら動詞たらと言われて、「あぁもう嫌だ」となってしまいます。
一度学習を放棄すると、大変です。
学習を放棄している間にも、どんどん新しい英単語、文法が追加されていきます。
最初は簡単だった問題も、英作文があり、長文がありで、付け焼刃ではとても太刀打ちできなくなってしまいます。
英語力は単語力
英語を苦手とする人の多くは、圧倒的に語彙(単語の知識)が不足しています。
少ない単語の知識で、英語の問題を解こうとします。
単語を知らなければ、文法や文の構造から類推せざるを得ず、問題の難易度はぐっと上がります。
英語というのは言語ですから、難しく考えればいくらでも難しくなります。
日本語だって、文法に深く入っていくと難しく、日本人であっても間違います。
そもそも、言葉というのは、いちいち文法的に品詞分解して解読するものではありません。
ひとつひとつの単語が順番に入ってきて、意味をくみ取るものです。
文法も大事ですが、まずは単語が分からなければ話になりません。
熟語であれ、慣用表現であれ、ベースとなる単語のイメージがつかめていないと頭に定着しません。
英語力のベースは単語力と言っても、過言ではありません。
単語に親しむには、紙の学習用辞書を
単語を覚えていくために、まず最初にしていただきたいことは、「辞書を引く」ということです。
出来れば、紙の学習用辞書を引いていただきたいと思います。
デジタルの時代に紙か、と思われるかも知れません。
紙の辞書よりも、電子辞書の方が検索スピードは段違いに早いでしょう。
紙だと、いちいち目的の言葉を探してページをめくっていかなければならず、回りくどいものです。
効率性の観点から見ると、はっきり言って紙で検索するのは非効率です。
しかし、その「非効率」であることにこそ、意味があります。
非効率のススメ
デジタルの進化というのは、効率化の歴史でもあります。
辞書でも、紙よりもデジタルの方が、携帯性、検索速度、マルチタスクなど全てにおいて効率的です。
効率的であるのは良いことです。
「時は金なり」。物事を効率よく処理することは重要なことです。
しかし、効率的であることが常に最良であるとは限りません。
食事における効率性
例えば、食事を例にとって考えてみましょう。
効率性を重視するのであれば、3食全部冷凍食品でもいいわけです。
電子レンジでチンすれば、調理完了。
栄養が偏るのであれば、サプリメントを取ればいいでしょう。
わざわざ食材を選んで料理するなんて、「非効率」です。
たしかに、冷凍食品もサプリメントも便利です。
しかし、それが「最良」かというと、それはまた別です。
しっかりした食育、食環境がベースにあった上で、補助的に取り入れるのが理想的と言えるでしょう。
あえて辞書を引くということ
学習においても同じです。
ベースとなる力がついていれば、google検索でも何でも、目的の単語の意味が分かれば構いません。
しかし、まだ基礎力もついていないうちから、目的だけを追い求めると、単発の知識しか身につきません。
例えば、英単語でNo という言葉の意味を調べてみるとしましょう。
デジタルであれば、No 検索 でおしまいです。
しかし、紙の辞書であれば、まずNの位置から考えないといけません。
アルファベットの順番を思い出しながら(歌ってみたりしながら)探さないといけません。
最初はうろ覚えでも、辞書を引きなれてくると、感覚的にアルファベットの順序が分かってきます。
Nの位置が分かったとして、次に o の位置が分からなければなりません。
国語辞書でもそうですが、2文字目、3文字目まで探すには、辞書の構造が理解できていないと探せません。
今のお子様に共通して見られる傾向として、この検索が出来ない人が多いです。
Na,Nb,Nc…という順番であるという、辞書の基本的な構造を理解出来ていないのです。
指導していて、ちょっとビックリするくらい出来ない人が今は多いので、是非お子様に辞書を引かせてみてください。
ともかく、たった一つの言葉を調べるのに、紙の辞書では頭を使いますし、手間もかかります。
辞書と格闘していくなかで、自ずと集中力も養われていきます。
「非効率」であるからこそ
さて、Noまで辿り着いたとして、デジタル的にはそれで終わりです。
Noの意味が書いてあり、類義語や反対語、派生語が書かれていますが、あくまでもNoにまつわる情報です。
しかし、紙であれば、Noの前後にnine があったり、nobel があったり、Noと関係ない言葉に囲まれています。
この、関係ない言葉に触れるということが、言葉に親しんでいくということでもあります。
偶然の出会い、無駄な出会いというのは、「非効率」であるからこそ、生じる妙味なのです。
辞書の選び方
オススメは学習用辞書
小・中・高生であれば、本屋に行けば学習用辞書が売られています。
普通の辞書よりも、学習用辞書をオススメします。
学習用辞書には、学生がつまづきやすいポイントの解説や、興味を引くコラムもあり、楽しく読み進めることができます。
付録も充実しており、CD付きも珍しくありません。
実際にお手にとって、ご自身に合うものをお選びいただければと思います。
辞書選びのポイント
見てみたけれど決めきれないというときに、見ていただくポイントをひとつご紹介したいと思います。
それは、「前置詞の説明の仕方」です。
前置詞というと、inとかonとか名詞の前につくものです。
前置詞は他の単語類と違い、意味だけで覚えるものではありません。
inはこういうときに使う、onはこういうときに使う、とイメージで理解しておく必要があります。
英語の辞書を開いたら、まずはこの前置詞を見てください。
イラスト等で説明していると思いますが、自分にとって理解しやすいものをお選びください。
下に、当塾で使用している辞書をご紹介いたします。
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