本記事は、工事担任者AI/DD総合種試験『平成26年法規問題3-(2)』に関する解説記事です。 テーマは「責任の分界、安全性」です。
問題
解答
解説
分界点と選択肢①、②
このテーマも超頻出テーマです。
今までも出題されて来ましたし、これからも出題されるでしょう。
実際に、業務においても重要な部分になります。
通信技術は今や複雑に絡み合い、複数のシステムが関係しています。
「分界点」というのは、どこまでがどの事業者の責任範囲か明確にするものです。
障害が発生したときに、分界点ごとに切り分け、どこで障害が発生し、どこに責任の所在があるかをハッキリさせることが可能になり、それにより対処が可能になります。
例えば、ある日あなたのパソコンがインターネットに繋がらなくなったとします。
パソコンが壊れているのならば、パソコンを修理しなけばなりません。 パソコンの購入店舗に連絡することでしょう。
パソコンは壊れていないのに、ネットに繋がらない。調べてみると、無線ルーターがおかしい。
となると、ルーターの修理が必要となり、先ほどとは連絡先も異なってくるでしょう。BAFFALOの製品は優秀ですね。
パソコンもルーターも壊れていない。なのにネットに繋がらない。
調べてみるとプロバイダーで大規模に障害が発生している。 となれば、プロバイダーに責任の所在があります。孫さんお願いしますよ。
パソコンもルーターもプロバイダーも正常だ。なのに、ネットに繋がらない。そもそも何故この部屋はこんなに暗いのだ。テレビもつかないじゃないか。エアコンもいつの間にか消えている。まったくついていない!なんて日だ!あぁそうか、停電だったのか。ということもあるかも知れません。さすがに気付けよという気もしますが、その場合は電力会社に復旧してもらわなければなりません。
パソコンもルーターもプロバイダーも正常であるし、電気もAC100V来ている、なのに何故ネットにつながらない。これはテロか、テロなのか!そんなときは深呼吸して、郵便受けを覗いてみましょう。通信料金未払いの督促状が来ていました。これはあなたの責任です。とりあえずコンビニへ走り、来月からは口座振替にしようと心を決めるでしょう。
ことほどさように、責任の所在、つまり「分界点」の考え方は重要です。 普段意識せずとも行なっていることです。
現場業務では、この分界点を判断することを「切り分け」などとも言います。
選択肢①と②は、この分界点に関する規定です。 正しい選択肢なので、このまま憶えておきましょう。
絶縁抵抗と選択肢③
絶縁抵抗というのは、電気がいかに流れにくいかということを示す値です。
この数値が高いほど、電気が流れにくいことを意味します。
電話機を例に考えてみます。 電話機が動作するためには、電話機の内部に電気が流れてくれないといけません。
しかし、受話器のケースやボタンの部分にまで電気が流れると、電話するたびにビリビリ感電してしまいます。
また、電話機を置いていたら、そこから発熱して火災が起きるかもしれません。
機器としては動作しないといけませんが、外側にまで電気が流れては困るのです。
そこで絶縁抵抗という数字が重要になります。
この数値が十分に高ければ、外側に電気は流れず、感電や漏電火災を防止することが出来ます。
どれだけ高ければ良いのかというのを示したのが、この選択肢③の規定です。
細かい数字が出てきますが、よく出題されるところなので憶えておきましょう。 ちなみに、この選択肢中に出てくる「筐体」(きょうたい)という言葉は、「ケース」という様な意味です。
広く本体とイメージしておけば良いでしょう。
過大な音響衝撃と選択肢④
本問において、この選択肢が間違いでした。
間違えた選択肢をそのまま読むと誤った記憶をしてしまいますので、すぐに正しい文言に直して憶えましょう。
正しくは次の通りです。
「通話機能を有する端末設備は、通話中に受話器から過大な音響衝撃が発生することを防止する機能を備えなければならない」
過大な音響衝撃がポイントです。
電話で話している最中に、いきなりドカーン!!とか耳元で鳴ったら恐ろしいですよね。
そういうことにならない様にしましょうねという規定です。
昔、不二子A先生のマンガに『笑うせぇるすまん』というものがありまして、「あなたのココロのすきまをお埋めします~、ドーン!!」とされて虚脱状態。気がつけばとんでもないことに…
というモグロフクゾウ話はさておき、「過大な音響衝撃」はビックリするからやめておきましょうねということです。それっ、ロン!!
接地抵抗と選択肢⑤
接地抵抗とは、接地(アースとも言います)したときの抵抗値を指します。
接地は電気の逃げ道をつくるために行ないます。
多くの場合、地面(大地)に接続するため、接地と言います。
接地抵抗値が低いほど、電気を地面に逃がしやすくなります。
接地自体が電気を逃すために行なうものなので、接地抵抗値は低いほど良い状態であるといえます。
ここで絶縁抵抗との違いをしっかりと理解しておきましょう。
絶縁抵抗は筐体に電気が流れ出さない様にするためのものです。
漏電を防止するための能力を表します。
では、万が一漏電した場合にどうするか。
あるいは漏電ではなくても、近くに落雷などがあり、筐体が帯電してしまうこともあるかも知れません。
漏電して筐体が帯電していた場合、そこに人が触れると感電してしまいます。
電気は強力なエネルギーですから、感電すると火傷をしたり、最悪の場合心臓が止まって死にます。
そういった事故を防ぐために接地があるわけです。
何らかの理由で筐体が帯電しても、接地という電気の逃げ道があれば、電気は大地に流れていってくれます。
電気というのは、抵抗値が低いほうに流れやすい性質があります。
人体の抵抗値は一般に500Ωとして計算されます。
接地抵抗値が100Ωとした場合、電気は人体よりも抵抗値の低い接地の方により流れようとします。
これにより、感電による被害を抑えることが可能になります。
基本的なことがらではありますが、基本ほど大切ですので、何度でも意味を確認して勉強を進めて頂ければと思います。
ご参考資料
平成26年春問題
※法規全ての問題です。 法規問題
同解答
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