集中力と分散力

By: Robert Couse-Baker - CC BY 2.0

集中力と分散力とは

 

今回は、集中力分散力についてお話をしたいと思います。

集中力というのは、ご存じの通り集中する力のことをいいます。

勉強でもスポーツでも、集中力が大事だと、私たちは聞かされて育ちました。

一方、分散力とは何でしょう?

これは、注意を分散させる力のことを意味する、造語です。

集中力の大切さは分かるが、分散力の大切さは分からない。

むしろ、注意が分散することなどに、何の得があるのでしょうか?

 

ある数学者の逸話

 

もうお亡くなりになられた数学者で、森毅という方がいました。

数学者としての実績はもちろんのこと、ご存命中は積極的にメディアに出られ、独特の言い回しで多くのファンを獲得されていた方です。

↓森毅氏の著書

この森氏が、集中力と分散力について、友人の数学者のお話として、次の様なエピソードを話されていました。

 

友人の数学者が自宅の居間でくつろいでいるとき、ふと数学のアイデアが浮かぶことがある。

これはしめたぞ!と、アイデアをメモに書き写そうかとしているときに、奥さんから、「あなたヒマしてるんだったら、洗濯物くらい手伝ってよ」と呼びつけられる。

どうやら、はた目にはただボーっとしてて、ぐうたらしているだけに見えるらしい。

仕方がないから、家の手伝いをしていると、せっかく浮かんだアイデアをそのまま忘れてしまう。

 

一方、考え出した答えを、家で机に向かってせっせと書いている時がある。

何のことはない。もう既に出た結論を、まとめているだけのことだ。

そんな時は奥さんの方から、「あなたご苦労さま」と、頼んでもいないのに紅茶を入れて持ってくる。

不思議なことだ。

女房にとっては、机に向かって集中している方が、ボーっとしてアイデアを浮かべていることよりも偉いことらしい。

女房というのは、本当に不思議な生き物だよ。

と、その数学者が森氏にグチをこぼしていたとのことです。

このエピソードは、笑い話ではありますが、一点真実をついているところもあります。

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アルキメデスはいつ浮力を発見したか

 

くつろいでいるときに、アイデアを発見した例は、昔から枚挙にいとまがありません。

アルキメデスが浮力を発見したのは、研究に煮詰まって、気分転換にお風呂に入ったときです。

森氏自身も、ずっと考えても分からなかった数学の問題が、全然関係ない恋愛映画を映画館で見ているときに、ふと答えが分かったりしたことが何度もある様です。

集中ももちろん大切ですが、それと同じくらい注意を分散する力、分散力も重要なのではないでしょうか。

人はバランスの生き物です。

集中したときこそ、分散することを意識してみる。

そんなことを実践できる人間になりたいと思います。

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