一陸特試験『平成26年2月午前問題8』の解説講義を行ないます。
「記載事項の遵守」に関する問題です。
問題
次の記述は、無線局の免許状等(注)の記載事項の遵守について述べたものである。電波法(第54条及び第110条)の規定に照らし、 内に入れるべき最も適切な字句の組合せを下の1から4までのうちから一つ選べ。
注 免許状又は登録状をいう。
① 無線局を運用する場合においては、空中線電力は、次の(1)及び(2)に定めるところによらなければならない。ただし、遭難通信については、この限りでない。
(1) 免許状等に A であること。
(2) 通信を行うため B であること。
② C に違反して無線局を運用した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
A | B | C | |
1 | 記載されたところのもの | 必要かつ十分なもの | ①の(1)の規定 |
2 | 記載されたところのもの | 必要最小のもの | ①の規定 |
3 | 記載されたものの範囲内 | 必要かつ十分なもの | ①の規定 |
4 | 記載されたものの範囲内 | 必要最小のもの | ①の(1)の規定 |
解答
4
解説
無線通信の世界において厄介なのは、オーバーリーチ、混信です。
理想を言えば、相手方と通信出来るだけの最低限のエネルギーで運用するのが望ましいところです。
たとえば、10W免許が下りていたとして、目標とする相手方と仮に1Wの送信電力で通信可能ならば、どうするか。
わざわざ1Wで間に合うところを、10Wで通信する必要はありません。
また、不要に飛ばし過ぎると、先ほど申し上げたオーバーリーチで、他の設備に干渉を及ぼす恐れもあります。
そのことを理解出来ていれば、解くのにそれほど難しくはありません。
根拠条文
電波法54条に、運用に関する事項が決められており、電波法110条に、違反した場合の罰則が定められています。
第54条(運用)
無線局を運用する場合においては、空中線電力は、次の各号の定めるところによらなければならない。ただし、遭難通信については、この限りでない。
(1) 免許状に記載されたものの範囲内であること。
(2) 通信を行うため必要最小のものであること。
第110条(罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(5) 第52条、第53条、第54条第1号(略)の規定に違反して無線局を運用した者。
空欄Aについて
実戦的解法
ここでは、この条文を暗記出来ていなかったときに、試験現場で問題を解く方法を考えてみましょう。
問題文の空欄Aは、選択肢から、「記載されたところのもの」or「記載されたものの範囲内」どちらかです。
これは、解説の項目で書いた内容を思い出していただければ分かります。
10Wの免許が下りていた場合を仮定してみます。
「記載されたところのもの」であれば、10W以外で運用してはダメだとなります。
「記載されたものの範囲内」であれば、10WまでならOKなので、5Wでも1Wでも許されます。
少ないエネルギーで通信する分には問題ありませんし、むしろ推奨されるべきことなので、「記載されたものの範囲内」を選ぶことが出来ます。
空欄Bについて
実戦的解法
問題文の空欄Bは、選択肢から、「必要かつ十分なもの」or「必要最小のもの」どちらかです。
これは、日本語の問題の様ですね^^
大切なことは、通信電力は、小さくて済むなら小さい方が良いというのが原則です。
ですから、その意味で該当するのは、「必要最小のもの」ですね。
空欄Cについて
実戦的解法
問題文の空欄Cは、選択肢から、「①の規定」or「①の(1)の規定」どちらかです。
これも、状況を想像すれば、どちらを選ぶべきかは分かります。
例えば、10Wの免許が下りている無線局が、10Wで運用していたとします。
実は通信するためには、半分の5Wでも問題なかったとしましょう。
この場合、「①の規定」で罰せられるとしたならば、「必要最小」で運用していなかったために、この事例では電波法違反となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられてしまうことになりかねません。
それはいくらなんでも無茶です。
電波法の罰則は非常に重いものです。
免許の範囲内で運用していて、罰則を科せられるなんてバカなことはありません。
罰則はあくまでも、免許の範囲を超えて運用されたときに科せられるものです。
これが理解出来ていれば、選ぶべき答えは明白です。
動画講義
ご参考資料
電波法違反が無いかは、通信局が非常に厳しく監視しています。
特定の場所からオーバーパワーで運用していれば、ほぼ確実にバレますので、絶対にしてはなりません。
電波監視の概要について、総務省が内容を公開していますので、リンクを掲載します。
平成26年2月午前問題
※12問すべての問題です。
同解答
※午前・午後の解答です。
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